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2026.09.20 更新)相続・空き家登記売却準備段取り

所有不動産記録証明制度|2026年開始、売却前の確認法

記事内容をもとに生成したイメージ:所有不動産記録証明制度|2026年開始、売却前の確認法
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。
この記事の結論Q. 相続した不動産を売る前に、対象の漏れをどう確かめますか? A. 所有不動産記録証明書を取り、旧住所・旧姓を含む検索条件と固定資産税資料を照合します。証明書だけで漏れなしとは扱わず、名義・地目・持分まで物件表にしてから、売る・残すを決めてください。

相続した実家を売ろうとして、固定資産税の納税通知書を見たら土地が何筆も載っていた。ところが、親が昔買った山林や私道の持分まで入っているかは分からない。売却査定の前に、この「分からない」を残したくない方のための制度が始まりました。

所有不動産記録証明制度は、登記名義人の氏名・住所などを手掛かりに、全国の不動産登記を検索して証明書にする仕組みです。ただし、証明書は完成した財産目録ではありません。売却前には、旧住所を含めた検索と、手元の資料との照合が要ります。

2026年2月2日開始|誰の何を一覧にできるのか

所有不動産記録証明制度は、2026年(令和8年)2月2日に始まりました。不動産の所有権の登記名義人本人と、その相続人その他の一般承継人が請求できます。登記官が指定された検索条件を使い、該当する全国の不動産を一覧にして証明します。

請求は全国の法務局・地方法務局、その支局・出張所で受け付けます。書面は窓口提出か郵送、オンラインは申請用総合ソフトを使います。受け取りは窓口か郵送です。相続人が請求するときは、故人との相続関係を示す戸籍謄本や法定相続情報一覧図なども用意します。

法務省の2026年5月版パンフレットでは、手数料は検索条件1件・証明書1通につき、書面請求1,600円、オンライン請求の郵送交付1,500円、窓口交付1,470円です。書面で旧住所など4条件を指定して1通取るなら、4件×1通×1,600円で6,400円になります。

請求から交付までの日数は、請求先の法務局へ確認する扱いです。売買契約の直前に取るのでは遅いことがあります。相続登記の期限も含めた段取りは、相続登記の義務化|過料10万円と2027年3月の期限で整理しています。

※ 制度開始日、請求できる人、手数料、請求方法は法務省と政府広報オンラインの案内を2026年9月1日に確認しました。

良い点は全国検索。注文したい点は「漏れなし」と読めないこと

所有不動産記録証明制度の良い点は、物件の所在を先に知らなくても、登記名義人から全国を探せることです。市町村ごとに名寄帳を取り寄せる方法では、そもそも土地がある市町村を知らなければ動けません。遠方の山林や共有私道を探す入口が、1本増えました。

意外なのは、検索結果が0件でも「該当不動産なし」の証明書が交付され、手数料は戻らないことです。氏名と住所の組み合わせが検索条件なので、登記簿に残る旧住所や旧姓を入れなければ、実在する不動産が抽出されない場合もあります。同名の別人の不動産が候補に入る場合もあります。

一覧に記載された物件も、本人または故人のものだと最終確定したわけではありません。地番や家屋番号を手掛かりに登記事項証明書を取り、所有者欄と持分を確かめます。反対に、手元の権利証にある物件が一覧にないなら、検索条件の表記を見直します。「出た物件」と「出なかった物件」の両方を調べることで、証明書が売却準備に使える資料になります。

地番・家屋番号が分かった後の請求方法と、取得済み資料の二重取得を減らす順番は、登記事項証明書の取り方|家売却前の3手順で説明しています。

この制度で登記名義の候補を確認することと、不動産会社が売主本人を確認することは別の手続きです。遠方・オンラインで相談する際の本人確認書類と2027年4月の変更は、不動産売却の本人確認|2027年4月の変更にまとめました。

この証明書は、全国の不動産を漏れなく保証する完成品ではありません。これは制度を低く評価する話ではなく、使い方の話です。私は、便利な一覧だからこそ、検索条件と照合資料を証明書と一緒に残すべきだと考えています。

ここからは私の判断です。私はこの制度を売却前の入口として勧めます。一方で、旧住所が何か所もある故人について、費用を掛けてどこまで検索条件を増やすかは迷います。答えは一律ではありません。戸籍の附票で住所履歴を先に並べ、土地を持っていた時期と重なる住所から調べるのが、家計と漏れの両方を見た現実的な順番です。

請求前に旧住所を並べる|手数料と検索漏れを同時に減らす

所有不動産記録証明書を請求する前に、故人の氏名と住所の履歴を1枚に並べます。現在の表記だけで請求を終えると、古い住所のまま登記された土地が検索から外れることがあるためです。

  1. 戸籍の附票などで住所履歴を確認する。旧姓がある場合は、氏名の履歴も同じ表に置きます。
  2. 固定資産税の納税通知書、権利証、遺産分割協議書を集める。分かっている物件の市町村・地番・家屋番号を書き出します。
  3. 氏名と住所の組み合わせを決めて請求する。検索条件1件ごとの手数料を計算してから通数を決めます。

住所履歴は、古い順に全部を機械的に検索条件へ入れるとは限りません。たとえば、持ち家を取得する前に住んでいた住所と、取得後に登記へ記録した住所では、調べる意味が違います。取得時期が分かる権利証や売買契約書が残っていれば、その日付を住所履歴の横へ書きます。分からない部分だけを法務局へ相談すれば、質問が「何を持っていますか」から「この表記を条件へ入れるべきですか」に変わります。

登記簿の住所が現在と違う場合、証明書の検索だけでなく、売却決済の前にも手当てが要ります。2026年4月1日から始まった申請義務と、売却までの順番は住所変更登記が2026年4月から義務に|売る前の段取りをご覧ください。

当社は、証明書に載った物件をそのまま「全部売れます」と査定表へ移しません。そのかわり、固定資産税資料と登記事項証明書を照合し、名義・地目・持分・接道・現況を1件ずつ確認します。証明書が見つける道具なら、売却用の物件表は判断する道具です。

証明書を売却用の物件表へ変える5項目

所有不動産記録証明書を受け取ったら、所在地、名義、地目・種類、持分、次の確認先の5項目で売却用の物件表を作ります。一覧に載っていることと、市場で同じ条件で売れることは別だからです。

確認欄売却前に見る内容次の行動
所在地市町村、地番、家屋番号現地と登記事項証明書を合わせる
名義故人単独か、共有か相続登記と共有者の意思確認
地目・種類宅地、山林、田畑、居宅など用途や許可の確認先を分ける
持分全部か、一部の持分か単独で処分できる範囲を確認する
次の確認先法務局、市町村、司法書士など期限と担当者を日程表に入れる

この表では、売る順番まで一度に決めません。自宅敷地の土地と建物、道路の共有持分、遠方の山林が並んだ場合、買主候補も確認先も別です。まず「住宅と一緒に売却を検討」「共有者の確認が先」「単独で出口を検討」の3つに分けます。分けた後で、維持費、現地確認の負担、売却に掛けられる期間を記入します。査定価格は、その後に入れる数字です。

ここで順番を逆にし、住宅だけの査定額を先に比べると、私道持分の不足や山林の管理負担が後から出てきます。価格が高く見える提案でも、売却に含まれない土地が残れば、ご家族の手元から管理の仕事は消えません。当社は査定書と一緒に、売却後も残る物件がないかを一覧で示します。

たとえば山林が1筆見つかっても、住宅と同じ買主へ一括で売れるとは限りません。共有持分だけなら、共有者との調整が先です。使う予定のない土地が混ざったときは、売れない土地は国庫帰属か売却か|取下げ1102件の中身の比較も判断材料になります。

当社は買主にならず、買取を率先して行いません。そのかわり、物件ごとの売り方と費用を分け、仲介で市場に出す場合、期限を優先して買取を比べる場合、持ち続ける場合を同じ表に置きます。査定額ではなく、売却後に手元へ残る額で比べるためです。

一覧に出ても、今日すべてを売ると決めなくていい

所有不動産記録証明書を取る目的は、売却を急いで決めることではありません。持っている不動産の候補を見える状態にし、売る・貸す・残すを選べるようにすることです。

一覧に出たからといって、今日すべてを売ると決めなくていい。ただ、名義が故人のままか、共有者がいるか、固定資産税資料に載っているかまでは確認してください。そこまで分かれば、売らない選択をしても、次の相続で同じ調査をやり直す負担を減らせます。

ご家族の意見が分かれているときも、先に物件表を共有できます。「全部処分するか」という大きな問いでは話が止まりやすいものです。住宅は売却候補、道路持分は住宅と一体、山林は現地確認後、と1行ずつ分ければ、合意できる部分から準備できます。所有不動産記録証明書は、結論を急がせる紙ではなく、話を小さく分ける紙として使えます。

今日できる確認は、故人の戸籍の附票、固定資産税の納税通知書、権利証を同じ場所に置くことです。住所と氏名の履歴を1枚に書けば、法務局へ何条件で請求するかを相談できます。売却する物件が固まった後は、売却の流れに、相続登記や住所変更登記の日程を加えます。

所有不動産記録証明書は査定書ではなく、売れる価格も示しません。当社は証明書の取得だけを条件に売却を迫りません。物件表ができた段階でいったん止まり、ご家族が決めるための材料として、仲介・買取・保有の手取りと期限を並べてご案内します。

※ 出典(2026年9月1日確認):法務省「所有不動産記録証明制度について」および政府広報オンライン「不動産の相続登記義務化!過去の相続分は?所有不動産を一覧的にリスト化する新制度も開始!」。制度・手数料・必要書類は変わることがあります。登記・相続・税務の個別のご判断は、司法書士・税理士など各分野の専門家にご確認ください。

よくある質問

所有不動産記録証明書は、誰が請求できますか?

所有権の登記名義人本人と、その相続人その他の一般承継人が請求できます。相続人が故人名義の不動産を調べる場合は、相続関係を示す戸籍謄本や法定相続情報一覧図などが要ります。代理人による請求もできます。必要書類は請求する法務局へ事前に確認してください。

所有不動産記録証明書の手数料はいくらですか?

2026年9月1日確認の法務省資料では、検索条件1件・証明書1通につき、書面請求1,600円、オンライン請求の郵送交付1,500円、窓口交付1,470円です。書面で旧住所など4条件を指定して1通取るなら6,400円。該当不動産がなくても手数料は戻りません。

証明書を取れば、相続した不動産の漏れはなくなりますか?

漏れがないとは言い切れません。検索条件の氏名・住所と登記記録が一致しない不動産は、抽出されない場合があります。旧住所・旧姓を調べ、固定資産税の納税通知書、権利証、遺産分割協議書と照合してください。売却前には登記事項証明書で名義・地目・持分も確認します。

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富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役・宅地建物取引士の大石浩之

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
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