家売却と庭木の越境|枝を切れる3条件

売り出す家の庭に、隣の木の枝が伸びている。内覧までに整えたいけれど、自分の木ではない。造園業者を呼ぶ前に、切れる条件と、誰が先に代金を払うのかを分けて考える必要があります。枝を片付ける段取りは、売却代金から残るお金にもつながります。
この記事では、2023年4月1日に施行された民法233条の改正を、神戸市の2026年6月2日更新資料で確認します。確認日は2026年9月26日です。全国に適用される民法の説明として参照し、神戸市独自の補助制度を他地域の売却費用に織り込むことはしません。
隣の枝を自ら切れるのは、3条件のいずれかに当たるとき
越境枝は、原則として木の所有者に切ってもらいます。ただし、越境された土地の所有者は、民法233条3項のいずれかの条件に当たれば、自ら切除できます。3条件すべてを満たす必要はありません。
- 切除を求めても、相当の期間内に切られない。木の所有者に越境部分の切除を催告したことが前提です。催告とは、相手に対応を求めることです。
- 木の所有者、またはその所在を知ることができない。誰の木か分からない場合と、所有者は分かっても居場所が分からない場合です。
- 急迫の事情がある。待っていられない切迫した事情がある場合です。売主の販売予定だけで判断する条件ではありません。
出典:神戸市「越境した木の枝の切取りルール」と、同市掲載の法務省資料「越境した竹木の枝の切取り」。3条件は改正後の民法233条3項1号〜3号に対応します。
相手の承諾が取れないと、どんな場合も裁判を経るしかない。そう思っていた方には、自ら切れる道ができた点は意外かもしれません。ただし、「枝が敷地に入った」という事実だけでは、3条件の確認は済みません。越境した枝を扱う規定であり、木全体の伐採を自由に認める説明ではありません。
神戸市は、催告後の相当期間について、事案によるとしたうえで基本的には2週間程度と説明しています。14日目に自動的に切除可能になるという意味ではありません。いつ、誰に、どの枝を切ってほしいと伝えたかが曖昧なら、日数だけ数えても判断材料が欠けます。
私は、自ら解決する道が明示された点を評価します。枝が伸びるたびに手続が止まる負担を減らせるからです。一方で、売却の現場で使うには、条件の説明に加えて記録を残す手順が要ります。制度を知った勢いで発注すると、切り方と費用の話が後に残ります。
切る前に確認するのは、境界・所有者・作業範囲
越境枝の切除を進める前に、枝が越えた境界、木の所有者、必要な作業範囲を確認します。当社は塀だけを見て境界と決めつけず、手元の図面と現地の位置関係を照らし合わせるところから案内します。
塀の位置に疑問があるときは、切除範囲を自己判断しないでください。境界資料の確認や測量の要否は土地家屋調査士へ相談します。どの資料から調べるかは、土地の境界確定測量の費用と確認の順番にまとめています。枝のために新たな測量を発注するかも、資料を見てからの判断です。
当社が売主に勧めたい記録は、木全体と境界付近の写真、撮影日、相手への連絡内容です。枝が屋根や雨どいに触れているなら、その位置も残します。これは当社の段取り上の提案であり、写真さえあれば切除の条件を満たすという意味ではありません。
隣家が留守だった、返事がないというだけで、「所有者・所在不明」と扱うのは避けます。どこまで調べる必要があるかは弁護士などに確認してください。法務省資料は、共有の木について催告する場合、基本的に共有者全員に行う必要があると説明しています。連絡がついた1人だけで足りるかも、確認事項になります。
隣地へ入る作業は、枝を切れるかとは別に確認します。横浜市の案内では、目的・日時・場所・方法をあらかじめ土地所有者に通知し、切取りに必要な範囲で隣地を使用できるとされています。木の所有者への催告と、作業のための通知を混同しないことです。隣地の使用者がいる場合の通知先や、事前通知が難しい場合の扱いも、専門家に確認します。
請求できる費用と、売却前に用意する現金は別
越境枝の切除費用は、基本的には木の所有者へ請求できると神戸市は説明しています。根拠として挙げているのは民法703条・709条です。ただし、請求できることと、売主の支払日までに入金されることは別です。
私はこう考えます。請求できるお金を、入金済みのお金として扱わない。制度の筋が通っていても、造園業者への支払日に現金がなければ段取りが止まります。回収見込みを楽観して売却の手取りを大きく見せるより、まず立替額を出す。それが売主の家計に役立つ説明です。
当社が見積もりで分けて確認したい項目は、枝の切除、切った枝の搬出処分、足場や高所作業の手配です。専門家への相談費用、所有者の調査費用が別途生じるかも聞きます。これらを全部そのまま相手に請求できるとは扱いません。請求対象になる範囲や金額の相当性は、切る前に法的な確認を取ります。
| 整理する欄 | 売主が確認する内容 |
|---|---|
| 発注前の支出 | 相談料・調査費の有無と、誰が支払うか |
| 作業の代金 | 切除・搬出・処分・作業設備の内訳、税込総額、支払日 |
| 請求予定 | 相手へ求める範囲、負担合意の有無、入金予定 |
| 回収できない場合 | 売主が負担したままでも、売却まで資金が足りるか |
たとえば、切除と処分の見積もりが税込8万円で、全額を先払いする仮のケースを考えます。相手からの入金が未定なら、当面の売却準備資金には8万円の支出を置きます。後で5万円が入れば、差引負担は3万円です。8万円は相場ではなく資金整理の計算例で、5万円も回収率の予測ではありません。
この枝の作業費と、空き家の巡回や草刈りなどの継続費用も分けます。売却までの期間が延びた場合の支出は、売却中の空き家管理費と仲介料の区分も参照してください。枝を一度切ったら、売れるまで管理費がなくなるわけではありません。
切除してから売るか、事情を説明して販売を始めるか
庭木の越境がある家の販売計画は、切除の見通しと費用負担を整理して組みます。当社は、枝があるという理由だけで売却価格の減額幅を決めません。現地で確認し、解決までの予定と残る不確定事項を分けて査定します。
当社は売却を急がせるために買取を率先して行いません。そのかわり、枝の問題を解消して仲介で売る場合と、現状を説明して買主と条件を協議する場合を比べます。当社が買主になることはありません。買取や買取保証という選択そのものを否定せず、選ぶ場合も作業費と仲介手数料を含めた手取りで検討します。
正直に言うと、私は「先に切ってから募集する」と一律には決められません。安全上の問題があるのか、相手の対応予定が立っているのかで変わるからです。費用も工期も分からないまま見栄えだけ整えるのは避けたい。一方で、危険な枝を販売開始まで放置する判断もできません。安全の確認と販売の都合を分けて進めます。
当社は、未解決の越境を写真の撮り方だけで見えなくすることはしません。切除前後の状態、隣地側とのやり取り、費用の負担合意を整理して買主への説明に使います。引渡しまでに誰が何を行うか、再び枝が伸びたときの申し合わせがあるかも確認します。契約にどう記載するかは、仲介担当者と弁護士などに相談してください。
机上の価格だけでは、枝の高さや作業車の進入可否まで判断できません。机上査定と訪問査定の違いを踏まえ、現地で作業条件も確認すると、価格と準備費用を同じ前提で比べられます。
今日することは、切除の発注より先に記録を1組そろえること
売却前の越境枝で今日できる確認は、写真・境界資料・連絡記録を1組にすることです。当社は、その資料から切除条件、見積もり、販売日程を順番に整理するよう案内します。
写真は自分の敷地から安全に撮れる範囲で構いません。境界資料がなければ「手元にない」、相手の連絡先が分からなければ「未確認」とメモします。分からない欄を埋めるために隣地へ立ち入ったり、無理に枝へ近づいたりする必要はありません。危険が疑われる場合は近づかず、専門家への相談を先にします。
相談では「3条件のどれを根拠にできるか」「催告・調査・通知は何が必要か」「どの費用を請求できるか」を聞いてください。切除作業は造園業者、境界は土地家屋調査士、切除の適法性や費用請求は弁護士など、質問に応じて確認先を分けます。
磐田市での不動産売却を検討する方にも、この順番で考えていただきたいと思います。売るかどうかの結論より先に、枝を切る条件と立替額が分かる。その状態をつくってから、手元に残る金額を比べてください。
出典(2026年9月26日確認):神戸市「越境した木の枝の切取りルール【2023年4月改正】」(2026年6月2日更新)、同市掲載・法務省資料「越境した竹木の枝の切取り」、横浜市「越境した枝の切取りルールの改正について」。制度や案内は変わることがあります。個別の切除条件、隣地使用、費用負担は、作業前に弁護士・司法書士など専門家へ確認してください。
よくある質問
切ってほしいと伝えて2週間たてば、自分で切れますか?
2週間は一律の法定期限ではありません。神戸市は、催告後の相当期間は事案によるものの基本的に2週間程度と説明しています。誰に、どの枝について、いつ切除を求めたかを記録し、相手の対応状況も整理してください。共有者がいる場合の催告先を含め、切除前に弁護士などへ条件を確認します。
造園業者へ払った費用は、隣の木の所有者から全額戻りますか?
切除費用は基本的に木の所有者へ請求できると神戸市は説明していますが、全額の回収や入金時期を保証するものではありません。切除・搬出・処分などの見積もりを分け、請求できる範囲を専門家に確認してください。売却前の資金計画には、相手から未入金の場合に必要な立替額を見込みます。
越境した枝を切るためなら、隣の敷地に入ってよいですか?
隣地の使用にも確認が必要です。横浜市は、目的・日時・場所・方法を事前に土地所有者へ通知し、切取りに必要な範囲で使用できると説明しています。切除できる条件と、隣地使用の手続は別に整理します。使用者がいる場合や通知が難しい場合も含め、無断で作業を始めず専門家に確認してください。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
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