掛川市の不動産売却|非線引きでも用途地域12種

掛川市の実家や土地を売ろうとお考えの方から、「うちは調整区域ですか」と聞かれることがあります。市街化調整区域がある磐田市を前提にした質問が、そのまま隣の市に持ち込まれる形です。
先に答えを書きます。掛川市に市街化調整区域はありません。掛川市を含む都市計画区域には、市街化区域と市街化調整区域を分ける区域区分そのものが定められていないからです。掛川市の土地を「調整区域かどうか」で見ると、はじめから的が外れます。
そのかわりに見るものが2つあります。用途地域の内か外か。もう1つは、その土地が何平方メートルか。この2つで、売るときの段取りがはっきり変わります。
掛川市に市街化調整区域はありません
掛川市に市街化調整区域がない根拠は、静岡県が決めた広域の方針にあります。静岡県「東遠広域都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(令和8年3月)の「区域区分の決定の有無」に、一文で書かれています。
本都市計画に区域区分を定めない。
東遠広域都市計画区域は、掛川市と菊川市の2市で構成されています。この方針は2026年3月31日に都市計画決定として告示されました。決まってから半年も経っていない、いまの版です。
県は、その根拠も同じ文書に書いています。区域全体の市街化圧力が高いとはいえないこと。掛川市の「生涯学習まちづくり土地条例」で土地利用の規制・誘導が図られてきたこと。市街地の周辺部が農用地区域、郊外部が保安林に指定されていること。この3つから、「低密度な市街地が拡散する恐れは低い」と判断しています。
隣の磐田市は事情が違います。磐田市には線引きがあり、市街化調整区域での建て替えや新築の可否が売却の分かれ目になります(磐田市の市街化調整区域の家は売れるのか)。袋井市は掛川市と同じく区域区分がありませんが、属している区域は中遠広域都市計画区域で、別の圏です(袋井市に市街化調整区域はありません)。3つの市が隣り合っているのに、前提が1つずつ違います。
用途地域は12種類、2,508.0ha
掛川市に指定されている用途地域は12種類、合計2,508.0haです(掛川市統計書 令和6年度版「用途別地域地区」、令和6年3月31日現在)。田園住居地域は入っていません。面積の大きい順に並べます。
| 用途地域 | 面積 | 構成比 |
|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 470.7ha | 18.8% |
| 第一種住居地域 | 379.7ha | 15.1% |
| 第一種中高層住居専用地域 | 363.4ha | 14.5% |
| 工業地域 | 329.7ha | 13.1% |
| 工業専用地域 | 265.3ha | 10.6% |
| 準工業地域 | 205.8ha | 8.2% |
| 第二種中高層住居専用地域 | 193.7ha | 7.7% |
| 第二種住居地域 | 142.1ha | 5.7% |
| 商業地域 | 57.5ha | 2.3% |
| 近隣商業地域 | 52.5ha | 2.1% |
| 準住居地域 | 29.2ha | 1.2% |
| 第二種低層住居専用地域 | 18.4ha | 0.7% |
| 合計 | 2,508.0ha | 100.0% |
※ 面積・構成比とも掛川市統計書 令和6年度版の掲載値(令和6年3月31日現在)。以下の足し算は当社が同表から計算したものです。
この表を、売るときの感覚に置き換えます。工業系の3種(工業専用地域・工業地域・準工業地域)を足すと800.8ha、全体の31.9%です。住居系7種の合計は1,597.2ha(63.7%)。掛川市の用途地域は、およそ3分の1が工業系ということになります。市の中心が駅前の商業地というイメージとは、かなり違う配分です。商業地域と近隣商業地域を足しても110.0ha、4.4%しかありません。
売主として効いてくるのはここです。工業系の用途地域にある土地は、住まいを探している買主より、事業で使う買主のほうが強く反応することがあります。工業専用地域では、そもそも住宅を建てることができません。同じ「掛川市の土地」でも、当社が声を掛けに行く相手が変わります。査定額の話をする前に、まずここを確かめます。
用途地域の外に、掛川市の土地の9割がある
掛川市の用途地域2,508.0haは、市域26,569ha(265.69km²)の9.4%にあたります。10分の1に届きません。
分母を都市計画区域に絞っても、話は同じ方向を向きます。東遠広域都市計画区域のうち掛川市の部分は21,164ha(原田・原泉地区を除く。令和6年4月1日現在)。用途地域はその11.9%で、残りのおよそ88%は用途地域の指定がない区域です。実務では白地と呼びます。掛川市都市計画マスタープランには、市域265.69km²のうち54.05km²が都市計画区域の外だと書かれています。北部の山間地です。
※ 9.4%・11.9%・88%は、当社が公表値から割り戻したざっくりの概算です。分子は用途地域2,508.0ha、分母は市域26,569ha(265.69km²)と掛川市分の都市計画区域21,164ha。
人の側から見ると、数字が反転します。掛川市立地適正化計画(令和7年3月改定)によれば、都市計画区域の人口113,096人のうち、用途地域の内側に住んでいるのは64,102人(令和2年)。およそ57%です。面積では1割弱しかない場所に、人の6割近くが集まっている。
買主も、その1割のほうに多く来ます。用途地域の外の土地が売れないという意味ではなく、当社も白地の土地を仲介します。ただ、広告を出して待っていれば見に来る、という売り方は成り立ちにくい。誰に当たるかを先に決めてから動く土地だ、と考えています。
そして白地の土地では、建てられるかどうかが用途地域ではなく別の条件で決まります。前の道が建築基準法上の道路か(位置指定道路か、42条2項道路か、認定されていない通路か)。その幅員と、敷地が接している長さ。上下水道を引き込めるか、引き込むといくらかかるか。農業振興地域の農用地区域、いわゆる青地に入っていないか。売り出す前に当社が確認するのはこの4つです。
1,000㎡と5,000㎡。面積で手続きが変わります
掛川市の土地を売るとき、面積で手続きが増える境目が2つあります。0.1ヘクタール(1,000㎡)と、5,000㎡です。
1つ目は市の手続きです。掛川市土地利用事業の適正化に関する指導要綱は、対象を「一団の土地の区画形質の変更を行う事業で、施行区域の面積が0.1ヘクタール以上のもの」としています。0.1ヘクタールは1,000㎡、およそ300坪です。相続した土地を2区画・3区画に割って売る話が出ると、この手続きが買主側の日程に乗り、決済までの期間が読みにくくなります。
2つ目は国土利用計画法の事後届出です。掛川市の案内には、届出が必要な面積が「都市計画区域内 5,000平方メートル以上」「都市計画区域外(原田・原泉地区) 10,000平方メートル以上」と書かれています。届出の期限は契約締結日から2週間以内(締結日を含む)。義務を負うのは土地の権利取得者で、売買であれば買主です。売主に届出の義務はありませんが、契約直後に買主が動くので、地番と面積の資料は先に揃えるほうが早く進みます。
この2区分にも、掛川市に線引きがないことが表れています。市街化区域があれば、国土利用計画法の区分は「市街化区域 2,000平方メートル以上」から始まります。掛川市の案内には、その行がありません。
当社の説明文が、間違っていました
この記事を書く過程で、当社の誤りが1つ見つかりました。当社サイトの掛川市のページには、これまで「調整区域の建築可否まで」という一文が入っていました。磐田市で使い慣れた言い方を、そのまま隣の市に持ち込んだものです。掛川市に市街化調整区域はないので、これは誤りでした。公開に合わせて直しています。
確認しきれなかったことも残します。県の方針には、インターチェンジ周辺や幹線道路沿道について「特定用途制限地域の指定を検討する」と書かれています。検討する、です。2026年8月30日の時点で実際に指定されているかどうかは、当社は公表資料から確認しきれませんでした。用途地域の外の土地で用途の制限が気になる場合は、市の担当課の計画・土地利用係にお尋ねください。
もう1つ、腑に落ちていないことがあります。掛川市の公式サイトを探しても、「掛川市に区域区分はありません」と一行で書いたページを、当社は見つけられませんでした。手掛かりは、国土利用計画法の届出面積の区分が2つしかないことと、市の統計書に市街化区域の欄がないこと。はっきり書いてあるのは県の方針のほうです。売主の方がご自分で調べると何度か遠回りをします。仲介を仕事にしている側が、そこを短くするべきだと考えています。
当社がやらないことも書いておきます。当社が買主になることはありません。買取・買取保証を率先して行わない立場です。用途地域や道路の種別を、電話で聞いたままの状態で販売資料に書くこともしません。そのかわりにやることは決めています。売り出す前に市の窓口で用途地域・地区計画・道路の種別を確認し、確認した内容と確認日を販売資料に書いてから市場に出す。事情があって買取をお選びになる場合も、当社は買主にならず、複数の買取会社に同じ条件で見積もりを出してもらって比べていただきます(それでも買取を選ぶ場合、当社がすること)。
今日できる確認は3つ
- 登記事項証明書と公図で、地番・地目・面積を一覧にする。1,000㎡と5,000㎡のどちら側にいるかが、ここで分かります。
- 用途地域の内か外かを調べる。掛川市は「e-地図かけがわ」で住所から都市計画の情報を確認できます。窓口では用途地域にかかる証明願も受け付けています。
- 前の道が建築基準法上の道路かどうかを聞く。用途地域の外では、これが価格より先に効きます。
今日のうちに売ると決める必要はありません。地番と面積の一覧、そして用途地域の内か外か。この2つは、売る・貸す・そのまま持ち続けるのどれを選んでも効いてきます。私は、決めるための材料が1つ増えた状態を、今日の成果として十分だと考えています。
地区ごとの事情と、茶畑・山林を含む相続のご相談は掛川市の不動産売却のページに。ご相談はかんたん入力のフォームからどうぞ。
※ 出典(いずれも2026年8月30日確認):静岡県「静岡県の各都市計画区域マスタープラン」所収「東遠広域都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(令和8年3月/告示日 令和8年3月31日)/掛川市「令和6年度版 掛川市統計書」H土木・建設「用途別地域地区」「都市計画区域」/掛川市「掛川市都市計画の用途地域について」/掛川市「国土利用計画法に基づく届出(国土法事後届出)について」/掛川市「掛川市土地利用事業の適正化に関する指導要綱 関係資料」/掛川市「掛川市立地適正化計画」/掛川市都市計画マスタープラン(序論)。制度・区域・数値は変わることがあります。個別の土地で建てられるかどうかは、この記事だけでは判断できません。用途地域・道路・農地の扱いは市の窓口で、税務・登記・相続の個別のご判断は税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。
よくある質問
掛川市に市街化調整区域はありますか?
ありません。掛川市が属する東遠広域都市計画区域について、静岡県の「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(令和8年3月)に「本都市計画に区域区分を定めない」と書かれています。ただし用途地域の指定がない区域は広く、掛川市分の都市計画区域21,164haに対して用途地域は2,508.0haです。調整区域かどうかではなく、用途地域の内か外かでご確認ください。
用途地域の外にある土地は、売れないのでしょうか?
売れないということはありません。当社も用途地域の外の土地を仲介しています。ただし建てられるかどうかは、前の道が建築基準法上の道路か、幅員と接している長さはどれだけか、上下水道を引き込めるか、農業振興地域の農用地区域に入っていないかで変わります。当社は売り出す前に市の窓口でこれらを確認し、確認した内容と確認日を販売資料に書いています。
土地が5,000平方メートルを超えると、売主に手続きが要りますか?
国土利用計画法の事後届出で義務を負うのは土地の権利取得者で、売買であれば買主です。掛川市の案内では、都市計画区域内は5,000平方メートル以上、都市計画区域外(原田・原泉地区)は10,000平方メートル以上が対象で、期限は契約締結日から2週間以内(締結日を含む)とされています。売主に届出の義務はありませんが、地番と面積の資料を先に揃えておくと決済後が早く進みます。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。