3000万円控除の売却期限|転居後の3確認

転居してから、そのままにしてある自宅。査定を頼もうと思いながら、2026年も11月になった。「もう住んでいない家でも、売った利益から3,000万円を引けるのか」。売却を迷う方にとって、査定額と一緒に確認したいのが、この期限です。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として、私は期限を理由に売却を決める前に、退去日と今の建物の状態を一枚に書くことをすすめます。控除が使えるかどうかで、売却後に残るお金が変わるからです。磐田市で売却を検討している方は、磐田市の不動産売却の案内も確認できます。
退去日はいつか、住民票だけで決めない
以前住んでいた家の控除を確かめる出発点は、所有者として実際に住んでいたことと、住まなくなった日です。相続した実家というだけで、同じ扱いになるわけではありません。
国税庁No.3314は、売る人が所有者としてその家に住んでいたことを要件に挙げています。親が住んでいた家を相続し、自分は住んでいなかった場合とは、確認する制度を分けます。「空き家だから3,000万円控除」という一つの説明にまとめると、入口を取り違えます。
転居した年を思い出すときは、住民票を移した日だけをメモして終えず、新居へ生活の拠点を移した経過も整理します。引っ越しの控え、新居の入居資料、戸籍の附票など、手元に残る書類を探してください。資料の日付が違う場合は、都合のよい日を選ばず、その違いも相談先へ伝えます。
国税庁No.3302の「提出書類等」には、売買契約日の前日の住民票上の住所と売る家の所在地が異なる場合などについて、居住していたことを明らかにする書類の案内があります。戸籍の附票の写しなどが挙げられていますが、それだけで個別の居住実態を判断できるという意味ではありません。
ここで確かめるのは、購入日から何年たったかではありません。所有期間と退去後の期限は別の時計です。長く持っていた家でも、退去後の期限を過ぎれば、この控除の対象から外れることがあります。
期限は丸3年後の同じ日ではなく年末
退去後の売却期限は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日です。「転居した日の3年後まで」と覚えると、月日の読み方を誤ります。
国税庁No.3314の要件を暦に当てはめると、2023年に住まなくなった旧自宅は、2026年12月31日が期限の確認対象になります。次の表は家屋を残して売る場合の退去年と期限の関係です。ほかの要件を満たしていることまでは示していません。
| 住まなくなった年 | 3年を経過する年 | 売却期限の確認対象日 |
|---|---|---|
| 2022年 | 2025年 | 2025年12月31日 |
| 2023年 | 2026年 | 2026年12月31日 |
| 2024年 | 2027年 | 2027年12月31日 |
国税庁No.3314「特例の適用を受けるための要件」(2)をもとに作成。2026年11月6日確認。災害による滅失や取壊しなど、状態によって確認事項が増えます。
たとえば2023年2月の退去と2023年11月の退去は、この要件の年末期限が同じです。意外ですが、退去月が違うからといって、期限も9か月ずれるわけではありません。一方、2022年に退去した家なら、通常のこの期限はすでに過ぎています。2026年末まで使えると読み替えないでください。
年末に近い売買では、契約日と引渡日が別の年になることがあります。売り出しの開始日や購入申込みを受けた日だけで、期限を満たしたとは判断しません。どの年の譲渡として扱うかは、年末契約・年明け引渡しの確定申告で整理しています。控除の期限との関係は、契約案を持って税務署か税理士へ確認します。
家を残す場合と取り壊す場合を分ける
退去後も家屋が残っている場合と、取り壊して土地を売る場合では、確認する条件が違います。更地にすれば手続きが単純になるとは限りません。
国税庁No.3302は、以前住んでいた家屋について、退去後の用途は問わないとしています。転居後に貸したことだけで、直ちに対象外になるという説明ではありません。ただし、売る人自身が所有者として住んでいたことや、退去後の期限など、ほかの要件は残ります。
これに対し、家屋を取り壊した後の敷地には追加の要件があります。同ページは、取壊しから1年以内に敷地の譲渡契約を結び、退去から3年を経過する年の12月31日までに売ることを挙げています。さらに、取壊しから譲渡契約まで、敷地を貸駐車場などに使っていないことも求めています。
つまり「家を貸してから売る」と「家を壊して駐車場として貸してから売る」は、同じ確認では足りません。土地の管理費を補おうとして始めた利用が、控除の条件に関わる場合があります。解体や土地の貸付けを決める前に、税務上の扱いを確認する順番です。
売るか貸すかをまだ決めていない方は、自宅を売る案と貸す案の手取り比較へ進めます。この記事では賃料や利回りの比較まで広げず、退去後の期限と建物の有無を先に押さえます。
控除を使う案と保有を続ける案を手取りで比べる
期限内に売る価値は、控除の名前ではなく、税引後の手取りと保有を続ける負担で比べます。3,000万円は受け取れる現金でも、税金からそのまま引く金額でもありません。
国税庁No.3302が示すのは、譲渡所得から最高3,000万円を差し引く仕組みです。売却代金そのものから引くのではなく、取得費や譲渡費用を反映した利益の計算が先にあります。買ったときの契約書が見つからないなら、控除の有無だけで概算税額を埋めないほうがよいと私は考えます。
良い点は、住み替えなどで退去した後にも、一定期間、売却を検討できる余地があることです。その上で、期限の説明だけが先行すると、売却条件の検討が薄くなる点には注意が要ります。期限内なら安くてもよい、という答えは制度からは出てきません。
期限は、売却を決める命令ではありません。私は、税の見込みがまだ分からない段階で「今年中に売ったほうが得」と言い切ることに迷いがあります。税負担を抑えられる可能性と、販売期間を短くすることで売却条件が変わる可能性を、同じ紙で見たいからです。これは相談の実話ではなく、私の判断の置き方です。
紙の左に、期限内に売る案の売却予定額、残債、仲介手数料などの費用、税理士に確認した概算税額を書きます。右には、売らずに持つ案の固定資産税、保険、管理、修繕の見込みを書きます。翌年の売値は確定できないので「未定」とし、都合よく値上がりする前提を置きません。
当社は買主にならず、買取を率先して行いません。そのかわり、売主様が希望する引渡し時期から、仲介の販売日程と手取りの確認項目を整理します。買取を選ぶ必要がある場合も、売り方そのものを否定せず、提示条件と費用を含めて検討します。税の適用判断を当社で確定することはありません。
契約前に税務相談へ持っていく一枚
今日できるのは、退去日、現在の状態、希望する売買日程を一枚に並べることです。売却を決めてから資料を探すより、判断の前に不明点を見つけられます。
- 退去日の欄。所有者として住んでいた期間と、生活の拠点を移した日を書きます。根拠になる書類名と、日付が食い違う資料も添えます。
- 現在の状態の欄。建物が残るか、貸しているか、取り壊したかを記入します。取壊し済みならその日と、その後の土地利用も書きます。
- 売買日程の欄。契約の希望日、決済・引渡しの希望日を別々に書きます。未確定なら予定と明記し、この日程で控除の期限を満たすか尋ねます。
相談には、購入時の契約書、売却費用の見積り、売買契約案も持参します。過去の特例利用や売却先との関係、新居の住宅ローン控除なども適用に関わります。制度を選ぶ比較は、自宅売却の3,000万円控除と買換え特例の違いで確認できます。
この控除を受けるには確定申告が必要です。期限内に売ったら自動で処理される、と考えないでください。売却前は要件と日程を確認し、売却後は必要書類と申告を確認する。まずは一枚の空欄を埋めるところまでで構いません。制度や必要書類は変わることがあるため、最終的な適用可否・譲渡日・税額は税務署または税理士へ確認してください。
出典:国税庁「No.3314 過去に居住していたマイホームを売ったとき」の「特例の適用を受けるための要件」、「No.3302 マイホームを売ったときの特例」の適用要件・申告等の方法・提出書類等。2026年11月6日確認。両ページは2026年4月1日現在の法令等に基づく案内です。ページの公表日は未確認です。
よくある質問
2023年の途中に転居した自宅は、いつまでに売ればよいですか。
通常の退去後期限は、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日です。2023年退去なら2026年12月31日が確認対象になります。ただし、所有者として住んでいたことなど、ほかの要件もあります。契約と引渡しが年をまたぐ場合の扱いは、契約前に税務署か税理士へ確認してください。
転居後に家を貸していても、3,000万円控除を検討できますか。
国税庁は、以前住んでいた家屋について退去後の用途を問わないとしています。貸したことだけで直ちに対象外になるわけではありません。ただし、退去後の期限などは残ります。家屋を取り壊し、敷地を貸駐車場などにした場合には別の条件が関わるため、現在の状態と利用経過を税務署か税理士へ伝えてください。
2026年に契約して2027年に引き渡せば、期限内になりますか。
契約年だけで控除の期限内と自己判断せず、契約案と引渡し予定を税務署か税理士へ見せて確認してください。譲渡所得の年分では原則の引渡日と契約の効力発生日の扱いがありますが、特例の要件と日程の照合が必要です。査定依頼や購入申込みを受けただけでは、売却を終えたことにはなりません。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。