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2026.09.08 更新)価格査定売却準備レインズ

不動産情報ライブラリで成約価格を見る|査定前の3画面

記事内容をもとに生成したイメージ:不動産情報ライブラリで成約価格を見る|査定前の3画面
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。
この記事の結論不動産情報ライブラリの成約価格情報は、地図・検索ダウンロード画面・CSVの3画面で確認できます。指定流通機構(レインズ)の成約データを国土交通省が加工したもので、直近の更新は2026年7月です。表示は町字単位、種類は「土地と建物」と「中古マンション等」のみで、更地の事例は出てきません。

査定を3社に頼んだら、金額が数百万円離れて戻ってきた。高いほうが正しいのか、低いほうが現実的なのか、自分では決められない。売却の入口でいちばん手が止まるのはこの場面だと私は考えています。

言い切ってしまいます。金額が開いたときに見るべきは金額そのものではなく、各社が根拠に使った成約事例の「時期」と「面積」です。そして、その成約事例は売主様も自分で見られます。この記事では、国土交通省の不動産情報ライブラリで成約価格を確認する手順を、3つの画面に分けて書きます。

ネットで机上査定を受け取り、現地を見てもらう段階へ進むか迷っている方は、先に机上査定と訪問査定の違いで、机上で置く仮定と現地で確かめる項目を分けてください。

成約価格情報は、レインズの成約データを加工したもの

不動産情報ライブラリの「成約価格情報」は、指定流通機構(レインズ)が保有する成約データを、国土交通省が個別の取引を特定できないよう加工して公表しているものです。不動産会社が査定の根拠に使う成約事例と、出どころが同じ系統の数字だと考えてよいものです。

国土交通省の資料「不動産情報ライブラリの概要について」(2026年8月12日更新)によると、このサイトは2024年4月1日に公開されました。地図に重ねられる情報は2026年8月12日時点で38コンテンツ、API配信は37コンテンツです。価格の情報は、国土交通省地価公示・都道府県地価調査・不動産取引価格情報・成約価格情報の4つに分かれています。

同じ資料に、2024年4月1日から2026年7月31日までの累計ページビューが39,899,027回と載っています。地図画面で表示された情報別の内訳(合計20,552,004件)では、成約価格情報が2,536,632件で4番目でした。これを集計期間の852日で割ると、1日あたり約2,977回になります。ざっくりした割り算ですが、査定の場で「レインズの事例です」と言われる数字を、同じ日に売主様自身が開いて見ている状態が、すでに1日3,000回近く起きているという意味です。

※ 分母の852日は、2024年4月1日から2026年7月31日までの日数(両端を含む)です。ページビューは閲覧回数であり、利用した人の数ではありません。

見る前に1つ決めておくことがあります。成約価格情報と不動産取引価格情報は別物です。不動産取引価格情報は、国土交通省が法務省から登記の異動情報を受け取り、買主にアンケートを送って集めたもので、平成18年(2006年)4月から続いています。成約価格情報のほうは宅地建物取引業者が媒介した成約のデータです。どちらを見るか決めずに地図を開くと、性質の違う数字が同じ画面に並びます。

画面①:地図で自分の町字に成約価格情報を重ねる

1つ目の画面は地図です。不動産情報ライブラリのトップから地図を開き、「価格情報」の中の「成約価格情報」にチェックを入れます。売りたい家のある町字を表示すると、土地取引件数・不動産取引価格情報の件数・成約価格情報の件数が並んで出ます。

ここで最初につまずくのが表示の単位です。国土交通省は、個人情報保護の観点から個別の取引が容易に特定されないよう、取引価格情報と成約価格情報を町字単位(面)で提供しています。地図に出るのはその家の場所ではなく、町字の代表点です。地図画面に表示されるのは直近5年分で、それより古い取引は次の画面②で探します。

磐田市で見るときは、価格情報と一緒に「区域区分」も出しておくことをおすすめします。磐田市には市街化区域と市街化調整区域の線引きがあり、同じ町字でも区域が違えば建てられるものが変わるからです(磐田市の不動産売却)。袋井市と森町は非線引きで市街化調整区域がないため、重ねても区域区分の色は出ません(袋井市の不動産売却|用途地域で確認する3本の線)。

画面②:検索画面で絞る。更地は成約価格情報に出てこない

2つ目の画面は「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」です。トップページから入ると、①地域 ②価格情報区分 ③種類 ④時期の4つを指定する検索条件が並びます。地域は住所からでも路線・駅名からでも指定できます。

ここに、売主様が空振りしやすい制限が1つあります。国土交通省のマニュアルには「成約価格情報は【土地と建物】・【中古マンション等】のみ検索可能です」と書かれています。種類の選択肢には土地・土地と建物・宅地・中古マンション等・農地・林地が並びますが、成約価格情報で選べるのはこのうち2つだけです。更地・畑・山林を売る場合、成約価格情報の区分では事例が1件も出ません。その場合は価格情報区分を「不動産取引価格情報」に切り替えて探します。

時期は年と四半期で指定します。国土交通省のAPI仕様では、四半期は1が1月〜3月、2が4月〜6月、3が7月〜9月、4が10月〜12月と定義されていて、成約価格情報は2021年以降を指定できます。

更新の時期も押さえておくと、事例の鮮度を自分で判断できます。前掲の国土交通省資料の更新予定表では、成約価格情報と不動産取引価格情報の2026年(令和8年)の更新が「2026/4、7済、10、2027/1」と記載されています。年4回、3か月ごとです。2026年8月26日の時点では2026年7月の更新が最新で、査定書の事例がそれより新しいなら、公表前のレインズのデータということになります。

画面③:CSVに落とし、3つの条件で絞ってから割り戻す

3つ目の画面は、ダウンロードしたCSVです。検索結果の画面からCSVファイルを落とせます。表計算ソフトで開いて並べ替えるところまでやると、査定書と同じ土俵に立てます。

並べ替える前に、3つの条件で行を減らします。①土地面積が自分の家の前後2割に収まるもの、②延床面積も前後2割、③建築年が前後5年。この3つで絞ってから、残った行の取引総額を見ます。

順番を逆にしないほうがよい理由があります。成約価格情報の「土地と建物」は、土地と建物を合わせた総額です。築5年の家と築40年の家を同じ列で平均すると、出てくるのは自分の家と関係のない数字になります。

絞り込んだあとに私がやるのは、坪単価への読み替えです。仮に、残った3件がいずれも土地180㎡・延床100㎡・築25年前後で、総額が1,850万円・1,980万円・2,050万円だったとします。この例では真ん中が1,980万円、土地面積で割ると総額ベースで約11.0万円/㎡、坪に直すと約36.4万円/坪です。査定書に2,480万円と書いてあるなら、この幅との差500万円が何で説明されているのかを聞く材料になります。

※ 上の金額は手順を説明するための仮の数字で、実際の成約事例ではありません。坪への換算は1坪=約3.30578㎡で計算しています。総額を土地面積で割った単価には建物分が含まれるため、土地の単価そのものではありません。接道の方向・道路の幅・間口・高低差・境界の状態で、同じ町字の中でも価格は動きます。

正直に書きます。この3画面で出せるのは幅であって、自分の家の値段そのものではありません。町字単位までしか公表されないので、同じ町の中で道1本違えば数百万円動くことがあります。町字の成約価格情報が0件や1件しかない地域では、絞り込んだ結果が1件も残らないことも起こります。私は、このデータで査定額の当否を判定できるとは考えていません。査定額が「どのあたりの幅の、どちら寄りに置かれた数字か」を知るための道具だと思っています。

3画面を見たあと、査定書に聞く3つのこと

不動産情報ライブラリの良い点を先に数えます。①査定の根拠に使われる成約データを、売主様が費用も会員登録もなしに同じ日に見られること。②価格・都市計画・災害・周辺施設の情報を1枚の地図で重ねられること。③CSVで落とせるので、不動産会社が出した資料と並べて比べられること。この3つは、2024年4月より前にはなかった環境です。

そのうえで、一事業者として注文したい点も2つあります。1つは、成約価格情報が「土地と建物」と「中古マンション等」に限られていること。更地・農地・山林は、売主様が自分で確かめる手段がいちばん薄い領域なのに対象外です。もう1つは町字単位という粒度で、個人情報保護という理由は理解できるものの、同じ町字の中の差が価格の大半を決める地方では幅が広くなりすぎます。

3画面を見たあと、査定書に聞くことは3つに絞れます。1つ、比較に使った成約事例の成約時期。2つ、その事例の土地面積・延床面積・建築年。3つ、自分の家との差を何で足して何で引いたか。宅地建物取引業法第34条の2第2項は、宅地建物取引業者が売買すべき価額について意見を述べるときはその根拠を明らかにしなければならないと定めています。根拠を聞くのは遠慮の要る質問ではありません(売り出し価格の決め方|金利3.29%と値下げの時期)。

当社の立場も書いておきます。当社は買主になりません。買取・買取保証を率先して行いません。そのかわりにやることは、査定価格の根拠を紙で示し、比較に使った成約事例の一覧を一緒にお渡しすることです。すでに買取の提案を受け取っている場合、その中身を確認する順番は「買い取ります」と言われたら、先に確認したい3つのことにまとめてあります。

今日できることを1つ挙げるなら、不動産情報ライブラリを開いて、自分の町字に成約価格情報が何件あるかを数えることです。0件でも収穫になります。その町では公表された事例が薄いということが分かり、では査定額は何を根拠に置かれた数字なのかを聞く理由になるからです。今日のうちに売るかどうかを決める必要はありません。決めるための材料が1つ増えた、で十分だと考えています。査定と一緒にこの一覧もお作りしますので、かんたん入力のフォームからお声がけください。

※ 出典(いずれも2026年8月26日確認):国土交通省「不動産情報ライブラリの概要について」(資料更新日2026年8月12日)/国土交通省「不動産情報ライブラリ」/同「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード画面 マニュアル」/同「XIT001 不動産価格(取引価格・成約価格)情報取得API」/国土交通省「不動産取引価格情報提供制度」/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第34条の2。掲載内容・更新予定・画面の構成は変わることがあります。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。

よくある質問

不動産情報ライブラリの成約価格情報は、誰でも無料で見られますか?

見られます。国土交通省が2024年4月1日に公開したサイトで、費用も会員登録もかかりません。同省の資料「不動産情報ライブラリの概要について」(資料更新日2026年8月12日)では、地図に重ねられる掲載情報が38コンテンツと記載されています(2026年8月26日確認)。ただし表示は町字単位で、個別の物件の場所や成約日は分かりません。

更地や畑の成約価格も調べられますか?

成約価格情報の区分では出てきません。国土交通省のマニュアルに「成約価格情報は【土地と建物】・【中古マンション等】のみ検索可能です」と明記されています(2026年8月26日確認)。更地・農地・山林を調べるときは、価格情報区分を「不動産取引価格情報」に切り替えて種類を選び直してください。当社は、事例が薄い土地ほど根拠の紙をお出しするようにしています。

ライブラリで見た金額と査定額が違うとき、どう考えればいいですか?

その場で高い・安いを判断しないほうがよいと考えています。町字単位の数字なので、道路の幅や間口が違えば同じ町でも価格は動きます。査定書の側に、比較した成約事例の成約時期・土地面積・延床面積・建築年と、足し引きの理由を聞いてみてください。宅地建物取引業法第34条の2第2項で、価額の意見にはその根拠を明らかにする義務が業者側にあります。

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文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
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