家売却でリフォームしない案|2026年補助と比較

築年数のたった戸建てを査定に出す前に、壁紙、水回り、外壁まで直したほうが売れやすいのか。きれいな家のほうが印象は良くても、工事代を売値へそのまま足せるとは限りません。
2026年には、住宅の断熱・省エネ改修を支える「みらいエコ住宅2026事業」があります。最大100万円という数字は目を引きます。ただし、古い家なら100万円が一律に出る仕組みではありません。売却のための見栄え直しと、制度が支える性能改修も同じではありません。
先に比べたいのは、現状のまま売る案、傷みを絞って直す案、補助対象となる性能改修をする案です。工事費だけでなく、補助見込額、売価への反映額、売り出しまでの日数を一枚に並べます。
最大100万円は、1991年までの住宅を所定の組合せで直す場合の上限
みらいエコ住宅2026事業の最大100万円は、1991年までに新築された住宅で、窓・躯体・特定設備を組み合わせ、義務基準相当まで改修する場合の1戸当たり上限です。古い住宅へ一律に100万円が交付されるわけではありません。
公式サイトでは、原則として2016年12月31日以前に新築された住宅が対象です。1992年から2016年までに新築された住宅を義務基準相当へ改修する場合の上限は80万円。次世代省エネ基準相当なら、1991年までが50万円、1992年から2016年までが40万円です。補助額は対象工事ごとの定額を合計し、この区分ごとの上限までとなります。
| 住宅の新築時期 | 義務基準相当 | 次世代省エネ基準相当 |
|---|---|---|
| 1991年まで | 上限100万円/戸 | 上限50万円/戸 |
| 1992年~2016年 | 上限80万円/戸 | 上限40万円/戸 |
※ 2017年以後の住宅でも、1999年基準を満たさないと証明できる場合は対象になり得ます。新築時期は登記事項証明書で確認します。補助額は工事費全額ではなく、対象工事ごとに定められた額の合計です。
要件となる工事は、トリガールームと呼ばれる主な居室で行う開口部の断熱改修、躯体の断熱改修、特定エコ住宅設備の設置です。キッチンや浴室を新しくするだけ、壁紙を張り替えるだけでは、この上限の根拠にはなりません。
意外なのは、補助を受けた後の住宅を販売・譲渡することが、財産処分の制限における例外として公式サイトに明記されている点です。売却予定だから初めから対象外、とは書かれていません。ただし、工事の完了や申請の手順を満たしたうえでの扱いです。
リフォームしない案は、工事費・売価・日数の3列で比べる
家売却でリフォームしない案を選ぶかは、工事費から補助見込額を引くだけでは決まりません。売価に反映できる見込額と、工事で延びる日数まで同じ表へ入れて判断します。
| 案 | 先に取る数字 | 売主側の注意 |
|---|---|---|
| 現状のまま売る | 現状査定、想定手取り、売り出し準備日数 | 傷みと未確認箇所を資料に残す |
| 必要箇所だけ直す | 修理見積り、修理後査定、完了予定日 | 安全・雨漏り・設備故障を優先する |
| 性能改修をする | 対象工事費、補助見込額、改修後査定、申請日程 | 登録事業者と対象要件を契約前に確認する |
補助の上限を先に見て工事を決めるのは、順番が逆です。制度としては100万円の枠に意味があります。ただ、売主の家計で先に出る問いは「自己負担はいくらか」「その分を売値で回収できるか」「いつ売り出せるか」です。私は、ここを数字にできない工事を売却前には勧めません。
たとえば、工事見積りが250万円、補助見込額が80万円なら、差引き170万円です。改修後査定が現状査定より120万円高いという前提なら、査定上の差だけでは自己負担を50万円回収できません。しかも、査定額は成約額の保証ではなく、申請と工事の間は売り出しも後ろへ動きます。
※ 250万円、80万円、120万円は比較方法を示す仮定です。実際の補助額は工事内容、住宅の新築時期、性能区分で変わります。実際の売価は買主の評価と販売状況で変わります。
改修費を売り出し価格へ上乗せする場合も、買主が借りられる額を無視できません。価格の上乗せ幅と見直す日は、売り出し価格の決め方で説明しています。見積りを取る前に、現状査定と改修後査定を同じ条件で出すことが先です。
制度の良い点を使い、売却前の過剰工事には線を引く
みらいエコ住宅2026事業の良い点は、見栄えではなく、窓・躯体・設備の性能を上げる工事へ支援を寄せていることです。買主が住み続ける家なら、光熱費や室内環境を考える材料になります。
申請を登録事業者が行い、補助金は契約代金への充当か現金で発注者へ還元する仕組みも分かりやすい部分です。予約は遅くとも2026年11月16日、交付申請は遅くとも2026年12月31日まで。予算上限に達した場合は早く終わります。対象となる工事着手日は2025年11月28日以後です。
その上で注文したい点があります。「最大100万円」だけでは、売却前に直すべきかを判断できません。工事前写真を撮り忘れると交付を受けられず、躯体断熱では工事中写真も要ります。所有者が自分で申請するのではなく、登録事業者が手続きをします。登録は国や事務局による優良事業者の認定でもありません。
ここからは体験談ではなく、私の判断です。私は古い家を見ると、直して見せたほうが買主に親切なのか、現状を隠さず見てもらうほうがよいのか迷います。見た目を整えれば内覧の印象は変わります。一方で、買主が自分の好みで直したい家なら、売主の工事が余分な費用になることもあります。
迷いを消すために、私は先に二つの査定を置きます。現状のままの査定と、工事項目を示した改修後の査定です。差が工事の自己負担を下回るなら、リフォームしない案を残します。差が上回っても、工期と申請日程を見てから決めます。
「直さなければ中古住宅は売れないのでは」と迷うときは、工事の有無と取引量の動きを分けて考えます。中古住宅は売れない?2026年5月販売量では、全国と中部の数字を販売開始後の反響確認へ翻訳しています。
当社は見栄えの一式工事を先に勧めず、二つの査定を出す
当社は、売却前の見栄えを整える一式リフォームを先に勧めません。そのかわり、現状査定と、工事項目を限定した改修後査定を同じ販売期間の前提で出し、手取り額を比べます。
「リフォームしない」は、「不具合を黙って売る」という意味ではありません。雨漏り、シロアリ、給排水の故障、傾きなど、把握している不具合は資料に残して買主へ説明します。安全上の応急処置や、被害を広げない修理は、見栄え直しとは分けて考えます。
工事が主要構造部の過半に及ぶ場合は、2025年4月以後の建築確認の扱いも確認します。工事の線引きは、建築基準法改正2025年4月|中古住宅の建て替えと売却にまとめました。補助の対象でも、確認申請が不要になるわけではありません。
当社は買主にならず、買取・買取保証を率先して行いません。現状売却は、すぐ買取へ決めることとも別です。短い期限の提案を受けたときの確認順は、「買い取ります」と言われたら、先に確認したい3つのことで整理しています。
そのかわり、仲介で試す期間、反響を確認する日、価格を見直す日を先に販売計画へ入れます。工事をしないことで残る費用と、現状売却で動く価格を、手取り額で考える売り方に直して示します。買取を選ぶ場合も否定せず、当社が媒介として複数の見積りを比較し、仲介手数料を含む手取り額を説明します。
今日することは、登記・写真・二つの見積りをそろえること
家を直すかどうかを今日決める必要はありません。登記事項証明書、工事前の写真、現状査定、工事見積りと改修後査定をそろえれば、三つの案を同じ条件で比べられます。
- 登記事項証明書で新築時期を確認する。1991年まで、1992年から2016年まで、2017年以後で上限と証明条件が変わります。
- 部屋と外観を工事前に撮る。補助申請に必要な写真と、現状査定に使う記録を兼ねます。工事を決める前に撮影します。
- 登録事業者へ対象工事と補助見込額を書面で聞く。上限額ではなく、検討中の工事項目ごとの見込額を出してもらいます。
- 仲介会社へ現状査定と改修後査定を頼む。販売期間をそろえ、工事費を引いた手取りで比べます。
査定を取っても、工事や売却を決める義務はありません。材料をそろえた後で、現状のまま売る、必要箇所だけ直す、性能改修をする、のどれを選ぶか決めれば足ります。建築確認の要否は設計者、特定行政庁、指定確認検査機関へ。補助対象と申請日程は登録事業者と事務局へ。税務・登記の個別判断は税理士・司法書士など各分野の専門家へご確認ください。
※ 出典(2026年9月2日確認・HTTP 200):みらいエコ住宅2026事業「リフォームの申請手続きの詳細」および「リフォームの対象要件」。手引きは2026年8月17日更新。制度、予算、対象製品、申請時期は変わる場合があります。個別工事への適用は登録事業者と事務局へご確認ください。
よくある質問
家を売る前に水回りや壁紙を新しくしたほうが売れますか?
見た目が整う効果はありますが、工事費を売価へ同額上乗せできるとは限りません。現状査定と、工事項目を示した改修後査定を同じ販売期間の前提で取り、工事費と補助見込額を差し引いた手取りで比べます。雨漏りや設備故障など被害を広げる不具合は、見栄え直しと分けて修理の要否を確認してください。
2026年のリフォーム補助は、古い家なら100万円もらえますか?
一律ではありません。最大100万円は、1991年までに新築された住宅で、窓・躯体・特定設備を所定の組合せで改修し、義務基準相当を満たす場合の上限です。補助額は対象工事ごとの定額の合計で決まります。登録事業者に、検討中の工事項目ごとの補助見込額を書面で確認してください。
補助を使ってリフォームした家は売却できますか?
みらいエコ住宅2026事業の公式サイトでは、補助後の住宅の販売・譲渡は財産処分制限の例外として示されています。ただし、対象工事、写真、完了、申請などの要件を満たす必要があります。売却予定と申請日程を登録事業者へ伝え、個別の工事と契約が対象になるか事務局にも確認してください。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。