検査済証がない家の売却|資料をそろえる3手順

家を売ろうと書類の箱を開けたのに、検査済証だけが見当たらない。そんなとき、調査を申し込む前に確認してほしいことがあります。「手元にない」と「交付されていない」を分けることです。
当社は、交付記録、建築時の資料、調査の見積もりの順に整理します。これは売却準備として当社が提案する3手順です。国のガイドラインの調査区分を、そのまま3つと呼んでいるわけではありません。
手順1 検査済証の交付記録を照会する
検査済証が見つからないときは、建物所在地を管轄する建築担当窓口へ、交付記録の確認方法を問い合わせます。自宅の書類探しだけで、未交付と決めないためです。
国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン」第5版の本文4頁では、紛失した場合でも、処分等概要書の閲覧や台帳記載事項証明書の発行で交付状況を調べられるとしています。紙を持っていないことと、検査の記録がないことは同じではありません。
当社から持ち主の方にお願いしたいのは、照会用のメモを作ることです。建物の所在地、分かれば建築時の地番、建築主名、確認番号、建築時期を並べます。分からない欄は空欄のままにし、推測した年と書類で確認した年を混ぜません。
磐田市の家の売却では、最初に照会先を確かめてください。磐田市の公式案内は、建物の規模・用途によって市と県で交付・閲覧先が異なると説明しています。市の確認申請等台帳記載事項証明書は、確認申請日が1981年4月1日以降の場合が対象です。建築計画概要書がある1999年5月1日以降の申請では、証明書の交付対象は建物所有者に限られます。
磐田市「建築計画概要書、記載事項証明書の交付・閲覧」(2026年7月2日更新、2026年9月26日確認)。代理申請は委任状などの添付が必要です。証明書は電子申請でも窓口で紙を受け取り、手数料がかかります。電子申請から交付までの案内は概ね2日です。窓口・対象年代・必要書類を確認してから申請してください。
照会の結果は「交付記録あり」「交付を確認できず」「照会中」に分けて残すのが当社の提案です。交付日や番号だけでなく、どこへ何を照会したかも書きます。記録が確認できなかった理由が、未交付なのか、保存資料の不足なのか分からない場合、その不明点も残してください。
手順2 新築時と増改築時の資料を分ける
建築時の資料は、新築時の一式と、その後に手を入れた工事の一式に分けて集めます。古い検査済証が見つかっても、その後の増築部分まで説明できるとは限らないためです。
国土交通省のガイドラインは「直近の建築等の工事」を確認の起点にしています。交付を確認できない場合の着手時の調査には、確認申請書の副本や工事請負契約書などを使います。現地調査に向けては図面や仕様の資料も準備する扱いです。
当社は、次の表で「持っている資料」と「誰に所在を聞くか」を分ける方法を提案します。すべてを再取得してから相談する必要はありません。見つからない資料も一覧に入れると、建築士に相談する際の前提がそろいます。
| まとめる資料 | 持ち主が確かめること | 所在を聞く相手の例 |
|---|---|---|
| 確認済証・確認申請書の副本 | 建物と工事の時期が合っているか | 当時の設計者、施工会社 |
| 検査済証・交付記録 | 新築だけか、後の増築等の記録もあるか | 建築担当窓口、関係する確認検査機関 |
| 図面・仕様書・工事契約書 | 現状と違う箇所、工事した年 | 家族、設計者、工事の依頼先 |
| 修繕履歴・耐震診断等の報告書 | 調査対象の範囲と、その後の工事 | 調査や修繕の依頼先 |
例えば、新築時の図面にはない部屋があるなら、その位置を図面のコピーに印します。持ち主が「これは違反だ」と結論をつける作業ではありません。「いつ、何を変えたか」を専門家へ渡す作業です。記憶しかない場合は「家族の記憶による」と添えます。原本には書き込まず、写真やコピーで共有する方法が扱いやすいと私は考えます。
買主が大きな改修を予定する家では、工事計画と確認申請の関係も別に確認します。制度の入口は2025年の建築基準法改正と中古住宅の売却に整理しました。書類が残っていることだけで、希望する工事ができると案内しないようにします。
手順3 調査の目的を決めて見積もりを取る
調査費用を比べる前に、「何を確かめ、どの書類を受け取る依頼か」を決めます。名称が似た調査でも、同じ範囲を見て同じ結論を出すとは限りません。
国土交通省の現況調査は、担当できる建物の範囲内で建築士が実施し、指定確認検査機関も実施できます。現地で調べられない部分は、理由とともに報告書へ残す扱いです。調査を頼めば不明点が全部消える、という前提にはできません。
当社は見積もり依頼に、手順1と2でそろえた資料一覧を添える方法を提案します。そのうえで「売却資料を整理したい」「買主が増築を予定している」など、依頼の目的を書きます。建築士には、その目的に対して必要な調査と、今回省ける作業を分けて説明してもらいます。
- 基本費用に含む資料確認・現地確認・報告書の範囲はどこまでか。
- 図面の復元、追加の測定、部分的な開口と復旧は別料金か。
- 不明な部分が残った場合、追加調査を始める前に承諾を求めるか。
- 現地立会い、調査結果の説明、報告書の受領はそれぞれいつか。
- 買主や融資先へ提出する目的に、その報告書が使えるか。
「一式」の合計額だけでは比較できません。私は、最初の依頼額と、追加費用が生じる条件を分けて見ます。調査料のほか、資料取得費、必要と判断した補修費、当社の仲介手数料も売却の収支表では別欄です。調査の見積もりが出ても、売主の手取り額が同じだけ増えると約束できるものではありません。
劣化や不具合を調べるインスペクションとの違いも、発注前に確認してください。依頼時期を考えるときは不動産売却のインスペクションを頼む時期が入口になります。買主の住宅ローン控除に使う資料の話も別です。中古住宅売却と住宅ローン控除の確認資料を参照し、今回の調査で兼ねられると自己判断しないでください。
2026年9月の第5版は、売却一律の義務ではない
国土交通省の第5版は、増築等や用途変更を予定する既存建築物の法令への適合状況を調べるための指針です。2026年9月に改訂されたことから、すべての戸建て売却に同じ調査が必要になったとは読めません。
第5版の改訂履歴には、木造建築物の建築基準法第20条への適合確認で、耐震診断結果を活用する内容の反映が記されています。耐震診断書があれば、どんな建物でも検査済証の代わりになるという説明ではありません。
私は、残っている資料を手掛かりに、調べる順序を組み立てられる点を評価します。書類が1枚足りないという理由だけで家の説明を止めず、次に誰へ何を聞くかを決められるからです。売主の準備にも使える考え方だと思います。
そのうえで注文したいのは、売却相談で調査の名前だけを先に出さないことです。当社は「第5版が出たので調査しましょう」という案内をしません。まず売主が知りたいことと、買主の工事予定を整理します。その家にどこまでの調査が見合うのかは、資料も見積もりもない段階では、私にも分かりません。
今日の一歩は、値下げより先に不明点を減らすこと
検査済証がない家の売却準備は、交付記録を照会するための資料を1つ取り出すところから始められます。売るか、調査に費用をかけるかまで、今日決める必要はありません。
私はこう考えます。紙がない不安を、そのまま値下げの理由にしない。交付の事実が分からないのか、増築の履歴が分からないのか、必要な調査額が分からないのか。そこを分ければ、売却を進める材料にも、いったん止める材料にもなります。まず不明点を一つ減らす。それを今日の成果にしてよいと思います。
当社は買主にならず、買取・買取保証を率先して行いません。そのかわり、交付記録・建築時資料・調査見積もりを順に確認し、売却準備の支出と販売の段取りを整理します。「早く買い取るより、1円でも多く売主様の手元へ」という考え方は、費用のかかる調査を何でも付けることとは違います。
買取や買取保証が合う事情もあります。引渡しの期限を優先するなら、当社は売却額だけでなく、調査・補修を誰が負担するかも比較します。当社の媒介で買取会社へ売る場合は仲介手数料が発生するため、その支出も含めます。未確認事項を隠したり、買取だから説明を省いたりする案内にはしません。
次の連絡では「この建物の検査済証の交付記録を調べたい。照会先と必要資料を教えてほしい」と建築担当窓口へ伝えてください。適法性、増改築の可否、必要な調査範囲は建築士・特定行政庁・指定確認検査機関へ、融資条件は金融機関へ確認を。売買での説明や契約条件は宅地建物取引士へ、税務・登記の個別判断は税理士・司法書士へ確認してください。
出典(2026年9月26日確認):国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン 第5版」(2026年9月。改訂履歴、本文1〜5頁)、磐田市「建築計画概要書、記載事項証明書の交付・閲覧」。制度や窓口の運用は変わることがあります。この記事の3手順は当社による売却準備の提案で、個別建物の適法性や売却条件を保証するものではありません。
よくある質問
検査済証がないと家は売れませんか?
手元にないことだけで売却できないとは判断できません。紛失か未交付かを分け、交付記録と増改築の履歴を確認するところから始めます。売買条件、買主の融資や改修計画への影響は個別です。国の現況調査ガイドラインも、売却すべてに同じ調査を求める指針ではありません。建築士や宅地建物取引士へ資料を示して相談してください。
台帳記載事項証明書があれば、現在の家も適法だと分かりますか?
交付記録の確認と、現在の建物全体の適法性の判断は分けて考えます。証明書で確認した工事の後に増築や改変があれば、その内容も調べる必要があります。古い書類が残っているという理由だけで、希望する改修が可能とも判断できません。記録の対象と現状の違いを建築士へ示し、調査や確認申請が必要か確認してください。
売却前の調査費用はいくら用意すればよいですか?
この記事では一律の調査相場を示していません。残る図面、調べる目的、調査範囲や報告書の内容をそろえて見積もりを取ります。資料の取得、図面の復元、追加測定、開口と復旧が基本料金に含まれるかも確認してください。追加調査は着手前に承諾する形にし、当社の仲介手数料や補修費とは別の支出として手取りを比べます。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。