物件状況報告書と付帯設備表の違い|2027年4月の範囲

中古戸建を売る前、雨漏りの修繕歴と、動かないエアコンを同じ紙へ書いてよいのか。物件状況報告書と付帯設備表を前にすると、書類名より先に手が止まりやすいところです。
2つは、どちらも売主から買主へ状態を伝えるための書類です。ただし、見る対象が違います。当社では、家や土地に起きたことと、引き渡す設備の状態を分けます。両方に関わる事実は、使用書式に沿って欄と資料の対応を確かめます。
先に分け方|家そのものは報告書、引き渡す機器は設備表
物件状況報告書は建物・土地の状態と履歴、付帯設備表は引き渡す設備の有無と状態を整理する書類です。修繕の対象が家か設備かを見ると、書き分けやすくなります。
| 比べる項目 | 物件状況報告書 | 付帯設備表 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 建物・土地に起きた不具合や履歴 | 引き渡す設備・残す物 |
| 書く目的 | 売主が知っている物件の状態を伝える | 有無、故障、撤去・引渡しの認識を合わせる |
| 戸建ての例 | 雨漏り、修繕、点検、建物の傷み | 給湯器、エアコン、照明、厨房設備 |
| 資料 | 調査報告書、工事写真、見積書、請求書 | 取扱説明書、保証書、交換・修理の記録 |
※ 表は当社での実務上の整理です。書類の名称、項目、選択肢は、取引で使う書式を優先してください。
例えば、給湯器を交換しただけなら、交換年月や現況は主に付帯設備表で伝えます。給湯管の漏水で床まで傷み、床も直したなら、設備の状態は付帯設備表、漏水と床の修繕履歴は物件状況報告書へ対応させます。
同じ事実が両方の対象に触れるとき、当社では片方だけを見て終えません。使用書式の該当欄と備考を見比べ、どちらへどこまで記すかを仲介担当と決めます。同じ日付、場所、工事資料を手掛かりに、2つの書類が食い違わないようにします。
物件状況報告書|雨漏り・修繕歴は建物側の事実として書く
物件状況報告書には、売主が知っている建物・土地の状態と、改修、修繕、点検の履歴を整理します。当社では、修理済みでも、起きた事実と修繕履歴を使用書式に沿って記すよう案内します。
国土交通省の「流通市場研究会 検討の中間的とりまとめ」は、新築、改修、修繕、点検の履歴と現況を整える考え方を示しています。これらを価格査定や買主の判断材料として提供する整理です。売主や所有者しか分からない修繕歴などは、知り得る範囲で告知書へ記載するとしています。
書式によっては「物件状況確認書(告知書)」などの名称も使われます。2026年5月11日の4団体発表では「物件状況報告書」と表記されています。名前が違っても、使用する書類を仲介担当から受け取り、その欄に沿って記入します。
書く順番は、発見年月、場所、見えた症状、原因の確認状況、修繕した範囲、修繕後に確認した期間です。「屋根が原因だと思う」のような推測と、施工会社が確認した内容は分けます。分からない原因を埋めるより、「原因未確認」として調査の有無を添えるほうが事実は崩れません。
雨漏りなら、染みが消えたことだけで終えず、発見時の写真、調査報告書、工事明細、請求書を日付でつなぎます。資料の残し方は台風被害の家を売る|雨漏り告知に残す4資料で整理しています。
物件状況報告書は、建物状況調査の結果報告書とは別物です。売主の記憶や資料を整理する書類と、資格を持つ調査技術者が目視や計測を行う調査を混ぜません。調査を頼む時期は不動産売却のインスペクション|頼む時期3つで比べられます。
付帯設備表|残す設備と故障を引渡し単位で書く
付帯設備表には、売却する家へ残して引き渡す設備と、その状態を一つずつ整理します。エアコン、給湯器、照明などを、家に付いているというだけで一括りにしません。
全宅連が2017年11月に発行した売買契約書の解説資料では、付帯設備表で「有」とした物を物件と同時に引き渡す構成が示されています。全日本不動産協会の実務解説も、付帯設備表を、残す物と撤去する物の意思を合わせる書類として説明しています。
当社では、設備名だけでなく、残すか外すか、動作を確認した日、分かっている故障、付属品を確かめます。製造年や交換年が分かる資料は添えますが、記憶だけで年を作りません。動作を試していない設備は、使えると推測せず、使用書式に沿って未確認であることを伝えます。
| 手元の事実 | 主に書く先 | もう一枚も見る場面 |
|---|---|---|
| エアコンが冷えず、残して引き渡す | 付帯設備表 | 漏水など建物への影響があれば報告書も確認 |
| 屋根から雨漏りし、部分修理した | 物件状況報告書 | 設備の故障が原因なら設備表も確認 |
| 給湯管が漏れ、壁と床も直した | 両方 | 同じ工事日と資料名で対応させる |
| 照明を撤去して引き渡す | 付帯設備表 | 撤去跡に傷みが出たら報告書も確認 |
エアコンや照明を設備として残すのか、家財として撤去するのかは、口頭の「そのままで」で済ませません。残置物との境目と費用負担は不動産売却の残置物処分はいつ|引渡し前の3期限で確認できます。
太陽光設備を家と一緒に譲る場合は、設備表の記入に加えて、太陽光の名義変更でそろえる設備ID・申請書類・担当者も引渡し前に確認してください。
2027年4月の共通化|4団体発表で2書式の開始月は未記載
2026年5月11日の4団体発表で、2027年4月に運用開始すると明記されたのは共通の不動産売買契約書です。同発表は、物件状況報告書と付帯設備表の運用開始月を記していません。
公益社団法人全日本不動産協会、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会、一般社団法人不動産流通経営協会、一般社団法人全国住宅産業協会の4団体は、2026年5月11日に書式共通化への合意を公表しました。
- 不動産売買契約書は、対象25種類を共通化する予定
- 2026年度上半期に、物件状況報告書と付帯設備表の共通化案を策定予定
- 2026年度中に、契約書と関連書式の解説書を発刊予定
- 2026年度中に、各団体が会員への周知と利用体制を構築予定
- 2027年4月から、共通化した不動産売買契約書を運用開始予定
25種類は、1人の売主が25枚を書くという数ではありません。土地、土地建物、区分所有建物、借地権関係など、取引条件別の契約書を合計した数です。持ち主の方が聞くのは、「自分が使う契約書はどれか」と「2書式はどの版か」の2点です。
意外なのは、2027年4月という日付が、2書式ではなく売買契約書にだけ明記されていることです。2026年9月9日時点で、2書式の最終版、記載欄、運用開始月は、この発表からは確認できません。
4団体は、全国的に大半の宅地建物取引業者との取引で同じ書式を使う状態を見込むと説明しています。
良い点は、これまで3団体がそれぞれ設定・運用してきた書式がそろえば、売主と買主が書類の位置づけを確かめやすくなることです。
その上で、売主の側から一つ注文があります。共通化案と運用開始を同じ日程のように見せず、2書式の確定版と使用開始時期を分けて案内してほしい。私は、用紙が同じになれば記入漏れまで減るのか、まだ分かりません。欄がそろっても、写真や工事資料がなければ履歴は戻らないからです。
今日すること|故障メモを「家」と「設備」の2列にする
売却を決める前でも、手元の故障・修繕メモを「建物・土地」と「引き渡す設備」の2列に分けられます。両方に関わる項目へ印を付けるだけで、仲介担当へ聞くことが見えます。
- 工事の請求書、保証書、点検票、写真を一か所へ集める
- 日付、場所、症状、原因の確認状況、工事範囲を一行ずつ書く
- 家そのものなら物件状況報告書側、残す設備なら付帯設備表側へ分ける
- 両方に関わる漏水や設備交換には、同じ資料番号を付ける
- 仲介担当へ、使う書式の版、記入期限、別紙の付け方を聞く
共通書式を待っても、家の領収書は戻ってきません。売るかまだ決めていなくても、写真と請求書を「家」と「設備」の2列へ分ける。これが今日の仕事です。
私はこう考えます。故障を書けば売却に不利になる、と先に決めるのは早い。修理費をかけても、売却条件に同額が戻るとは限りません。隠して価格を守るのではなく、修理する案と現状を説明して売る案を、費用、販売日、見込み手取りで比べます。どこまで直すかは、その数字と買主へ渡せる資料を見てから決めます。
当社が買主になることはありません。故障が一つ見つかった段階で、買取へ切り替える案内も率先して行いません。そのかわり、確認済み、未確認、修理済みを分け、仲介で説明して売る案と修理後に売る案を販売計画へ載せます。期限を優先して買取を選ぶ場合も、残す設備と故障の扱いを契約前に書面で確かめます。
今日、売るかどうかまで決めなくてかまいません。2列のメモを作り、査定から引渡しまでの流れのどの時点で2書式を受け取るか、仲介担当へ確認してください。書式が変わっても、日付のある資料は判断材料として残ります。
出典(2026年9月9日確認・各リンクHTTP 200):4団体「不動産売買契約書等の共通化に向けた取り組みについて」(2026年5月11日)、国土交通省「流通市場研究会 検討の中間的とりまとめ」(2008年6月)、全宅連「売買契約書の書き方 追補」(2017年11月)、全日本不動産協会「添付書類の取り扱い方法のガイドラインとは?」。共通化の日程、書式、制度は変わることがあります。書類名と欄は取引で使う最新版を確認し、告知範囲、契約条項、責任の個別判断は担当の宅地建物取引士、建築士、弁護士など各分野の専門家へご確認ください。
よくある質問
修理済みの雨漏りは、物件状況報告書と付帯設備表のどちらに書きますか?
建物に起きた雨漏りと修繕履歴は、物件状況報告書へ整理します。発見年月、場所、原因の確認状況、工事範囲、修繕後に確認した期間を写真や請求書とつなげます。給湯管など付帯設備の漏水が原因なら、その設備の有無・故障・交換歴も付帯設備表で確認し、2書式の日付と内容を対応させてください。
家に残すエアコンが動かない場合、付帯設備表だけで足りますか?
エアコンの有無、引渡し、動作未確認や故障は、使用書式に沿って付帯設備表へ記載します。故障による漏水や壁の傷みが建物にも及んだ場合は、物件状況報告書にも状態と修繕歴を整理します。残すか撤去するか、リモコンなど付属品の有無、動作を確認した日も仲介担当と書面で合わせてください。
物件状況報告書と付帯設備表は、2027年4月の共通書式まで記入を待つべきですか?
待つ必要はありません。全宅連など不動産業界4団体が2026年5月11日に公表した資料で、2027年4月の運用開始が明記されたのは共通の不動産売買契約書です。2書式は2026年度上半期に共通化案を策定する予定で、運用開始月の記載はありません。写真、点検票、工事明細、保証書を今から集め、実際の取引では仲介担当が示す最新版へ記入してください。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。