机上査定と訪問査定の違い|2026年44地区上昇

ネットの机上査定が届くと、次に出てくるのが訪問査定の案内です。数字はもう出ているのに、家の中まで見てもらう意味があるのか。まだ売ると決めていない段階では、そこで手が止まります。
机上査定の数字は、家を見ずに置いた仮定を含みます。訪問査定の役目は、その数字を営業の勢いで上げることではありません。道路、境界、建物、資料を見て、仮定を事実へ置き換えることです。
この記事では、机上査定と訪問査定が答える問いを分けます。国土交通省が2026年6月に公表した44地区の地価上昇も、戸建ての査定額へどう読めばよいかを整理します。
机上査定と訪問査定は、答える問いが違う
当社では、机上査定を価格帯の入口、訪問査定を売り出し価格と販売計画を組む工程として分けています。
| 比べる項目 | 机上査定 | 訪問査定 |
|---|---|---|
| 主な材料 | 所在地、登記面積、築年、間取り、地図、公的データ、周辺の成約・売出事例 | 机上の材料に、接道、間口、高低差、境界、建物状態、修繕履歴、関係書類を加える |
| 分かること | 似た条件の物件から見た、おおまかな価格帯 | 物件固有の加減項目と、売り方・期限を含む価格帯 |
| 残る不確実さ | 現地でしか分からない条件の大半が残る | 買主の反応、融資、交渉による変動は残る |
| 使いどころ | 売却を検討するか、相談先を絞るかを考える | 売り出す条件と、見直す日を決める |
どちらも成約価格の約束ではありません。机上査定で2,000万円と出ても、2,000万円で買う人が決まったわけではないからです。訪問後の数字にも、販売期間や買主層という前提が残ります。
訪問査定を頼むことと、媒介契約を結ぶことも別です。当社では、訪問後に査定書と説明を受け取り、持ち帰って比べていただけます。売却を見送る判断も残したまま、数字の解像度だけを上げられます。
44地区すべて上昇でも、戸建ての査定額とは別
国土交通省の2026年第1四半期地価LOOKレポートでは、2026年1月1日から4月1日までに、調査対象の44地区すべてが上昇区分でした。
対象は、主要都市の高度利用地等です。東京圏21地区、大阪圏11地区、名古屋圏4地区、札幌・仙台・広島・福岡の地方圏8地区で構成されています。用途別では住宅系21地区、商業系23地区です。
内訳を見ると、42地区は0%超3%未満でした。3%以上6%未満だった2地区は、銀座中央と品川駅港南口の商業系です。住宅系21地区はすべて0%超3%未満でした。
私は、44という見出しから受ける勢いより、変動率区分の中身を見ます。
前回の調査対象は80地区で、80地区すべてが上昇でした。2026年第1四半期から対象地域が絞られ、36地区が廃止されています。
私が意外に感じたのは、この母数の変更です。44対80だけを比べて「上昇地区が減った」とは読めません。
44地区上昇だけで戸建ての査定額を上げるのは、数字の翻訳ではなく飛躍です。
地価LOOKレポートは、市場の向きを見る材料にはなります。一方で、磐田市の戸建ての接道、土地形状、建物状態を示す資料ではありません。0%超3%未満という区分から、個別物件へ1%や2%を足す計算もできません。
全国指標と個別査定を分ける考え方は、中古戸建売却相場|2026年5月指数と査定額を比較でも整理しています。指数は追い風か向かい風かを知るものです。家一軒の値札に変えるには、現地の条件が要ります。
訪問査定では、机上の仮定を現地で消していく
訪問査定で見るのは、築年数をもう一度入力することではなく、価格を動かす未確認項目の有無です。
| 机上で置く仮定 | 現地・資料で確かめること | 販売計画への影響 |
|---|---|---|
| 地図どおりに出入りできる | 道路の種類と幅、間口、共有や私道の関係、高低差、駐車のしやすさ | 買主層、建て替えの見込み、説明資料 |
| 登記面積どおりに使える | 境界標、塀、越境の有無、擁壁、排水、測量図との違い | 測量や合意に要る費用と日程 |
| 築年相応の建物である | 雨漏りや白蟻被害を疑う跡、傾き、外壁、設備、増改築、修繕記録 | 告知、写真、修繕せず売る案、引渡し条件 |
| 登録情報と建物が一致する | 間取り、床面積、建築確認、検査済証、増築部分の資料 | 買主への説明と融資資料の準備 |
訪問査定は、建物状況調査(インスペクション)ではありません。査定担当者が目視しても、構造や雨漏りの原因まで診断したことにはなりません。調査を入れる時期と役割は、売却時のインスペクションはいつ|契約前の判断で分けています。
排水設備も現地確認で費用が具体化する項目です。磐田市で下水道未接続の家を売る際の3確認では、区域、工事見積もり、負担者を手取りと引渡し条件につなげています。
地域区分も価格へ効きます。当社の重点地域である磐田市の不動産売却では、市街化調整区域にある戸建てもあります。住所と面積だけで済ませず、許可の履歴や建て替えの見込みまで確認して、買主へ渡す資料を決めます。
私はこう考えます。机上の段階で一本の金額に絞れば、説明は短くできます。正直、その方が分かりやすいのではと迷うこともあります。けれど、未確認の接道や建物状態まで数字へ織り込んだ顔をさせると、売主の判断材料を減らします。幅を残し、訪問後にどの項目で動いたかを示す方が誠実です。
高い査定額より、差額の説明を比べる
机上査定と訪問査定は、提示額の高さではなく、数字を後からたどれるかで比べます。
良い点は、まだ決めない段階でも材料が増えること
机上査定なら、訪問日を決める前に価格帯を見られます。訪問査定なら、掃除やリフォームを契約する前に、どこが加点・減点の候補かを聞けます。2段階に分けることで、売却の可否と相談先を同じ日に決めずに済みます。
訪問で減点候補が見つかっても、修繕が答えとは限りません。費用をかけず現状のまま売る案、資料をそろえて説明する案、価格へ織り込む案を並べられます。売却価格ではなく、費用を引いた見込み手取りで選びます。
注文したいのは、査定書に4つの答えを残すこと
- 比較した成約事例は、いつ、どの範囲で成約したか。
- 自宅との差を、何で足し、何で引いたか。
- 想定する販売期間と、価格を見直す日はいつか。
- 仲介手数料、測量、片付けなどを引くと、手元へいくら残る見込みか。
成約事例は、売主側でも不動産情報ライブラリの3画面から確かめられます。査定書の事例と時期・面積を並べれば、金額が違う理由を質問しやすくなります。
査定額と売り出し価格も同じではありません。価格を決めるのは売主です。上乗せする幅と見直す日は、売り出し価格の決め方のように、買主の資金と反響を前提に置きます。
当社がやらないことも明記します。当社では、買取を前提に売却の道筋を組むことを率先して行いません。当社が買主になることはありません。そのかわり、仲介で目指す価格帯、期限ごとの見直し、費用を引いた見込み手取りを同じ表でお出しします。買取や買取保証を選ぶ判断そのものは否定しません。
訪問前は、家を磨くより5項目をそろえる
訪問査定の前に用意するのは、完璧な掃除ではなく、机上の仮定を減らす5項目です。
- 物件を特定する資料:所在地、地番、登記事項証明書、共有者が分かるもの。
- 土地の資料:公図、地積測量図、境界確認書、私道や通行に関する書面。
- 建物の資料:間取り図、建築確認済証、検査済証、増改築や修繕の記録。
- 分かっている不具合:雨漏り、白蟻、設備故障、越境などを短いメモにする。
- 売主側の条件:住宅ローン残高、希望時期、先に差し引きたい費用、残したい手取り。
資料が全部そろわなくても、訪問は始められます。「ない」「分からない」と書いた一覧も材料です。探す順番と確認先を査定書へ残せば、売ると決めた後の手戻りを減らせます。
今日の確認は1つで足ります。机上査定書の余白に、現地未確認の項目が書かれているかを見てください。書かれていなければ、接道、境界、建物状態、資料の4欄を作り、訪問時に何を確かめるか質問します。
売却の結論は、その回答を受け取ってからでも遅くありません。机上査定で幅を知り、訪問査定で幅が動く理由を知る。今日の成果は、売ると決めることではなく、決める材料を一段増やすことです。
出典:国土交通省「主要都市の地価は9期連続で全地区において上昇~令和8年第1四半期地価LOOKレポート~」(2026年6月26日公表、2026年9月8日確認)。調査対象、評価区分、公表時期は変わることがあります。査定は個別物件と販売時点で変わります。税務・登記・相続の判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家へご確認ください。
よくある質問
机上査定と訪問査定で金額が違うのはなぜですか?
机上査定は所在地、面積、築年、周辺の成約事例などへ仮定を置きます。訪問査定では接道、間口、高低差、境界、建物状態、増改築や修繕の資料を確認するため、加減項目が増えます。差額だけでなく、どの仮定が変わったかを書面で確認してください。
訪問査定を頼むと、その会社に売却を依頼しなければなりませんか?
当社では、訪問査定を依頼しても媒介契約を結ぶ必要はありません。査定書、比較した成約事例、加減理由、想定する販売期間、費用を引いた見込み手取りを受け取り、持ち帰って検討できます。売却を見送る選択も含め、数字の根拠がそろってから判断してください。
地価LOOKで44地区すべて上昇なら、戸建ての査定額も上がりますか?
個別の戸建てが上がるとは限りません。44地区は主要都市の高度利用地等で、住宅系21地区はすべて0%超3%未満の区分でした。接道、土地形状、建物状態、地域の成約事例を示す資料ではないため、市場の向きを見る材料と個別査定の根拠を分けて確認します。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。