専任媒介と一般媒介の違い|レインズ登録は5日か7日か

不動産会社に売却を相談すると、話の終わりに「媒介契約はどれにしますか」と紙を3枚出されます。専属専任媒介、専任媒介、一般媒介。説明を聞いても、その場では決め手が見つからない。1社に絞ると足元を見られる気がするし、3社に頼めば早く売れる気もする。ここで止まる売主様は、私の実感では少なくありません。
この記事では、3つの契約の違いを「法律で決まっている数字」だけで並べ直します。レインズへの登録が5日か7日か、報告が何回来るか、2025年1月に何が変わったか。決めるのは売主様ですが、比べる物差しだけは先に揃えておきたいところです。
違うのは3つだけ。レインズ登録・定期報告・同時に頼めるかどうか
3種類の媒介契約で法律上はっきり違うのは、次の3点です。それ以外の部分——広告の出し方、内覧の段取り、手数料の上限——は契約の種類では決まりません。
| 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 | |
|---|---|---|---|
| レインズ登録の期限 | 5日以内 | 7日以内 | 法律上の義務なし |
| 業務処理状況の定期報告 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 法律上の義務なし |
| 他社にも同時に頼めるか | 頼めない | 頼める | 頼める |
| 自分で買主を見つけた場合 | 依頼した会社を通す | 直接契約できる | 直接契約できる |
| 契約の有効期間 | 3か月まで | 3か月まで | 法定の上限なし |
| 取引状況の登録(2025年1月〜) | 義務 | 義務 | 対象外 |
※ 根拠:宅地建物取引業法第34条の2第3項・第5項・第8項・第9項、同法施行規則第15条の10・第15条の11(e-Gov法令検索/2026年8月28日確認)。登録期限と有効期間に反する特約は、同法第34条の2第10項により無効です。
表の下2行が、この記事の本題です。一般媒介は「複数社に同時に頼める」ことばかりが語られます。もっとも、法律の側から見ると、売主様に情報が戻ってくる仕組みが最も少ない契約でもあります。頼む先を増やすことと、届く情報が増えることは、同じではありません。
5日か7日か——休業日を除いて数えるので、暦では6日と9日になる
レインズへの登録期限は、宅地建物取引業法施行規則第15条の10第1項で決まっています。条文はこうです。「法第三十四条の二第五項の国土交通省令で定める期間は、専任媒介契約の締結の日から七日(専属専任媒介契約にあつては、五日)とする。」同条第2項に「前項の期間の計算については、休業日数は算入しないものとする」とあり、契約当日も数えません。
この「休業日を除く」が、実際のカレンダーでは効いてきます。仮に2026年9月1日(火)に媒介契約を結び、依頼先の会社の休業日が毎週水曜だけだとします。翌9月2日(水)は休業日なので数えず、9月3日(木)が1日目。そこから数えると、専属専任媒介の5日目は9月7日(月)、専任媒介の7日目は9月10日(木)です。暦の上では、契約から6日後と9日後になります。
※ 上の例は、休業日を毎週水曜のみと仮定した場合の数え方です。休業日は会社ごとに違うため、実際の期限日は依頼先にご確認ください。祝日の扱いも同様です。
差は3日。この3日を長いと見るか短いと見るかは、売り出す時期によります。学校の年度替わりに間に合わせたい物件なら、3日は惜しい。急がない物件なら、誤差の範囲です。私は、この3日を理由に専属専任を選ぶ必要はないと考えています。むしろ、期限が来る前に登録するかどうかのほうが実務では大きい。期限は「最も遅くてもこの日」という下限を示しているにすぎません。
報告の回数のほうが、体感には響きます。有効期間の上限は3か月、およそ13週です。専任媒介なら2週間に1回以上ですから3か月で少なくとも6回、専属専任媒介なら1週間に1回以上で13回前後になります。一般媒介は、定期報告が法律上の義務ではありません。3社に一般媒介で頼むと、法律で保証された定期報告の回数は3社合計で0回です。1社に専任媒介で頼めば6回以上。頼んだ社数と、届く報告の数は逆を向くことがあります。
2025年1月から取引状況の登録が義務になり、一般媒介はその外側にいる
2025年(令和7年)1月1日から、レインズへの「取引状況」の登録が宅建業者の義務になりました。国土交通省が2024年12月24日に公表した報道発表資料には、こう書かれています。
この機能の実効性を確保するため、令和6年6月に宅地建物取引業法施行規則を改正し、令和7年1月1日より、宅建業者に対して、レインズへの物件の取引状況の登録を義務付けることとしました。
根拠は、宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令(令和6年国土交通省令第70号)です。この改正で、施行規則第15条の11に「当該宅地又は建物の取引の申込みの受付に関する状況」が登録事項として加わりました。登録する区分は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類です。売主様は、登録証明書に印刷された二次元コードから売主専用画面に入れます。自分の物件がいまどの状態にあるかを、その場で見られます(レインズの登録証明書は2次元コードで確認|売主の3手順)。
ここが、媒介契約を選ぶときに私が一番大きいと思っている違いです。この売主専用画面の対象は、専属専任媒介契約と専任媒介契約で預かった物件に限られます。一般媒介契約の物件は、そもそもレインズへの登録が法律上の義務ではないため、確認する画面も用意されません。囲い込みへの備えとして2025年1月にできた仕組みは、一般媒介を選んだ売主様には届かない構造になっています。
専任か一般かで、手取り額が自動的に変わるわけではありません。変わるのは、売主様が販売の中を見られるかどうかです。1社に絞ると情報が減る、と受け取られることがあります。法律が用意した確認手段の側から見ると、話はむしろ逆を向きます。私はここを、媒介契約書をお出しする前の段階でご説明するようにしています。
一般媒介でも、購入の申し込みがあれば報告は法律上の義務
誤解されやすい点をもう1つ書いておきます。一般媒介に「何の義務もない」わけではありません。宅地建物取引業法第34条の2第8項は、購入の申し込みがあったときの報告を義務づけています。媒介契約を締結した宅建業者は、遅滞なくその旨を依頼者へ報告することになります。この条文は媒介契約の種類を限定していないため、一般媒介にも適用されます。
つまり一般媒介で欠けるのは「定期的な状況報告」と「レインズ登録・取引状況の確認手段」です。「申し込みが入ったのに知らされない」状態まで法律が許しているわけではありません。一般媒介を選ぶ場合でも、申し込みの報告は求めてよい、と覚えておいてください。
そのうえで、当社の方針を書きます。当社は、一般媒介でお預かりした物件だからといって、レインズへの登録を後回しにすることをしません。一般媒介では法律上の登録義務がありませんが、当社の判断として登録し、登録証明書もお渡しします。買い手を探す母集団を狭めても、当社に得はないからです。かわりに当社がやらないことも決めています。当社が買主になることはありません。買取や買取保証を率先して行いません。成約事例以外を根拠にして「高く売れます」と先に申し上げることもしません(手取り額で考える|なぜ仲介をすすめるのか)。
正直に書くと、一般媒介で3社に分かれたときの広告費の配分は、私はいまだに答えを持っていません。同じ物件に3社が同じ額を投じるとは考えにくいところです。他社に決まる可能性のある物件へ専任と同じ費用を掛け続ける判断は、当社としても簡単ではありません。売主様には「一般でも同じように動きます」と申し上げたい。実際には、写真の撮り直しや図面の作り直しをどこまでやるかで、案件ごとに揺れています。この揺れがあることも含めて、最初にお伝えするのが誠実だと考えています。
今日できる確認は2つ。決めるのは、それからで間に合う
媒介契約の種類を今日決める必要はありません。そのかわり、契約書に署名する前に確認できることが2つあります。どちらも、その場で聞けば答えが返ってくる質問です。
- 「レインズの登録証明書は、いつ、どうやって渡してもらえますか」と聞く。専属専任・専任なら宅地建物取引業法第34条の2第6項で交付が義務です。一般媒介で頼む場合は、登録するかどうか自体が会社の判断になるので、そこを先に確認しておきます。
- 「定期報告は、何日に、どの方法で来ますか」と聞く。専任なら2週間に1回以上、専属専任なら1週間に1回以上が下限です。曜日と手段(書面・メール・電話)まで決めておくと、3か月が短く感じられます。
この2つの答えが揃えば、専任と一般のどちらが自分に向いているかは、だいたい見えてきます。中が見えるほうが安心する方は専任系、複数社の反応を横に並べて自分で判断したい方は一般。どちらが正しいという話ではなく、性分の問題だと私は思っています。
磐田市や周辺で売却を考えている方の場合、媒介契約の種類より先に効いてくるものがあります。売り出し価格の置き方と、道路・境界・名義の状態です(磐田市の不動産売却)。契約の種類は3か月ごとに選び直せます。一方、最初の売り出し価格は後から効き続けます(売り出し価格の決め方|金利3.29%と値下げの時期)。順番としては、価格の材料を揃えるほうが先です。
媒介契約の相談と並行して「その物件、買い取れますよ」という連絡が届くこともあります。買取という売り方そのものを当社は否定しません。ただ、媒介の種類を決めるより前に、相手が買主なのか仲介なのかを分けて聞いておく。それだけで話が混ざらずに済みます(「買い取ります」と言われたら、先に確認したい3つのこと)。
今日の成果は、決めるための材料が1つ増えた状態で十分です。売ると決めていない段階でも、媒介契約の比較表はお作りします。かんたん入力のフォームからお声がけください。売却をお約束いただく必要はありません。
※ 出典(いずれも2026年8月28日確認):国土交通省「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました!」(2024年12月24日公表)/同報道発表資料(PDF)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」「宅地建物取引業法施行規則」/公益財団法人東日本不動産流通機構「売却依頼主物件確認案内書」。制度・数値は変わることがあります。本記事の日数の例は前提を置いた計算で、実際の期限日を示すものではありません。契約内容の個別のご判断や、税務・登記に関わる事項は、依頼先の宅地建物取引業者および税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。
よくある質問
一般媒介で3社に頼めば、専任媒介より早く売れますか?
社数と売却の早さが比例するとは限りません。一般媒介は業務処理状況の定期報告が法律上の義務ではないため、3社に頼んでも法定の定期報告は0回です。専任媒介なら宅地建物取引業法第34条の2第9項により2週間に1回以上、有効期間3か月で少なくとも6回届きます。頼む先の数と、売主様に戻ってくる情報の量は別の話としてお考えください。
専任媒介の「7日以内」は、契約した日から数えるのですか?
契約当日は数えず、翌日から起算します。宅地建物取引業法施行規則第15条の10第2項に「前項の期間の計算については、休業日数は算入しないものとする」とあり、依頼先の休業日も除きます。休業日が毎週1日ある会社なら、専任媒介の7日は暦の上で9日後あたりになります。実際の期限日は依頼先にご確認ください。
一般媒介にすると、レインズには登録されないのですか?
一般媒介では、レインズへの登録が法律上の義務ではありません。登録するかどうかは依頼先の判断になります。当社は一般媒介でお預かりした場合も当社の方針として登録し、登録証明書をお渡ししています。ただし2025年1月に義務化された取引状況の登録と売主専用画面は専属専任・専任が対象で、一般媒介の物件は対象外です。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。