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売却手順住宅ローン抵当権抹消登録免許税手取り額

抵当権が残る家を売る手順|決済抹消と登録免許税の計算

抵当権が残る家の売却手順を考えるために、登記簿謄本の見本、電卓、家の鍵、返済予定表を並べたイメージ
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。
この記事の結論Q. 住宅ローンが残っている家を売るには、抵当権をいつどうやって消しますか? A. 決済当日に売却代金を使って住宅ローンを一括完済し、司法書士がその日のうちに法務局へ抵当権抹消登記を申請します。登録免許税は土地・建物それぞれ1個につき1,000円です。完済書類の手配に2〜3週間かかるため、契約後すぐに借入先へ連絡する段取りが不可欠です。

住宅ローンが残っていても、家は売却できる

「住宅ローンの返済中ですが、この家を売りに出すことはできますか?」というご相談を、私は実務で日常的に受けています。結論から申し上げますと、住宅ローンの残債がある状態でも家を売却することは可能です。実際に中古住宅の売却相談の多くは、住宅ローン返済中の売主様からのものです。

ただし、買い手に家の所有権を引き渡す日(決済・引渡し日)までに、金融機関が設定している「抵当権」を抹消しなければなりません。抵当権がついたままの不動産を買い取る一般の買主はいませんし、買主が利用する住宅ローンの融資も実行されないからです。

実務では、あらかじめ自前の現金でローンを完済しておく必要はありません。買主から支払われる売却代金を使ってその場で住宅ローンを一括返済(繰上完済)し、金融機関から受領した抹消書類を使って、決済当日に司法書士が法務局へ抵当権抹消登記を申請する手順を踏みます。

売り出す前の最優先確認 売却代金で住宅ローン残債と売却諸費用(仲介手数料・登記費用・印紙代等)を完済できるかどうかが最初の分かれ道です。残債が売却想定価格を上回る「オーバーローン」の場合は、手持ち資金の持ち出しか、金融機関との合意による任意売却の検討が必要になります。

抵当権抹消登記にかかる費用と登録免許税の計算

抵当権を抹消するためには、法務局での登記手続きと税金の納付が必要です。法務局が公表している「不動産登記の申請書様式について(抵当権抹消登記)」(法務省・法務局公式ウェブサイト)に基づき、必要となる費用の内訳を整理します。

  • 登録免許税:不動産1個につき1,000円です。一戸建ての場合、土地1筆と建物1棟で合計2個となるため「2,000円」が基本です。私道負担や複数の筆にまたがる敷地の場合は、筆数分(1筆ごとに1,000円)が加算されます。
  • 事前調査費用・登記事項証明書代:決済当日の朝に最新の登記記録を確認するための登記事項確認費用(1通あたり数百円程度)がかかります。
  • 司法書士報酬:決済現場に立ち会い、完済の確認と法務局への抹消登記申請を代行する司法書士への報酬です。一般的な抵当権抹消では1万5,000円〜3万円前後が実務の目安となります。
  • 銀行の一括繰上完済手数料:借入先の金融機関によっては、窓口や書面での繰上完済に対して数千円〜数万円の手数料を定めている場合があります。

これらを合計しても、抵当権抹消にかかる実費と報酬は概ね2万〜5万円前後に収まるケースがほとんどです。売却にかかる費用全体の中では比較的少額ですが、決済時の手取り額から差し引かれる項目として事前に把握しておきます。

決済当日の同時履行(着金と書類受領の確認) ① 買主からの着金 売却代金の受領 売主の指定口座へ 買主ローン実行 ② 借入先の一括完済 住宅ローン残債返済 完済確認後に 抹消関係書類を受領 ③ 法務局へ申請 司法書士が同日申請 抵当権抹消登記 所有権移転登記 決済の2〜3週間前には金融機関への事前申出が必須 抹消書類の手配には日数がかかるため、売買契約締結後すぐに借入先へ連絡する
図1 決済当日における売却代金受領・ローン完済・抹消書類引渡し・法務局申請の同時履行の流れです。

売り出しから決済抹消までの「3つの実務手順」

抵当権付きの家をスムーズに売却するために、売主様が進めるべき具体的な手順は以下の3段階です。

手順1:残高証明書を取り寄せ、手取り額を試算する

まずは借入先の金融機関から最新の「住宅ローン残高証明書」または返済予定表を取り寄せ、現在の元金残高を正確に把握します。その上で不動産会社に査定を依頼し、想定売却価格から仲介手数料、抵当権抹消費用、譲渡所得税の見込みなどを引いた「手取り額」を計算します。当社では、売主様の手元に1円でも多く残る販売計画を立てるため、諸費用を含めた手取り試算書を最初に作成します。

手順2:売買契約を結んだら、即座に借入先へ完済を申し出る

買い手が見つかり売買契約を締結したら、引渡し(決済)の日程が決まります。ここで最も重要なのが、契約後速やかに金融機関へ「全額繰上完済の申出」を行うことです。金融機関が抵当権の抹消書類(解除証書・登記済証または登記識別情報・委任状など)を本部や保証会社から取り寄せるには、通常2〜3週間程度の日数がかかります。決済の直前になって連絡しても書類が間に合わず、決済を延期せざるを得なくなるトラブルを防ぐためです。

手順3:決済当日に司法書士が同時履行を確認する

決済当日は、買主の融資先銀行の一室などに売主・買主・不動産仲介会社・司法書士が集まります。買主から売却代金が売主口座に振り込まれ、その資金から即座に住宅ローンの残債が一括送金されます。金融機関から完済の確認が取れると抵当権抹消書類が交付され、司法書士が書類一式を確認した上で、その日のうちに管轄法務局へ「抵当権抹消登記」と買主への「所有権移転登記」を連件で申請します。

早く売り急ぐより、正確な段取りで手取りを残す

住宅ローンが残っていると、「早く手放さなければ」と焦ってしまい、不動産会社の安易な買取提案に飛びついてしまう売主様がいらっしゃいます。しかし、一般的に不動産会社による直接買取は、仲介による一般市場での売却に比べて売却価格が2〜3割安くなる傾向があります。

当社の立場は明確です。『早く買い取るより、1円でも多く売主様の手元へ』。当社自身が買主となって安く買い叩くことはいたしません。正確な残債把握と金融機関とのスケジュール調整を行い、一般市場で適正価格で買ってくれる購入希望者を丁寧に見つける仲介売却を基本とします。

住宅ローンの残債があるからといって、売却を諦める必要はありません。まずはご自身の正確な残り年数と残高を確認し、どれくらいの手取りが手元に残るかを計算するところから始めてみてください。

よくある質問

事前に貯金で住宅ローンを完済しないと家は売り出せませんか?

事前に完済する必要はありません。買主から支払われる売却代金を使って決済当日に一括完済し、その場で抵当権を抹消する手続きが一般的な実務です。ただし、売却代金と手持ち資金を合わせても残債に届かないオーバーローンの場合は、金融機関との個別相談が必要になります。

抵当権抹消登記は自分で法務局へ行って申請できますか?

売買による決済では、買主の権利保全や買主側金融機関の融資条件として、決済当日に司法書士が確実に連件申請することが取引条件となります。そのため、売主自身の手続きではなく、決済に立ち会う司法書士へ委任して同日申請を行うのが実務の標準です。

抵当権抹消書類の手配にはどのくらい日数がかかりますか?

金融機関や保証会社によって異なりますが、全額繰上完済の申出から書類交付まで通常2〜3週間程度かかります。引渡し日が決まったら速やかに借入先金融機関の担当窓口へ連絡し、決済日当日に書類が揃うよう段取りを整える必要があります。

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富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役・宅地建物取引士の大石浩之

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
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