不動産査定と鑑定評価の違い|売主の3比較

家の売却を考えて査定額を受け取ったものの、「この数字で決めてよいのか」と迷う。そこで、不動産鑑定士にも頼んだ方がよいのかと考える方へ。比べたいのは、金額の高さよりも、その資料で何を決められるかです。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士の立場から、当社の売却相談で使う査定と、不動産鑑定士による鑑定評価の役割を分けて整理します。地域の売却条件は磐田市の不動産売却ページでも確認できます。
国土交通省が2026年9月18日に公表した案内では、10月1日から31日は「土地月間」です。土地に関する講演会や無料相談会が行われます。10月25日は期間内ですが、相談会に参加することと、個別物件の鑑定評価を依頼することは分けて考えたいところです。
1.目的の比較:売り方を決めるか、価格の根拠を示すか
当社は、売り出し価格と販売計画を組む入口として査定を使います。一方、鑑定評価を検討するときは、誰に、何のために価格の根拠を示すのかを先に確かめます。同じ家の金額を扱っていても、依頼の目的をそろえないと比較になりません。
日本不動産研究所の「不動産鑑定評価の基礎知識」では、仲介業務の中で行う価格査定は、法律上の不動産鑑定評価から除かれると説明されています。査定書のページ数を増やせば鑑定評価書になる、という関係ではありません。名称だけでなく、誰がどの業務として作成した資料なのかを見ます。
私は、一般の買主を探して自宅を売る計画なら、まず査定の根拠を聞くところからでよいと考えます。近隣の比較事例、建物の状態、売却希望時期がどう価格へ反映されたか。この説明で判断できるなら、追加の資料を頼むかどうかは、その後に決められます。
ただし、価格を第三者に説明する必要がある場合は、査定だけで足りると決めつけません。提出先があるなら、求める資料の種類を確認します。共有者への説明や専門家への相談でも、何を判断する資料なのかを伝えてから、鑑定の必要性を相談する順序を勧めます。
| 比較する点 | 当社の売却査定 | 鑑定評価を頼む前の確認 |
|---|---|---|
| 目的 | 売り出し価格と販売計画の検討 | 提出先・利用者と必要な評価の目的 |
| 費用 | 当社の査定・初回相談は無料。売却の仲介料とは別 | 報酬、実費、税、追加作業の条件 |
| 成果物 | 価格の根拠と売り方の判断材料 | 評価書の種類、評価の時点・条件・利用範囲 |
査定の中にも、資料を基にする机上査定と、現地を確認する訪問査定があります。その選択は机上査定と訪問査定の違いで扱っています。本記事の比較は、査定方法の細かさではなく、査定と鑑定を何に使うかです。
2.費用の比較:追加の支出で何が解決するか
当社は査定・初回相談を無料としていますが、仲介を依頼して売買が成立した場合の仲介手数料は別です。鑑定評価を外部へ依頼する場合も、当社の査定と一つの料金だと考えず、依頼先の見積書で確認します。
大分県不動産鑑定士協会の費用に関する説明では、鑑定の料金は各事務所が定めています。不動産の種類、土地のみか建物付きかといった区分、評価方法などでも異なります。この記事では全国一律の相場を置きません。金額だけを比べる前に、同じ範囲の仕事を見積もっているかを確かめてください。
当社が手取りを考えるときは、成約代金から仲介手数料、測量や片付けなどの費用、借入金の返済を差し引きます。鑑定を依頼するなら、その支出も別欄へ加えます。税金は別途確認し、支払時期も並べます。資料代を払う時点と、売却代金が入る時点は同じとは限らないためです。
例えば、追加の鑑定費用を仮に20万円と置くなら、成約代金と他の支出が同じ場合、費用を払わない案より手元は20万円減ります。これは計算のための仮定であり、報酬相場や当社の料金ではありません。価格を上乗せして回収できるとも想定していません。
私は、費用が減るだけでよいとは言い切れず、ここは迷うところです。価格の根拠を示せずに売却判断が止まっているなら、資料を整える意味があります。一方、すでに根拠を説明できるのに、安心感だけで追加発注するのは勧めにくい。支出で解決したい疑問を一文にしてから判断したいと考えます。
見積もりでは、税込総額、現地調査や資料取得の範囲、納期、追加費用の条件を聞きます。依頼を中止した場合の精算も確認事項です。安い見積もりを選んだ後で、必要な用途に使えないと分かる方が、売主にとって負担になります。
3.成果物の比較:金額以外の説明を受け取る
当社の査定では、価格の根拠と販売計画が読めるかを見ます。鑑定評価では、評価額だけでなく、評価した時点や条件、依頼した目的に合う資料かを確認します。どちらも表紙の金額だけでは、判断に使える範囲が分かりません。
日本不動産研究所は、鑑定評価の成果を記す文書について、基本的事項、鑑定評価額、決定の理由を記述するものと説明しています。日本不動産鑑定士協会連合会も、依頼者向けに業務や評価書のチェックリストを公開しています。専門家に任せる場合も、受け取った資料の説明を求める入口があります。
当社は査定の説明で、比較事例と対象の家の違い、まだ調べていない項目を分けます。境界や接道、建物の不具合が未確認なら、その仮定を残したまま金額だけを確定したように扱いません。分からない部分を埋める調査と、価格の評価は分けて段取りを組みます。
鑑定を相談するときも、「評価書をください」で終わらせず、利用目的と提出先を伝えます。対象は土地だけか建物も含むか、いつの時点の価値か、何を前提にするか。出来上がった後に用途の違いへ気付かないよう、発注前に書面の内容を説明してもらうのが私の考えです。
手元の資料で周辺の取引を確かめたいときは、不動産情報ライブラリで成約価格を見る方法も参考になります。ただし、周辺の事例は対象の家そのものの取引ではありません。面積や時点だけを合わせて、同額で売れると置き換えないようにします。
査定額と鑑定評価額が違ったら、前提をそろえる
当社は、査定額と鑑定評価額に差があっても、高い方をそのまま売り出し価格にはしません。評価の時点、対象範囲、物件の状態、利用上の条件がそろっているかを見てから、違いの説明を受けます。
例えば、建物を残した状態と解体後の土地を想定した状態は、同じ条件ではありません。評価の時点が異なる資料も、そのまま横並びにできません。金額の差を一つずつ、前提の差なのか、判断の差なのかに分けると、次に聞く質問が具体的になります。
当社は、高い数字を得るためだけに鑑定を勧めません。鑑定評価書を受け取ることは、買主との売買契約が成立することとは別です。売却では、購入希望者の予算や引渡し条件との調整も残ります。資料の金額を成約の保証として扱わない姿勢を、当社は守ります。
当社は買主になることをせず、買取や買取保証を率先して行いません。そのかわり、価格の根拠、売却の期限、費用を差し引いた手取りを並べて、売り方を検討します。買取を選ぶ事情がある場合も、その選択自体は否定せず、提示条件を比較します。
価格の根拠を確認した後は、販売開始時の価格と見直しの条件を決めます。具体的な検討は売り出し価格の決め方へつながります。査定と鑑定の優劣を決めることが、売却計画の完成ではありません。
今日決めるのは、依頼先より「解消したい疑問」
当社は、追加の依頼を決める前に、現在の査定書で答えが出ていない疑問を一つ書くことを勧めます。「この価格の比較事例は何か」「家族へ説明するには何が足りないか」など、金額以外の問いに直します。
価格の根拠が見えないなら、まず査定の説明を求めます。第三者へ示す資料の種類が決まらないなら、提出先へ確認します。現地の未確認事項が問題なら、その調査を相談します。私は、三つの問いを一括して鑑定の依頼に置き換えない方が、支出と手戻りを整理できると考えています。
売るかどうかは、今日決めなくてもかまいません。査定で足りるのか、追加の調査が要るのか、鑑定を相談するのか。その判断材料を一つ増やすことから始めてください。鑑定の用途・評価条件は依頼する不動産鑑定士へ、税務・登記・相続の個別判断は税理士・司法書士などへ確認します。
出典・確認日:2026年10月25日確認。国土交通省「10月は土地月間、10月1日は土地の日」(2026年9月18日公表、実施期間・行事内容)。日本不動産研究所「不動産鑑定評価の基礎知識」(第一章1、鑑定評価報告書)。大分県不動産鑑定士協会「鑑定評価Q&A」(費用に関する回答)。日本不動産鑑定士協会連合会「評価書チェックリスト」。制度や案内、料金は変わることがあります。個別の費用・納期・利用範囲は依頼前に確認してください。
よくある質問
鑑定評価を頼めば、査定額より高く売れますか?
鑑定評価額は成約価格の保証ではありません。評価の時点や条件を踏まえた価格の根拠として読みます。当社は査定額との違いを前提ごとに確認し、購入希望者の予算や引渡し条件も含めて販売計画を考えます。高い数字を得る目的で依頼せず、追加費用で何を確認したいのかを先に整理してください。
土地月間の無料相談で鑑定評価書も受け取れますか?
無料相談の案内だけで、個別物件の鑑定評価書が交付されるとは判断できません。相談内容、持参資料、受けられる説明の範囲を主催者へ確認してください。評価書が必要なら、相談とは分けて、依頼先に用途、調査範囲、報酬、納期を確かめます。無料相談と有料業務を同じサービスとして扱わないことです。
当社へ査定を頼むと、売却の媒介契約も必要ですか?
当社では、査定・初回相談の依頼だけで媒介契約を結ぶ必要はありません。価格の根拠、想定する販売期間、仲介手数料などの費用を確認し、売却を見送る選択も含めて検討できます。鑑定を外部へ依頼する場合の報酬や条件は別に確認し、追加の支出を決める前に、必要な資料の用途を整理してください。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。