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自宅売却の3000万円控除と買換え特例|5つの違い

記事内容をもとに生成したイメージ:自宅売却の3000万円控除と買換え特例|5つの違い
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。
この記事の結論Q. 自宅に譲渡益が出そうです。3,000万円控除と買換え特例はどちらを選びますか? A. 3,000万円控除は譲渡所得から最高3,000万円を差し引く制度です。買換え特例は一定の自宅を売り、次の住まいを買うときに課税を将来へ繰り延べる制度で、免税ではありません。併用できないため、現在の税額だけでなく、買換額、将来の売却、住宅ローン控除まで同じ表で比較します。

自宅の査定額が買ったときより上がり、次の住まいも探し始めると、二つの制度名が同時に出てきます。マイホームの3,000万円特別控除と、特定の居住用財産の買換え特例です。

先に答えを書きます。3,000万円控除は利益を減らす制度で、買換え特例は課税を将来へ送る制度です。2026年の売却時に納税額が同じゼロになっても、家計への効き方は同じではありません。

3,000万円控除は利益を減らし、買換え特例は課税を繰り延べる

自宅売却の3,000万円特別控除は譲渡所得から最高3,000万円を差し引き、買換え特例は一定の譲渡益に対する課税を次の住まいの売却時まで繰り延べます。

国税庁タックスアンサーNo.3302によると、3,000万円控除は所有期間の長短を問いません。譲渡所得が2,500万円なら、要件を満たす範囲で2,500万円を差し引きます。控除後の課税譲渡所得はゼロです。税金が3,000万円戻る仕組みではありません。

一方、国税庁タックスアンサーNo.3355は、買換え特例について「譲渡益が非課税となるわけではありません」と説明しています。売った自宅より買換資産の価格が高い場合などは、売却年の課税を繰り延べます。次の住まいを将来売るとき、その譲渡所得の計算に繰り延べた利益が反映される仕組みです。

税が今かからないなら同じ、ではありません。3,000万円控除は課税対象の利益を削ります。買換え特例は税の支払時期を先へ送ります。意外ですが、2026年の納税額だけを見ても二つの差は見えません。

二つを同じ売却へ重ねることもできません。国税庁タックスアンサーNo.3358は、買換え特例と3,000万円控除を重ねて受けられないと明記しています。先に制度名を選ぶのではなく、譲渡所得と次の購入額を出してから比べます。

買換え特例は2027年末まで延長、入口には10年要件がある

買換え特例の適用期限は2027年12月31日までの譲渡へ2年延長されましたが、3,000万円控除より対象要件が多く、居住期間と所有期間の両方を確認します。

財務省が2025年12月26日に公表した令和8年度税制改正の大綱は、買換え特例の適用期限を2年延長するとしました。成立後の内容を反映した国税庁の2026年5月資料で、延長後の期限が2027年12月31日と確認できます。

比べる項目3,000万円特別控除買換え特例
税の扱い譲渡所得から最高3,000万円を控除一定の譲渡益への課税を将来へ繰延べ
所有・居住所有期間の長短を問わない居住期間10年以上。譲渡年1月1日時点で所有期間10年超
売却代金1億円以下という価格要件はない1億円以下
次の住まい購入しなくても対象になり得る所定期間内に取得し、居住する
買換資産面積要件なし建物50平方メートル以上、土地500平方メートル以下など
併用同じ譲渡で二つを重ねて使えない

※ 2026年9月6日時点の主な比較です。親子や夫婦など特別な関係にある人への譲渡、過去の特例利用、売却・入居の時期など、この表以外の要件もあります。所有期間の判定日は不動産売却の税率が変わる境目|所有期間は1月1日で判定で整理しています。

良い点は、買換えに伴う現金不足を抑える選択肢が2027年末まで残ったことです。譲渡益が3,000万円を超え、売却代金以上の住まいへ移る世帯では、売却年の納税を抑えられる可能性があります。売却と購入が重なる年の資金繰りには効きます。

その上で、制度の名前には注文したい点があります。「買換え特例」だけでは、税が消えるのか、先へ移るのかが伝わりません。売主向けの説明では、現在の課税額だけでなく、将来の取得費まで同じ紙に載せる必要があります。

比べる数字は、譲渡益・売却代金・買換額の3つ

3,000万円控除と買換え特例の比較は、譲渡益、売却代金、買換額の3つを置くと、今年払う税と将来へ送る税を分けて見られます。

たとえば、売却代金4,500万円、建物の減価償却後の取得費と譲渡費用の合計2,000万円、譲渡所得2,500万円とします。次の住まいを5,000万円で買う前提です。3,000万円控除なら、控除後の課税譲渡所得はゼロになります。買換え特例でも、要件を満たせば売却年の課税を繰り延べられます。

売却年だけなら、どちらも課税が生じないように見えます。しかし、買換え特例で繰り延べた2,500万円は消えていません。将来、次の住まいを売る際の計算へ引き継がれます。この例では、3,000万円控除と買換え特例の違いは2026年の納税額ではなく、将来の売却時に出ます。

次に、売却代金7,000万円、取得費と譲渡費用の合計2,000万円、譲渡所得5,000万円とします。3,000万円控除を使っても、税率を掛ける前の課税譲渡所得は2,000万円残ります。買換額が7,500万円で要件を満たすなら、買換え特例では売却年の課税を繰り延べる余地があります。

同じ売却でも、買換額が5,500万円なら話が変わります。売却代金との差額1,500万円に対応する部分は、売却年の課税計算へ入ります。正確な譲渡所得は取得費と譲渡費用を按分して計算するため、「差額1,500万円がそのまま税金になる」という意味ではありません。

※ 上の2例は制度の違いを示す単純化した試算です。取得費には建物の減価償却を反映し、実際の課税額は所有期間、10年超所有軽減税率の適否、ほかの特例で変わります。

家計では税だけを見ません。売却代金から住宅ローン残高、仲介手数料、登記費用、引っ越し費用、税を引きます。残債精算の順番は住宅ローンの残債がある家を売る|抵当権抹消の3手順で確認できます。税が少なくても、購入時の自己資金が足りなければ買換えは進みません。

当社は特例を先に決めず、二つの手取り表を作る

当社は税の特例が使えるという最終判断をせず、税だけを理由に次の住まいを急いで買う提案も行いません。そのかわり、二つの制度を使った場合の手取り表を分けて作ります。

一枚目は、3,000万円控除を使う案です。売却代金から残債、諸費用、控除後の概算税額を引きます。二枚目は、買換え特例を使う案です。売却年の概算税額に加え、次の住まいの購入額、借入額、住宅ローン控除の見込み、将来売る場合に繰り延べた利益が残ることを書きます。

買換先が中古住宅なら、住宅の省エネ区分を示す書類も資金計画に関わります。2026年入居の控除期間と、売主から引き継ぐ証明候補は中古住宅売却と住宅ローン控除|2026年の3資料で整理しています。

私は、税額が小さく見える案を先に選ばせる説明に迷いがあります。買換え特例は、次の住まいを売らずに住み続ける予定なら選択肢になり得ます。しかし、数年後の住み替えや施設入居まで考える世帯には、将来の税額が家計へ戻ってきます。これは相談事例の紹介ではなく、売主の判断材料を減らさないための私の考えです。

今年の納税額だけで選ぶのは危ない。今の家を売った後の現金、次の家に入れる自己資金、住宅ローン控除、将来売ったときの税。この4行がそろって、家計での比較になります。売却価格ではなく手取りから考える理由は手取り額で考える|なぜ仲介をすすめるのかにもまとめています。

なお、自分が住んでいる家の3,000万円控除と、相続した空き家の3,000万円控除は別制度です。相続した実家を売る方は、対象家屋と取り壊し期限を空き家の3000万円控除|買主の取り壊しでも2027年末までで切り分けてください。

売却契約の前に、5つの資料と年表をそろえる

自宅を売るか、次の住まいを買うか決める前に、取得費、売却費用、所有・居住期間、買換額、入居年を確認できる資料をそろえます。

  1. 今の家を買ったときの契約書と領収書。土地・建物の取得費と購入時の費用を確認します。
  2. 売却査定書と売却費用の見積書。売却代金、仲介手数料、測量や解体の見込みを置きます。
  3. 登記事項証明書と住民票等。譲渡年1月1日時点の所有期間と、通算の居住期間を確認します。
  4. 次の住まいの物件資料。購入額、建物面積、土地面積、築年、耐震要件を照合します。
  5. 借入れの試算。借入額、入居予定年、住宅ローン控除を使う想定年を年表へ書きます。

住宅ローン控除は、旧宅の特例を使う年と新居へ入る年の関係で制限があります。新居への入居年、その前2年、入居後3年の範囲が判断に関わります。「特例で税を抑え、住宅ローン控除も同じ前提で受ける」と決めず、契約前に年表を税務署または税理士へ見せてください。

今日、売却か買換えかを決める必要はありません。まず、今の家の購入時契約書を探し、売却予定額と次の家の予算を一枚に書く。それで譲渡所得が3,000万円以内か、買換額が売却代金を上回るかを確認できます。最終的な適用要件と申告は、税務署または税理士へ確認してください。

※ 出典(2026年9月6日確認・すべてHTTP 200):財務省「令和8年度税制改正の大綱(1/9)」(2025年12月26日閣議決定)/国税庁「令和8年度 土地・建物等を譲渡した場合の特例のあらまし」(2026年5月)/国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」/国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」/国税庁「No.3358 売った金額より少ない金額でマイホームを買い換えたとき」。制度、要件、金額は変わることがあります。

よくある質問

自宅売却の3,000万円控除と買換え特例は併用できますか?

同じ譲渡へ重ねて使うことはできません。3,000万円控除は譲渡所得から最高3,000万円を差し引き、買換え特例は一定の譲渡益への課税を将来へ繰り延べます。譲渡所得、売却代金、買換額、将来の売却予定を並べ、どちらを選ぶか税務署または税理士へ確認してください。

売った自宅より高い家へ買い換えれば、売却の税金はなくなりますか?

買換え特例の要件を満たし、買換資産の価格が売却代金以上なら、売却年の課税を繰り延べられる場合があります。ただし免税ではありません。繰り延べた譲渡益は消えず、将来その住まいを売る際の譲渡所得計算に反映されます。

3,000万円控除や買換え特例と住宅ローン控除は一緒に使えますか?

新居への入居年、その前2年、入居後3年の範囲で旧宅の特例を使うと、住宅ローン控除を使えない組み合わせがあります。売却年だけでなく新居の入居年を年表にし、3,000万円控除、買換え特例、住宅ローン控除の適用年を契約前に税務署または税理士へ確認してください。

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富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役・宅地建物取引士の大石浩之

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
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