売却中の空き家管理費|仲介料と別になる3条件

転居を終えて、売り出す家には誰も住んでいない。鍵は仲介担当に渡した。それなら窓を開けたり、庭を見たりする作業も任せたことになるのか。売却中の空き家管理費は、この思い込みをほどくところから確認します。
内覧のために鍵を預けることと、定期的な管理を依頼することは別です。この記事では戸建ての見回りなどの委託費を扱います。分譲マンションの管理組合へ払う管理費とは区別してください。
仲介と見回りは同じ依頼ではない
売却の仲介を頼んでも、定期巡回や草刈りまで自動的に含まれるとは限りません。媒介契約は、売買の相手探しや契約成立に向けた仲介の依頼です。家を維持する作業の範囲は、別に確かめます。
国土交通省は、2024年7月1日施行の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の通達改正で、媒介以外の関連業務を整理しました。空き家管理の例として、除草、通風、通水、清掃、定期的な点検、郵便物の保管・転送などを挙げています。原文は2026年9月21日に確認しました。
同資料は、媒介契約との区分を明確にし、別途書面等で締結した契約に基づく報酬について、宅建業法の媒介報酬規制の対象とならないと説明しています。仲介料とは別の報酬を受け取れる扱いです。2026年に新設された仕組みではありません。
意外かもしれませんが、仲介料の上限を確認しただけでは、売却中に払う費用の総額は決まりません。別に頼む管理業務があるか、そこで何を約束するかが残るからです。逆に、この改正だけを理由に全ての空き家へ管理費が生じるわけでもありません。
私は、仕事と対価の境目が見える点は良いと考えます。持ち主の方が遠方にいても、必要な作業を選んで頼む話ができます。その上で注文したいのは、「管理一式」という言葉で終わらせないことです。外から見るだけなのか、室内に入って通風するのかで、依頼する内容は違います。
なお、低廉な空家等の媒介報酬の特例と、管理業務の別報酬は別の話です。前者の対象や仲介料の確認は、800万円以下の空き家の仲介手数料で整理しています。管理費を仲介料の特例と混ぜて計算しないでください。
別報酬を確認する3条件
空き家管理の別報酬は、①媒介との業務区分、②別途書面等での契約、③その契約に基づく報酬、の順で確認します。この3条件は国土交通省資料を売主の確認用に分けたもので、法令上の「三要件」という名称ではありません。
1.仲介に含む仕事と、管理の仕事を分ける
まず、内覧対応などの仲介業務と、定期巡回などの管理業務を一覧にします。たとえば「内覧時に窓を開ける」と「内覧がない月も訪問して通風する」は、実施のきっかけが違います。同じ作業名が二つの見積書にあるなら、どの訪問をどちらで数えるのか聞きます。
管理を頼む場合は、室内への立入り、庭、郵便受け、点検後の報告まで範囲をそろえます。点検で不具合を見つけたときの連絡と、修理の発注も分けてください。点検を頼んだだけで、修理代まで含まれるとは判断できません。
2.媒介とは別の契約内容を残す
次に、管理の契約内容を媒介と区別し、書面等で確認します。頼む相手、対象の家、開始日、訪問回数、終了条件が読み取れる形にします。紙か電子かだけに目を向けず、後から持ち主と受託者の双方が同じ内容を確認できるかを見ます。
売買契約の締結日と、買主へ鍵を渡す引渡し日は同じとは限りません。「売れるまで管理する」という表現なら、どちらの日に終わるのかを具体化します。媒介契約を終了した場合や、別の窓口へ売却を頼み直す場合の扱いも、管理の契約で確かめます。
3.基本報酬と追加費用を契約に結びつける
最後に、月額、初回費用、追加訪問、草刈り、交通費などの内訳を確認します。税込総額と支払日、日割りの有無、解約時の精算も確認対象です。別報酬の扱いが明確になったことと、提示された金額で依頼するかは別の判断です。
当社は、仲介と管理の境目が曖昧なまま、別費用の説明を済ませません。そのかわりに、含まれる作業と含まれない作業を確かめ、追加作業を誰の承認で発注するかまで確認します。当社自身の仲介料も、管理費と同じ手取り表に載せます。
月額を引渡しまでの総額に直す
空き家管理費は、月額に管理期間を掛け、初回費用と追加作業を足して考えます。売買契約が成立する日ではなく、管理を終了する日までの支出を見積もると、引渡し前の費用が抜けにくくなります。
私はこう考えます。月5,500円を「小さな出費」で済ませない。売却の手取りは、待つ費用を引いて初めて比べられます。次の金額は計算を見せるための仮定です。相場でも、当社の管理料金でもありません。
| 税込の仮定 | 3か月で終了 | 6か月で終了 |
|---|---|---|
| 月額5,500円 | 16,500円 | 33,000円 |
| 初回費用11,000円 | 11,000円 | 11,000円 |
| 草刈り1回22,000円 | 22,000円 | 22,000円 |
| この例の管理委託費合計 | 49,500円 | 66,000円 |
全額税込、月単位で課金、初回費用と草刈りは各1回、ほかの追加作業なしと仮定した試算です。6か月案でも草刈り1回で足りるという予測ではありません。必要回数や料金は個別の見積もりで置き換えます。
この例で3か月延びる差は16,500円です。ただし、これは管理委託費だけの差です。電気・水道、火災保険、自分で訪問する交通費など、別に負担する支出もあります。保険をいつまで続けるかは、引渡し前に確認する火災保険の3項目も参照してください。
手取り表では、成約見込額から仲介料、管理委託費、その他の売却費用をそれぞれ引きます。ローンが残る場合は返済額も別欄に置きます。同じ請求を管理費とその他費用の両方へ入れないよう、明細を見て転記してください。売出価格から引くだけなら、確定した手取りではなく見込みです。
私は、管理期間を最初から何か月で置くかには迷います。売れる日を先に言い切れないからです。そこで一つの日付に賭けず、予定どおりの案と3か月延びた案を並べます。売却期間から組む販売と引渡しの期限と合わせると、管理費が増える時期を家族の予定表に書けます。
契約前に担当者へ渡す確認表
管理を頼む前に、仲介担当へ「仲介料に含む作業と、別契約になる作業を分けた見積もりをください」と伝えてください。今日行う確認は、この一通で足ります。料金だけでなく、実施内容と終わり方まで回答をもらいます。
- 訪問は月何回か。室内、庭、郵便受けのどこまで確認するか。
- 鍵は誰が保管し、訪問後は写真や報告書をいつ受け取れるか。
- 台風後などの追加訪問は契約内か。別費用なら事前承認が必要か。
- 漏水や破損を見つけた場合、誰へ連絡し、修理は誰が発注するか。
- 管理を終了する日はいつか。解約の連絡期限と最終月の精算はどうなるか。
「月1回の訪問」という回答は、常時監視や全ての故障の発見を意味しません。どこまで見られる契約かを確認し、留守の間に異常が出た場合の連絡先を決めます。報告書には訪問日、実施作業、異常の有無があると、依頼内容と照らし合わせられます。
家族が見に行けるなら、その分だけ外注する範囲を減らす案もあります。ただし、担当を決めずに「誰かが行く」としておくと、実施したか分かりません。訪問する人と予定日を決め、できない作業だけ見積もってもらう方が、費用比較の条件をそろえられます。
私は管理費を引いた手取りで考える
売却中の空き家管理は、家の維持と売却の手取りを両方見て決める仕事です。管理を省く案も、全てを外注する案も、料金だけで選ばず、誰が何を引き受けるかを確認します。
大石浩之(磐田市/不動産業)として、私は管理費の見積もりを販売計画の隣に置きたいと考えます。磐田市の家を売却する相談でも、月々払う費用を伏せたまま成約見込額だけを示す案内にはしません。1円でも多く売主様の手元へ残すには、当社の報酬を含めて引くものを先に見せる必要があります。
当社は買主にならず、買取や買取保証を率先して行いません。そのかわりに、仲介を続ける期間の維持費も含めて比較します。買取や買取保証そのものを否定する話ではありません。期限を優先する場合は、各案の価格、費用、引渡し日をそろえます。当社が媒介する買取なら、仲介手数料も確認対象です。
管理費の見積もりを取ったからといって、今日売却を決める必要はありません。まず、空き家の見回りが誰の仕事になっているのかを確かめてください。私は、業務範囲、別契約、報酬の三つを確認してから、売却までの維持費を手取り試算に含める順で案内します。
出典:国土交通省「『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』(通達)の改正(令和6年7月1日施行)」の「媒介以外の関連業務」「報酬の受領」。2026年9月21日確認。制度や契約条件は変わることがあります。個別の契約と報酬は担当の宅地建物取引士へ、税務や登記の判断は税理士・司法書士等へご確認ください。
よくある質問
売却中の空き家の見回りは、仲介手数料に含まれますか?
自動的に含まれるとは限りません。内覧対応として行う作業と、定期巡回などの管理業務を分けて確認します。国土交通省の通達改正では、媒介と区分した別契約に基づく管理報酬の受領が整理されています。依頼前に、作業範囲、訪問回数、税込金額、報告方法を契約内容と照らし合わせてください。
家が売れなくても、空き家管理費はかかりますか?
契約内容によります。月額で管理を委託する契約なら、売買の成約に至らない期間も費用が生じる場合があります。仲介の成功報酬と同じ条件だと思わず、課金開始日、終了日、途中解約、日割りの有無を確認してください。売買契約後も引渡しまで管理する場合は、その期間の費用も手取り試算に含めます。
空き家管理の別報酬は、2026年に始まった制度ですか?
この記事で扱うのは、2024年7月1日施行の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の通達改正です。2026年に新設された仕組みではありません。媒介との区分を明確にした別契約に基づく報酬の扱いであり、空き家を売る人全員へ一律の管理費を課す説明ではありません。依頼内容と契約を確認します。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。