管理計画認定と管理適正評価の違い|売主の3比較

「管理計画認定を受けています」と「管理適正評価で星を取得しています」。マンションを売るために資料を集めると、似た名前の説明が並ぶことがあります。どちらも管理を見る仕組みですが、同じ証明ではありません。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として、今回は売主が手元の資料を読み分けるために、運営主体・判定方法・有効期間の3点を比べます。制度への申請を急ぐ話ではなく、いま何を説明できるかを整理する売却準備です。
マンション管理業協会が2026年10月13日に公表した資料によると、管理適正評価制度の登録は9月30日時点で13,449件。前四半期末より1,181件増えています。ただし、登録が増えたという数字と、自分の住戸がいくらで売れるかは別の話です。
比較1:認定する主体と評価する仕組み
管理計画認定は地方公共団体が行う認定、管理適正評価はマンション管理業協会が運営する評価の仕組みです。まず通知書や登録証の制度名を読み、どちらの資料なのかを分けます。
同協会の制度説明ページは、管理計画認定の運営主体を地方公共団体としています。一方、管理適正評価は、講習を修了した管理業務主任者やマンション管理士が管理状態を評価し、協会への登録を経て情報を公開する流れです。管理会社の名前が資料にあるだけで、制度を判別することはできません。
売主が最初に探すのは、自分の住戸番号が書かれた広告ではなく、マンションの管理に関する通知書や登録結果です。資料の正式名称、対象のマンション、確認できる日付を一枚ずつ拾います。同じ建物で両方の制度を利用していることもあるため、一方が見つかった時点で探すのを終えないほうがよいと私は考えます。
管理規約そのものも、認定通知書とは役割が異なります。規約は暮らしや組合運営の基本の決まりです。書類が混ざったときは、管理規約と使用細則の違いを確認し、制度の証明と利用ルールを別の束にします。
私は、売主に制度の名前を暗記していただく必要はないと思っています。担当者に「これはどの制度の資料で、いまも有効ですか」と尋ねられる状態なら、次の確認に進めます。認定という言葉だけを抜き出して広告に移すより、資料名を残すほうが説明の食い違いを減らせます。
比較2:認定の有無と6段階の星評価
管理計画認定は基準を満たす管理計画の認定であり、管理適正評価は30項目の得点を6段階で示す評価です。「認定あり」と「星が多い」を同じ欄へ置き換えず、それぞれの結果を確かめます。
マンション管理業協会の説明では、管理適正評価は管理体制、建築・設備、管理組合収支、耐震診断関係、生活関連の5カテゴリーを扱います。各項目の得点の合計により、星なしから星5までの6段階を表示します。星の数だけでなく、どの項目でどんな結果が出ているかを見るための仕組みです。
意外かもしれませんが、星5を取得していることだけでは、管理計画認定を取得した証明にはなりません。協会は両制度のワンストップ申請を案内していますが、二つの結果を一つの結果に変える仕組みではありません。売出し資料に認定取得と書くなら、認定の資料も確認します。
2026年10月13日の公表資料では、ワンストップサービスを通じて申請し、認定を取得したマンションは3,255件です。この数は、その経路で取得した件数であって、全国の管理計画認定の総数ではありません。登録13,449件との差を、そのまま「認定を受けていない件数」として紹介することもしません。
私は、買主への説明では「星5です」で終えるより、「この制度の、この時点の評価です」と資料へ戻れる説明にしたいと考えます。評価が示す範囲と、売却住戸の設備や利用条件の確認は分けます。管理状況をどこまで開示するかは、マンション売却で見せる管理資料の記事で整理しています。
評価のないマンションについても、評価がないという事実と、管理状態の良し悪しを分けます。未登録なのか、更新の途中なのか、手元に資料がないだけなのか。売主が確認できていないことまで、管理不良という意味に読み替えないようにします。
比較3:5年と1年、有効期間を分ける
管理計画認定の有効期間は5年、管理適正評価の有効期間は1年と、協会の比較表に示されています。どちらも取得したことがあるかだけでなく、売出し時点で何が有効かを確認します。
管理適正評価の説明ページは、登録完了・公開日からの表示期間を1年間としています。更新がない場合の表示延長についても別の説明があります。そのため、検索でページが見つかったという理由だけで、今年度の更新が済んでいるとは判断しません。登録日、評価結果、更新状況を確認します。
たとえば、手元に古い登録証と新しい管理資料がある場合、古い星の表示を新しい資料の評価だと扱うと時点がずれます。この例で必要なのは、星の数を書き直すことではありません。現在の登録結果を管理組合や管理会社へ尋ね、広告に記載する内容を合わせることです。
認定の有効期間が5年でも、その間の月々の管理費や修繕積立金が変わらないという意味にはなりません。売却時点の負担額や決議済みの変更を、認定とは別に確認します。払い込んだ積立金の扱いも、マンション売却で修繕積立金は戻るかと合わせて整理すると、手取りの見込みを作りやすくなります。
私は、長い有効期間を「しばらく何も調べなくてよい期間」とは考えません。制度の証明が有効かという確認と、買主がこれから負担する数字が最新かという確認は、同時に進めたい作業です。認定通知書と直近の管理資料には、それぞれ確認日を付けます。
星を値段へ置き換える前に、売主ができること
売主が今日できることは、認定・評価の資料名と期限を管理組合や管理会社へ確認することです。取得や更新を売却の前提にせず、まず確認済みの情報と未確認の情報を分けます。
私は、管理の取り組みを外から確認できる仕組みには良い面があると考えます。建物の見た目や築年数だけでは分からない組合運営を、売却資料の中で説明できるからです。管理に費用や時間をかけてきたことを、資料と結び付けて伝える入口になります。
その上で、私は星の数だけで売出し価格を上乗せしません。今回確認した登録状況の資料は、売却価格や手取り額の増加を示す資料ではありません。認定や評価を取得した費用が、売却でいくら回収できるかも、この数字からは計算できません。
当社は、認定や評価の有無だけを理由に売却を急がせません。そのかわりに、資料の制度名、確認日、期限を整理し、販売時に説明できる材料へつなげます。当社は買取を率先して行いませんが、買取という選択そのものを否定するものでもありません。どの売り方でも、確認できていない星や認定を値段の根拠にしない姿勢は同じです。
私にも、売却までに更新を待つほうがよいかは一律に決められません。売主の期限、組合の手続き、いま用意できる資料が異なるからです。まず「現時点の資料で何を説明でき、何が未確認か」を整理し、その上で販売開始の時期を考えます。
今日の問い合わせは、「このマンションが利用している制度の正式名称と、最新の通知書・登録結果・有効期限を教えてください」の一文で足ります。売るかどうかの結論を先に出す必要はありません。資料の名前と日付がそろえば、売却を選んだときにも、まだ保有を続けるときにも判断の材料が残ります。
資料を受け取ったら、制度名、対象建物、結果、確認日、有効期限を一行ずつメモに残すと照合しやすくなります。空欄があれば推測で埋めず、誰に何を尋ねるかを書きます。売主と担当者で同じメモを見れば、広告を作る前に確認の残りを共有できます。
出典と確認範囲
制度の比較と登録数は、2026年11月7日に確認した以下の一次情報に基づきます。登録統計は全国の当該制度の登録状況であり、特定地域や個別住戸の売却価格を示すものではありません。
- マンション管理業協会「マンション管理適正評価制度 登録状況等について」:2026年10月13日公表。表紙、PDF2ページ(資料内1/17)の登録数・評価別登録数。
- マンション管理業協会「マンション管理適正評価制度」:「国の『管理計画認定制度』との違い」「6段階でマンションの管理状態を評価」「表示期間」。ページ自体の公表日は未確認です。
制度や費用、手続きは変更されることがあります。個別マンションの取得・更新状況は管理組合・管理会社へ、認定の取り扱いは所在地の地方公共団体へ確認してください。税務・登記・相続の個別判断は税理士・司法書士など各分野の専門家へ確認してください。
よくある質問
星5なら管理計画認定も取得していますか?
星5の評価だけでは、管理計画認定を取得した証明にはなりません。管理適正評価と管理計画認定は別の制度です。両制度の申請をまとめる仕組みもありますが、売却資料に認定取得と書くなら、認定通知書などで取得と有効期限を別に確認します。星の数から認定の有無を推定しません。
認定や評価がないと売却できませんか?
認定や評価がないという理由だけで、売却できないと判断するものではありません。未登録と管理不良も同じ意味ではありません。売主は取得状況に加え、直近の管理費、修繕積立金、工事や一時金の決議などを確認します。認定の有無だけで値下げや売却の可否を決めず、現時点で説明できる資料を整理します。
売却前に売主一人で申請すればよいですか?
個々の売主が住戸の証明として単独で取得する、という前提では進めません。管理適正評価の登録には管理組合の総会決議などの手続きがあります。まず管理組合や管理会社へ取得・更新状況を尋ねます。新たな申請や更新が必要か、その時期や費用も含め、管理組合と該当制度の窓口へ確認してください。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。