不動産売却の広告費|別払いになる理由と3つの疑問

売却の見積書に「仲介手数料」と「広告費」が並んでいる。家を売るための広告なのに、手数料とは別なのか。依頼する前に立ち止まってよい項目です。金額の大小より先に、何を頼んだ費用なのかを確かめてください。
当社は、広告の依頼内容と料金の内訳を分けて説明します。この記事では、国土交通省の報酬告示を入口に、追加広告の依頼から精算までを整理します。広告を増やす案だけでなく、増やさない案も手取り額で比べます。
広告費の別払いは原則と例外を分けて読む
不動産売却の広告費は、すべてが仲介手数料に上乗せされるものではありません。報酬告示は規定外の報酬受領を禁じたうえで、依頼者の依頼による広告料金相当額を例外にしています。「広告費」という名目だけで別払いが決まるわけではありません。
根拠は国土交通省が公表する「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の第十一①です。昭和45年建設省告示第1552号で、参照版の最終改正は2024年6月21日国土交通省告示第949号。改正の施行日は2024年7月1日です。2026年9月27日に原文を確認しました。
ここで読み違えたくないのは、2024年7月から広告費の別請求が新しく解禁された、という話ではないことです。改正後の告示にも例外が置かれている、という読み方をします。同じ告示の仲介報酬の特例と、広告料金の例外は分けて確認します。
私は、依頼した広告の費用を別に扱う余地があること自体は合理的だと考えます。売主様が販売先を広げたいときに、追加の方法を選べるからです。通常の販売計画では届かない層へ知らせる目的なら、費用を検討する意味があります。
そのうえで、私は「販売促進一式」という説明だけでは足りないと考えます。媒体名も回数もわからなければ、頼むかどうかを判断できません。当社は、通常の販売活動で行うことと、追加で依頼を受けることを分けます。仲介手数料の説明は800万円以下の物件の仲介手数料と手取り比較に整理しています。
疑問1:ネット掲載やチラシも別料金なのか
ネット掲載か紙のチラシかという媒体の名前だけでは、広告費が別払いになるかは決まりません。通常の販売活動に含む掲載なのか、売主様が追加で依頼する広告なのかを、販売計画と見積書で照合します。
たとえば、通常の掲載に加えて、売主様が指定した媒体に有料枠を設ける案を考えます。確認するのは、掲載先、期間、掲載回数、料金です。「もっと宣伝してほしい」という希望と、「この媒体へこの金額で発注する」という依頼は、同じ具体性を持ちません。
国土交通省の標準媒介契約約款は、専任媒介・専属専任媒介の第10条で、特別に依頼した広告料金を依頼者負担とし、実費を支払う扱いにしています。一般媒介では第12条です。実際の契約書が標準約款に基づくかも含め、署名前に該当欄を読みます。
当社は、通常の広告までまとめて追加費用にする説明はしません。そのかわり、追加を提案するときは、誰に何を伝える広告なのか、通常の掲載とどこが違うのかを先に示します。「費用を払えば目立つ」だけでは、売主様の依頼を受ける説明として不十分だと私は考えています。
写真を撮り直すだけで解決する問題なのか、掲載先そのものを変える必要があるのかも別です。暗い室内写真や不足している間取り情報を残したまま、広告枠だけ増やすことには私は慎重です。掲載前に直せる内容は家の売却写真の撮り方と用意したい7枚で確認できます。
疑問2:売れなかったときも払うのか
特別に依頼して実施された広告の実費は、売買が成立しなくても負担が残る場合があります。仲介の成功報酬と広告の実費を、同じ条件で考えないでください。依頼前に、未成約時と途中中止時の精算を確認します。
標準媒介契約約款は、売買契約が成立した場合の報酬請求と、特別依頼に係る費用を別の条文で定めています。広告の条文は成約を支払条件とはしていません。だからこそ、「売れなければ何もかからない」という理解のまま追加広告を頼むと、認識がずれるおそれがあります。
発注前、制作済み、掲載済みでは、中止した場合に精算する内容が異なり得ます。私は、金額を聞くときに「いつから取り消し費用が生じるのか」も一緒に聞くよう案内します。返金や取消料は広告の発注条件と契約内容によるため、一律の金額はここでは決められません。
当社が追加広告を扱うなら、見積書には税込の総額だけでなく、掲載料金と制作等の内訳も分けて示します。制作費などが含まれる場合は、何の対価か、どの根拠で別途負担となるかも説明します。「実費」と書くだけで金額の中身が伝わったことにはしません。
媒介契約を更新しない場合も、満了と広告の発注停止は分けて整理します。自動で次回分が発注されるのか、未実施分があるのかを確認してください。満了前の連絡や資料の受け渡しは専任媒介を更新しないときの3手順で説明しています。途中解除などによる別の費用の話と、依頼した広告の精算も混同しないでください。
疑問3:広告費をかければ手取りが増えるのか
追加広告費を払っても、同じ価格で売れ、ほかの費用が同じなら、その支出分だけ手取りは減ります。広告で売価や売却までの期間がどう変わるかは、発注時点では確定しません。先に確定する支出と、まだわからない効果を分けて比べます。
説明用に、売買価格2,000万円、仲介手数料66万円、その他の売却費用20万円という仮の条件を置きます。手数料66万円は計算用に仮置きした合意額で、法定上限や当社の一律料金を示すものではありません。追加広告費は税込11万円と仮定します。
| 比較する案 | 計算 | 費用控除後の比較額 |
|---|---|---|
| 追加広告なし | 2,000万円 − 66万円 − 20万円 | 1,914万円 |
| 追加広告あり・同じ売価 | 2,000万円 − 66万円 − 20万円 − 11万円 | 1,903万円 |
| 追加広告あり・売価が11万円上がった場合 | 2,011万円 − 66万円 − 20万円 − 11万円 | 1,914万円 |
※全額が仮定の比較例です。仲介手数料・その他費用・広告費は税込とし、3案で広告費以外の費用を固定しています。ローン返済、譲渡所得税、引渡しまでの維持費は含めていないため、最終的な手取り額ではありません。売価上昇を予測する表でもありません。手数料などが売価に連動して増える契約なら、必要な売価の上昇幅も変わります。
私は、広告費を売価に対する割合だけで小さく見せたくありません。この例の11万円は、2,000万円の0.55%です。率なら小さく見えても、売主様の財布から出る11万円に変わりはない。広告を出す説明には、売価を上げる期待だけでなく、何も変わらなかった場合の11万円の負担も並べます。
一方で、私は広告費をゼロにすればよいとも言い切れません。売却が長引く間の維持費や、引越しの期限も判断に入るからです。ただ、広告がなければ何日遅れたかは、結果が出ても切り分けにくい。ここは私も迷うところです。効果を金額で断言できない以上、期間と予算の上限を区切って検討したいと考えます。
当社は、追加広告の掲載期間が終わったら、問い合わせ数や内覧につながった件数を確認する計画を立てます。広告を見た経路が不明な問い合わせは、不明のまま分けます。反応が確認できないときに、同じ予算を自動で繰り返す理由にはしません。
依頼前に、広告の内容と費用を別々に確認する
広告費の判断は、依頼する内容と支払う条件の両方がそろってから行います。当社は、追加広告をしない場合の販売計画も示し、追加する場合との差を売主様が選べるように説明します。
- 依頼内容:媒体名、対象にする読者、掲載期間、回数、通常の販売活動との違い。
- 費用の内訳:税込総額、掲載料金、制作等の内容、実費を確認する資料。
- 精算条件:支払時期、未成約時の負担、発注後の中止条件、未実施分の扱い。
- 振り返り:どの反応を、いつ確認し、次の発注を誰が判断するか。
今日できる確認は、見積書の広告費欄に対して「これは私が何を依頼した分ですか」と聞くことです。これから提案を受けるなら、依頼前の検討段階であることを伝え、内容と見積もりを受け取ります。説明を聞くことと、有料広告を発注することを分けておけば、相談もしやすくなります。
当社は買取・買取保証を率先して行いません。当社が買主になることもありません。そのかわり、仲介手数料という当社の取り分も、追加広告という売主様の支出も、同じ計算に入れます。買取や買取保証そのものを否定する話ではなく、売り方を比べるときの基準を手取りに置くという立場です。
私は、広告費を払うかどうかより、支出の理由を自分の言葉で説明できるかを先に確かめるよう案内します。「11万円でどこに何回載せ、売れなかったらどう精算するか」がわかってから選ぶ。その順番なら、広告を頼む判断にも、見送る判断にも根拠が残ります。
出典(2026年9月27日確認):国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」第十一①・改正附則、同省「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」専任媒介・専属専任媒介第8条・第10条、一般媒介第10条・第12条。制度・約款・料金は変わることがあります。個別の支払義務は契約書と依頼の経緯で確認し、争いがある場合は宅建業の免許行政庁や弁護士へご相談ください。
よくある質問
広告費の別払いは違法ですか?
広告費の別払いがすべて違法というわけではありません。報酬告示第十一①は、依頼者の依頼による広告料金相当額を例外にしています。ただし、広告費という名目だけで別請求が決まるものではありません。通常の販売活動との違い、依頼した内容、料金の根拠を契約書と見積書で確認してください。
売れなかったら広告費は戻りますか?
特別に依頼し、実施された広告の実費は、売買が成立しなくても負担が残る場合があります。標準媒介契約約款は成功報酬と特別依頼の費用を分けています。未実施分の返金や発注後の取消料は条件によるため、発注前に支払時期と中止時の精算方法を確認してください。
追加広告を断っても売却を依頼できますか?
当社は、追加広告をしない場合の販売計画も説明します。追加の広告を依頼するかと、売却の媒介を依頼するかは分けて検討できます。通常の活動に含まれる内容を先に確認し、追加する場合の費用と期待する効果を比べてください。既に発注済みの広告は、見送るだけで費用が消えるとは限らず、精算条件の確認が要ります。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
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