不動産会社の免許確認|売却依頼前の3手順

査定の説明は納得できた。担当者とも話しやすい。あとは媒介契約書に署名するだけ。その段階で、一度だけ手を止めて、依頼する会社を公的な情報で確かめてください。媒介契約とは、不動産会社へ売却の仲介を依頼する契約です。
確認するのは、担当者の印象ではなく、契約の相手になる会社です。免許、所在地、処分履歴を分けて見ると、検索で分かったことと、まだ聞くべきことを整理できます。大石浩之(磐田市/不動産業)が、宅地建物取引士の立場で署名前の手順を説明します。磐田市で売却を考える方にも、全国共通で使える確認方法です。
監督処分163件は、依頼先の評価点ではない
国土交通省が2026年10月2日に公表した令和7年度の調査では、宅地建物取引業者への監督処分は163件でした。前年度より16件増えています。ただし、この集計から特定の会社の仕事ぶりや、売却の成否は分かりません。
出典:国土交通省「令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果」。対象は2025年度、発表日は2026年10月2日。免許取消85件、業務停止36件、指示42件の合計が163件です。2026年10月3日確認。
私は、売主が自分で依頼先を調べられる点を、公的検索の良さだと考えます。会社から渡された資料だけでなく、別の入口で正式名称や免許を照合できる。契約相手を取り違えないための、具体的な道具になります。
一方で、検索結果の空欄が安心の証明に見えてしまう点には注文があります。意外かもしれませんが、国の処分検索でも全都道府県を網羅していません。私は「何も出なかった」で確認を終える説明にはしません。検索できる範囲と、問い合わせ先までを一組で案内します。
163件という数字は、売主の不安をあおるために使うものではありません。全国の処分件数を、自分が依頼する会社の危険度に置き換えない。手元の契約書案に書かれた会社について、次の3手順を進めます。
手順1:企業情報検索で宅建業免許を調べる
宅建業免許の確認は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」から始めます。宅地建物取引業者の検索画面で、会社名か免許番号を使って依頼先を探してください。
- 会社の公式サイトや媒介契約書案から、正式な会社名と免許番号を控える。
- 国土交通省の宅地建物取引業者検索を開く。
- 「商号又は名称」で検索する。画面の注意に従い、株式会社・有限会社等を除いた名称を入力する。免許番号でも照合する。
- 該当する会社の情報を開き、会社名、代表者、所在地、免許行政庁を控える。
ここで調べる免許は、仲介を依頼する事業者の宅地建物取引業の免許です。担当者個人の宅地建物取引士という資格と混ぜないでください。会社を調べたいときは、会社の正式名称と業者の免許番号を尋ねます。
名称検索で見つからなければ、入力した表記を見直します。店の看板に使う名前と、契約する法人の名前が同じとは限りません。候補が複数出たときも、名前が似ているだけで選ばず、免許番号と所在地を併せて確認します。検索条件を一度減らすことも、入力違いを切り分ける方法です。
見つからない段階で、無免許だと結論を急ぐ必要はありません。ただ、確認できていない事実は残ります。当社は、確認できないまま「大丈夫です」で契約を進める案内はしません。代わりに、どの名称と番号で確認するのかを示し、解消してから依頼内容を詰めます。
手順2:所在地を媒介契約書案と照合する
企業情報検索の所在地は、媒介契約書案の会社名・住所と並べて確認します。住所だけを眺めるのでなく、売却を依頼する相手が同じ事業者なのかを見る作業です。
国土交通省の消費者向け案内は、企業情報検索で免許の有無、代表者名、所在地、免許行政庁等を確認できると説明しています。免許行政庁とは、免許を出す行政機関のことです。国土交通大臣免許か、都道府県知事免許かを控えておくと、未確認事項を問い合わせる先を整理できます。
本店の住所と相談した店舗の住所が違う場合は、直ちに問題と決めつけず、「この店舗と契約書の会社は、どういう関係ですか」と聞きます。移転や表記の相違だという説明なら、確認できる資料も求めます。口頭説明だけで同じ会社だと思い込まないためです。
| 並べるもの | 売主が確かめること |
|---|---|
| 正式名称と免許番号 | 検索結果と契約書案が同じ事業者を指すか |
| 本店・相談店舗の所在地 | 住所の違いを説明できるか。必要な資料があるか |
| 免許行政庁 | 会社の説明と合っているか。確認先を控えたか |
私は、比較した資料に確認日を添えることを勧めます。後日見返すときに、どの時点の情報で判断したのかが分かるからです。画面の保存は自分の確認用にとどめ、会社の評価として切り取って広めるものにはしません。
契約相手を確かめた後に、依頼の種類を選びます。専任媒介と一般媒介の違いは、その次の判断です。会社の確認と、契約方式の比較を一度に済ませようとすると、どちらの疑問が残ったのか分かりにくくなります。
手順3:処分履歴と検索の限界を確認する
処分履歴は、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で別に確認します。会社の免許が見つかったことと、過去の処分情報を調べたことは、別の確認です。
宅地建物取引業者の処分検索を開き、事業者名を入力します。結果がなければ正式名称を見直し、処分年月日や地域を狭く指定しすぎていないか確かめます。結果が出たら、年月日、処分の種類、対象事業者、内容まで読みます。同名の別会社を取り違えない照合も必要です。
同サイトの注意事項によると、公開期間は5年で、情報更新はおおむね月1回です。また、同サイトで情報を公開しない自治体もあります。したがって、検索結果が0件でも、全期間・全国を通じて処分がなかった証明にはなりません。掲載対象は免許取消、業務停止、指示です。
出典:国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」の宅地建物取引業者ページ、利用上の注意事項。2026年10月3日確認。検索画面や公開対象は変わることがあります。
正確な情報を確かめたい場合、国土交通省の消費者向け案内は、企業情報検索で免許行政庁を調べ、その行政庁へ個別に問い合わせるよう案内しています。検索サイトの結果だけで終わらず、自治体の公表ページも確認してください。
問い合わせには、「正式名称は○○、免許番号は○○です。売却の媒介契約前に確認しています。処分情報を確認できる公開先と対象期間を教えてください」と伝えると、目的が明確になります。会社の良し悪しを保証してもらう質問ではなく、確認可能な公的情報を尋ねる質問にします。
処分が見つかった場合も、見出しだけで自分の取引への影響までは判断できません。処分内容と時期を読み、現在の状況や疑問点を免許行政庁に確認します。検索で分かる事実と、依頼を任せたいかという売主の判断を分けてください。
署名前に「未確認」を残せるかが大事
免許や所在地を確認しても、査定価格の妥当性や販売計画の中身までは保証されません。公的な確認を終えたら、価格の根拠、費用、販売報告の方法を別に聞きます。
私はこう考えます。調べ終わらないまま署名する必要はありません。会社を疑うか信じるかの二択にすると、質問しにくくなる。確認済みの欄と未確認の欄を分け、「この住所の違いだけ教えてください」と聞けばいい。今日の成果は契約を一つ進めることより、決めるための材料が一つ増えることです。
正直に言えば、どこまで調べれば安心して任せられるか、私にも一律の線は引けません。検索結果が整っていても、説明に納得できないことは残ります。だから当社は、免許の確認をもって販売の説明を終えません。机上査定と訪問査定で分かることと、レインズ登録証明書の確認方法を、契約相手の確認とは別に扱います。
当社は買主にならず、買取や買取保証を率先して行いません。その代わり、仲介での販売計画と費用を示し、売主様の手取り額を検討します。買取や買取保証という売り方そのものを否定する意味ではありません。どの方法でも、会社の確認と取引条件の比較は省かない、という立場です。
署名前に一枚のメモへ、正式名称、免許番号、所在地、免許行政庁、処分検索の確認日、残った質問を書いてください。空欄があれば、その項目を聞く。回答を受けてから媒介契約を決める。私は、この順で案内します。
出典・確認日:国土交通省の施行状況調査結果、消費者向け案内、企業情報検索システム、ネガティブ情報等検索サイト(本文中にリンク、2026年10月3日確認)。制度・掲載範囲・数値は変更されることがあります。免許や処分の正確な情報は免許行政庁へ、契約内容の個別判断は宅地建物取引士や弁護士などの専門家へ確認してください。
よくある質問
企業情報検索で見つからない会社は無免許ですか。
検索で見つからないだけでは、無免許とは断定できません。正式名称と店名の違い、入力表記、検索条件を見直し、業者の免許番号でも確認します。会社へ正式名称と免許番号を尋ね、それでも確認できなければ免許行政庁へ問い合わせます。確認できていない項目を残したまま、媒介契約を急ぐ必要はありません。
処分履歴が0件なら、安心して売却を任せられますか。
0件という検索結果は、過去に処分が一度もなかった証明ではありません。国のサイトは全都道府県を網羅せず、公開期間は5年、更新はおおむね月1回です。自治体の公表情報や免許行政庁への照会も使って確認してください。免許や処分の確認とは別に、査定の根拠、費用、販売計画の説明も受けて判断します。
免許と所在地を確認した後、媒介契約前に何を聞けばよいですか。
売り出し価格の根拠、仲介手数料と別途費用、販売活動の内容、報告方法を聞きます。レインズ登録証明書をどう受け取るかも確認項目です。公的検索で分かるのは会社の免許等の情報であり、その物件の販売成果ではありません。未確認の質問をメモにして回答を受け、納得できてから契約方式と依頼先を決めます。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。