住宅ローン残債がある実家の売却手順|抵当権抹消と決済の3要件

抵当権が残ったままでは、買主へ名義を変えられない
「実家を売りたいけれど、まだ住宅ローンの支払いが数年分残っている」「昔設定された銀行の抵当権がついたままだが売却できるか」という相談は、不動産売却の現場で非常に多く寄せられます。宅地建物取引業者としての大石浩之(磐田市/不動産業)から結論を申し上げますと、住宅ローンが残っていても実家の売却は十分に可能です。
ただし、大前提となる絶対ルールがあります。それは「引き渡し日(決済日)の当日に、金融機関の抵当権を完全に抹消しなければならない」という点です。民法第369条で規定される抵当権は、債務が弁済されない場合に金融機関が物件を競売にかける権利です。他人の借金の担保がついたままの不動産を買い受ける買主はいません。売却代金を使って残債を一括完済し、綺麗に抵当権を消し去る段取りが不可欠です。
残債処理と抵当権抹消の3要件
住宅ローン付きの実家を売却する際、決済当日に向けてクリアすべき3つの要件は以下のとおりです。
| 確認要件 | 具体的な内容 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 残債と査定額の比較 | 売却予想額(または成約価格)から仲介手数料・諸経費を引いた手取りが残債を上回るか | アンダーローン(売却額>残債)なら問題なし。オーバーローンなら自己資金の手当てが必要 |
| 繰上完済の事前申請 | 金融機関に対して決済日の2週間〜1か月前に一括繰上返済の届出を行う | 完済当日でないと抵当権抹消書類を交付しない金融機関も多く、司法書士の事前確認が必須 |
| 司法書士による立会決済 | 売却代金の受領、残債の送金完済、登記申請を同日中に連動して実行する | 買主の融資実行銀行で行われ、着金確認が取れ次第、司法書士が法務局へ登記申請に向かう |
1つ目の「残債と査定額の比較」では、手元に残る現金(手取り)を精緻に試算します。当社は買主になることを率先して行いません。自社買取で安く買い叩くのではなく、一般の流通市場で適正価格で買ってくれる買主を募り、売主様の手元に少しでも多くの現金を残す仲介に徹します。
2つ目の「繰上完済の事前申請」では、銀行側の事務処理期間を見込む必要があります。都市銀行や地方銀行、住宅金融支援機構など、金融機関によって抹消書類の準備にかかる日数は異なります。契約を結んだら速やかに担当窓口へ連絡を入れます。
オーバーローンが判明した場合の判断基準
査定価格よりも住宅ローン残債のほうが多い状態を「オーバーローン」と呼びます。この場合、通常の売却代金だけでは金融機関へ全額返済できないため、銀行が抵当権の抹消を承諾してくれません。
対処法は主に2つあります。1つ目は預貯金などの自己資金を補填して残債を完済する方法です。2つ目は、自己資金が不足する場合に債権者(銀行・保証会社)と事前に協議を行い、売却価格で返済できる範囲で抵当権を抹消してもらう「任意売却」です。
当社では、売却を急がせて安値で買い取るようなことは一切いたしません。まずは物件の正確な市場相場を見定め、手取り額を最大化するための販売戦略をご提案します。ローンが残っている実家の処分に迷ったら、まずは残高のわかる書類をご用意の上ご相談ください。
よくある質問
住宅ローンの残高が売却価格を上回っている場合(オーバーローン)でも売れますか?
不足する差額を手持ち資金(自己資金)で補填して完済できれば売却可能です。自己資金での補填が難しい場合は、金融機関と事前に協議して「任意売却」の手続きをとるか、買い替えローンの利用を検討します。
抵当権抹消手続きは、売主自身が法務局へ行って申請できますか?
決済日当日は、売却代金の受領・着金確認・ローン完済・抵当権抹消・買主への所有権移転登記を分単位で連動させる必要があるため、取引の安全を期して原則として司法書士が一括して登記申請を代行します。
実家を相続した場合、亡くなった親の住宅ローンはどうなりますか?
親が団体信用生命保険(団信)に加入していれば、死亡により保険金でローン残債が全額弁済されます。団信の適用手続きを行い、抵当権抹消書類を取り寄せてから売却活動に入ります。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。