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契約手付解除仲介手数料

不動産売却の手付解除|売主が知る3つの負担

自宅売却の手付解除で必要な返還分と追加負担を表す2つの封筒、仲介手数料を表す別の封筒を、家の模型と鍵、電卓の横に並べたイメージ
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。
この記事の結論Q. 売る契約のあと、気が変わったらいくらかかる? A. 売主が手付解除できる条件を満たす場合、受領した手付金の返還に同額を加え、買主へ倍額を現実に提供します。別に仲介手数料が残る場合もあります。返す元金・追加負担・手数料を分け、契約の期限と買主の履行着手を確認してください。売主にはクーリングオフの適用がありません。

買いたい人が見つかり、売買契約の日が決まった。それでも、次の住まいが決まらない、家族の気持ちが揃わない。「契約だけ済ませて、あとで考えよう」と思ったときに、先に知っておきたい支出があります。

この記事は、自宅を売る個人の売主が、自己都合で手付解除する場合の話です。手付金の返還、同額の追加負担、仲介手数料の3つに分けます。契約違反による解除やローン特約による解除とは、支払いの仕組みが異なります。

契約解除の相談312件は、売主だけの数字ではない

東京都の2024年度集計では、売買の電話相談3,452件のうち「契約の解除」は312件で第3位でした。ただし、売主の手付解除だけを数えた統計ではありません。

出典は、東京都が2025年11月19日に公表した「不動産取引に関する相談及び指導等の概要(令和6年度)」の2ページです。第1位は契約内容738件、第2位は契約前相談551件。2026年9月17日に原文を確認しました。312件から、自宅を売る人の解除率や、地域ごとのトラブルの起こりやすさは読み取れません。

私が評価するのは、契約後の相談だけでなく、契約前相談も別に示されている点です。売る前に立ち止まり、条項を確かめる行動が見えるからです。そのうえで、件数だけでは自分の支払いはわかりません。売主に必要なのは、契約書の条件を自分の口座から出る金額へ置き換える作業だと考えます。

意外に思われるかもしれませんが、売主に「8日以内なら無条件で撤回できる」という仕組みはありません。東京都の相談事例も、不動産を売却する契約にはクーリングオフの適用がないと説明しています。買う側の制度を、売る側にも使えると思わないことです。

負担1:受け取った手付金を返す資金が要る

売主の手付解除では、まず受領した手付金と同額を買主へ戻す必要があります。返還する元金は追加の損失と分けて考えますが、支払う時点には現金を用意しなければなりません。

手付金は、契約時に買主から売主へ渡す金銭です。通常、取引を終えるときには売買代金の一部に充てます。民法第557条は、買主が手付を放棄し、売主が倍額を現実に提供することによる解除を定めています。この解除に使う性質の手付を「解約手付」といいます。個人が売る契約では、手付の性質や特約も確認する必要があります。

たとえば、手付金100万円を受領し、その100万円を口座に残しているとします。返還分には、そのまま100万円を充てられます。しかし、住み替え先の支払いや片付けに使ってしまえば、返す元金から用意し直すことになります。「入金済みだから使えるお金」と考える前に、解除時の資金を確認してください。

売る家の手付金を、買う家の手付金へ回す計画なら、売却をやめたときに購入側へ何が起きるかも別に確認します。片方の解除だけで、もう片方の契約まで自動的に消えるとは考えられません。日程と資金のつながりは、住み替えの売り先行・買い先行の比較と一緒に整理できます。

負担2:返還に加えて、手付金と同額を上乗せする

売主が手付解除できる条件を満たす場合、買主へ提供する金額は受領手付金の2倍です。手付金100万円の例なら、元金100万円の返還と追加100万円で、買主へ渡す合計は200万円になります。

「倍返し」と聞いて、元金を返したうえでさらに200万円を払うと考えると、合計を取り違えます。反対に、受け取った100万円を返すだけでは足りません。次の表は、手付金100万円、仲介手数料などは含めない、手付解除が可能という仮定の計算です。手付金の相場を示した表ではありません。

分けて見る金額この例の額意味
受領した手付金の返還100万円買主から受け取った元金を戻す
売主が追加する金額100万円元金とは別に売主が負担する
買主へ提供する合計200万円返還100万円+追加100万円

受領から解除までを通して見ると、手付金に関する純粋な負担は、この例では100万円です。ただし、解除時に必要な支払いは200万円。私は、この2つを同じ欄には書きません。家計の損失額と、期日までに口座へ揃える資金は、別の判断だからです。

金額を揃えれば、いつでも解除できるわけでもありません。民法第557条では、解除する側の相手方が契約の履行に着手した後は、手付解除ができません。売主から解除する場面なら、買主の履行着手が問題になります。履行着手とは、契約上の義務を実行し始めた状態を指し、単なる準備との境目は個別に判断されます。

さらに、契約書に手付解除の期日を設けている場合があります。契約の期日と履行着手の条項を、セットで読んでください。「引渡し前だから大丈夫」「まだ契約から3日だから大丈夫」とは言えません。条項と実際の進行状況を確認しないまま、解除可能とは判断できません。

売主には倍額の現実の提供が求められ、口頭で「返します」と伝えるだけでは足りません。解除通知と資金の提供方法を、担当者や弁護士へ早めに確認してください。手付解除ができない段階では、合意解除の交渉や、契約違反に伴う違約金等が問題になります。本記事の200万円という例を、そのまま使わないでください。

負担3:売却が止まっても仲介手数料が残る場合がある

自己都合による手付解除では、売買が完了しなくても、成立した契約を仲介したことへの報酬請求権が残る場合があります。買主へ払う倍額と、仲介会社へ払う手数料は別に確認します。

不動産適正取引推進機構の「不動産のQ&A」は、当事者間の事情による解約でも、仲介の報酬請求権は失われないとの考え方を示しています。一方、解除によって業務量が減ったことなどを踏まえ、裁判で全額の請求までは認められない場合もあると説明しています。「解除したからゼロ」「いつでも全額」のどちらにも決めつけられません。

私は、当社の取り分になる費用も契約前に説明すべきだと考えます。確認するのは、媒介契約書と報酬の約定にある、合意した総額、支払い済みの額、解除時に残る額です。売買契約書の手付解除条項だけを読んでも、手数料の扱いを読み切れない場合があります。依頼契約の違いは、専任媒介と一般媒介の違いで整理しています。

計算用の仮定として、手付金100万円、合意した仲介手数料60万円とします。手数料30万円を支払い済みで、解除時にも総額60万円を負担する扱いになった場合、未払いは30万円です。解除時の支払いは買主へ200万円、仲介会社へ30万円で合計230万円。受領した手付金100万円が残っていれば、追加で揃える資金は130万円です。

この例の60万円は、法定上限額や当社の料金を示したものではなく、合意額を仮置きした数字です。受領から解除までの純負担は、手付の追加100万円+手数料総額60万円=160万円。解除時の支払額230万円とは区別します。引っ越し等の費用は含まず、実際の手数料は約定、解除原因、業務内容等で変わります。

売買契約前の販売中止、条件に基づく白紙解除、自己都合の手付解除は同じではありません。請求額がわからないときは、金額だけでなく、どの契約のどの条項による請求なのかを書面で確認します。争いがある場合は、支払義務の有無や範囲を弁護士へ確認してください。

当社は契約を急がせず、撤回時の支出を先に並べる

当社は、売る意思が固まらないまま契約を急がせません。そのかわりに、返還する手付金、追加する同額、仲介手数料を並べ、撤回できる条件と資金の準備を契約前に確認します。

私はこう考えます。迷っているなら、契約する前に止まる。契約してから考えるための手付金ではありません。当社にとって契約が先に延びても、売主が撤回費用を知らずに署名するより、判断材料を揃えるほうを選びます。早く買い取るより、1円でも多く売主様の手元へ。その考え方は、売れたときの手取りだけでなく、売らなかったときの支出にも当てはまります。

ただ、私にも迷うところはあります。契約を延ばせば、購入希望者との話がまとまらなくなる可能性もあります。売主にとって待つ損と、契約後に撤回する負担のどちらが大きいかは、ご家族の事情を聞かなければわかりません。だから、気持ちが揃っていない理由と、延期できる日程を分けて確かめたいのです。

今日できる確認は、担当者に次の一覧を書いてもらうことです。紙でも電子でも、署名する前に手元へ残してください。保存の仕方は、不動産売却の電子契約と紙契約も参考になります。

  • 手付解除の期日と、買主の履行着手に関する条項。
  • 買主へ渡す倍額の内訳と、受領手付金を使った場合の不足額。
  • 仲介手数料の合意総額・支払済額・解除時の残額と、その根拠。
  • 解除を申し出る連絡先、通知と資金提供の手順。

当社は買主になる立場ではなく、仲介の立場でこの確認を行います。磐田市の不動産売却でも、まず契約書案と費用の一覧を見比べる順序です。契約前なら、今日の成果は署名でなくても構いません。「やめるなら何円、いつまで、どう払うか」がわかった状態をつくる。私はこう案内します。

出典(2026年9月17日確認):東京都「不動産取引に関する相談及び指導等の概要(令和6年度)の公表について」2ページ、同「最近の不動産相談事例」1-2、e-Gov法令検索「民法第557条」、不動産適正取引推進機構「不動産のQ&A・媒介報酬等」Q1。

本記事は2026年9月17日時点の一般的な説明です。制度や取扱いは変わる場合があります。手付の性質、解除期日、履行着手、通知方法、仲介手数料の個別判断は、契約書と経緯を示して担当の宅地建物取引士や弁護士に確認してください。

よくある質問

売主も契約から8日以内ならクーリングオフできますか?

自宅を売る売主には、売却契約のクーリングオフの適用はありません。売主が自己都合で手付解除するには、解約手付の扱い、契約の解除期日、買主の履行着手などの条件確認と、手付倍額の現実の提供が必要です。契約からの日数だけで判断せず、契約書案を署名前に確認してください。個別の解除可否は弁護士等へ相談します。

手付金100万円なら、倍返しの200万円全部が損失ですか?

手付解除ができる前提なら、買主へ渡す200万円の内訳は、受領した100万円の返還と追加100万円です。受領から解除までの手付に関する純負担は100万円ですが、解除時に支払う資金は200万円です。受領分を既に使っていれば元金も用意し直します。仲介手数料など別の支出は、この金額には含みません。

手付解除して売却をやめたら、仲介手数料は不要ですか?

自己都合の手付解除では、売買が完了しなくても仲介の報酬請求権が残る場合があります。ただし、個別事情によって全額の請求まで認められない場合もあります。媒介契約と報酬の約定で、合意総額・支払済額・解除時の残額を確認してください。販売中止や白紙解除とは分け、請求に争いがある場合は弁護士へ確認します。

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文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
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