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売却準備私道手取り額

私道に面した家の売却|掘削承諾の3つの疑問

私道に面した家の売却と掘削承諾を考えるため、細い道路沿いの住宅模型、水道管の部品、書類フォルダーを机に並べた生成イメージ
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。
この記事の結論Q. 私道の掘削承諾書が見当たりません。家を売り出せますか? A. 書類がないだけで売却不可とは決めません。私道と配管の所有者、利用の根拠、必要な工事を分けて調べます。2023年4月施行の民法は設備設置・使用権を明文化しましたが、無断工事を認めたものではありません。当社は承諾の有無だけで値下げを勧めず、工事条件と費用を整理して売却判断を支えます。

購入したときの書類を探しても、私道の掘削承諾書が出てこない。水道は使えているのに、売る段階で何が問題になるのか。この状態で先に値段を下げるのは、私は順番が違うと考えます。書類の所在、配管を使う根拠、次の工事の条件を分けるところからです。

この記事では、売り出せるか、民法改正で何が変わったか、値下げの前に何を調べるかを整理します。大石浩之(磐田市/不動産業)が、宅地建物取引士として売主の判断材料を示します。

疑問1|承諾書がないと売り出せないのか

掘削承諾書が手元にないことだけで、当社は売却不可とは判断しません。ただし「工事できるか未確認」のまま、購入希望者へ問題なしと説明することもしません。書類の紛失なのか、承諾を得たことがないのか、相手が拒んでいるのかでは、調べる対象が違います。

掘削承諾書は、私道などを掘る工事について、土地の所有者等との合意内容を記した書面です。表題だけで効力や範囲は分かりません。誰が誰に、どの場所で、どの設備の工事を認めたかを読みます。通行の承諾があることと、配管を取り替える工事の合意があることも、同じ扱いにはしません。

当社が最初に整理する資料は、購入時の重要事項説明書、売買契約書、私道に関する覚書、配管図です。家の登記だけでなく、道路部分の地番と名義も照合します。私道の土地所有者と、地下にある管の所有者が同じかどうかも確認対象です。

分けて見る対象確認する内容
道路の土地地番、所有者、共有の有無、工事を予定する範囲
水道などの配管経路、所有者、引込みや共同使用の状況、既存資料
承諾書・覚書対象工事、条件、有効期間、所有者変更時の扱い
買主が予定する工事現状利用、管の更新、新設・増径などの具体的な内容

「昔から水が出ている」は現在の利用状況です。それだけで将来の工事まで説明したことにはなりません。一方、承諾書を探す前から「権利がない」と書くのも早計です。分かった事実と、まだ確認していない点を別の欄に残します。

道路と敷地の位置関係が不明なら、境界確定測量の費用と事前確認も併せて確認してください。境界を確かめる作業と、他人の土地で工事する根拠を確かめる作業は、別々に進めます。

疑問2|2023年改正で自由に掘れるのか

2023年4月1日施行の民法改正は、私道を自由に掘れるという変更ではありません。一定の条件で他の土地に設備を設けたり、他人の設備を使ったりする権利を明文化したものです。権利が成り立つかと、どの手続きで工事を実施するかは分けて確認します。

民法第213条の2第1項の対象は、他の土地への設備設置や他人の設備の使用がなければ、水道水等の継続的な供給を受けられない土地です。認められる範囲にも必要性の制限があります。私道に面しているという事実だけで、個別の家にこの権利が成立すると断定できません。

同条第2項は、相手の土地や設備への損害を最小にする場所・方法を選ぶよう定めています。第3項には、目的・場所・方法をあらかじめ知らせる義務があります。通知先は土地や設備の所有者だけではなく、他の土地を現に使っている人も含みます。通知書を送ったという一点で、残りの条件を省けるわけではありません。

さいたま市「民法改正に伴う給水装置工事の対応」(2026年3月12日更新)は、自力執行が一般に禁止されると説明しています。自力執行とは、権利があるとして自分の実力で実現することです。同市は、利害関係者に無断で工事できる変更ではないとし、同意を得る努力を引き続き求めています。

意外に思われるかもしれませんが、法律上の設備設置権があっても、そのまま工事に着手できるとは限りません。所有者が拒否する場合や権利の範囲に争いがある場合は、工事を強行せず、弁護士に実現方法を相談する領域です。

私は、権利の根拠が条文で示された点は、調査を進める手掛かりになると評価します。承諾書がないという一言で話を閉じずに済むからです。そのうえで、売却説明には「権利があります」だけでなく、通知・協議・施工に残る作業も添えたい。買主が引越しや改修の予定を組むには、そこまで必要だと考えます。

さいたま市の申請書類や給水条例に基づく対応は、同市の取扱いです。他地域へは一般化しません。物件所在地の水道事業者と指定給水装置工事事業者に、工事内容を示して申請方法を確認します。法令・市の案内の確認日は2026年9月20日です。

疑問3|承諾が取れなければ値下げするのか

当社は承諾の有無だけで値下げを勧めず、解決に必要な工事・費用・期間を先に整理します。書類が見当たらない状態と、具体的な工事を断られた状態を、同じ値下げ理由にはしません。価格への影響は、物件ごとの確認結果と買主の利用計画を踏まえて判断します。

設備設置・使用権があるとしても、無償で何でもできるわけではありません。民法第213条の2第5項・第6項は、設置や使用開始に伴う所定の損害への償金を定めています。第7項には、他人の設備を使う利益の割合に応じた設置・改築・修繕・維持費の負担があります。償金は、ここでは損害に対する金銭の負担です。

当社は、その法的な負担と工事見積もりを混ぜずに並べます。掘削する区間、舗装を戻す範囲、既設管の撤去・接続、申請の費用を工事店へ確認します。相手から金額を提示された場合も、何に対する請求かを明らかにし、法的な負担の範囲は専門家へ確認します。

例えば、売主が工事を済ませる案と、買主が取得後に工事する案を比べます。これは検討方法の例で、特定の取引実績ではありません。売主施工の案では、先に支払う資金と完成までの時間が必要です。買主施工の案では、工事範囲と負担者に加え、実施の見通しを説明できるかが課題になります。

手取りを比べる際は、売却価格から仲介手数料などの売却諸費用と、売主負担の工事・調整費用を引きます。工事の見通しが立たない段階で、一律の値引き率や費用相場は置きません。売値だけを比べても、先払いするお金や引渡しまでの負担は見えないからです。

給水と排水の工事も一括りにしません。下水道への接続が別に必要な家では、磐田市で下水道未接続の家を売るときの費用確認のように、対象区域と接続工事を別途確認します。本記事の給水工事の説明だけで、排水設備の工事条件まで決めないでください。

売るか決める前に、資料を1組つくる

私道に面した家の売却準備は、承諾書の有無を答えるだけでなく、道路・配管・工事の資料を1組にするところから始めます。今日できることは、購入時の重要事項説明書を開き、私道と上下水道の記載を見つけることです。見当たらない書類は「未確認」として一覧に残せば構いません。

私はこう考えます。承諾書がないという不安を、そのまま値引き額にしない。資料を調べてから売る、条件を整理しながら売り出しを検討する、今は売らない。判断の材料を増やすことが先です。当社は買取を率先して行いませんし、当社が買主になることもありません。売主の手元に残る額を考えるために、この順番を守ります。

ただ、私にも一律に決められない点があります。調整が終わるまで売り出しを待つほうがよいのか、未確認事項を示して購入希望者を募るほうがよいのか。転居期限、必要な工事、相手との協議状況によって答えは変わります。売り出す判断と、工事や引渡しを約束できる判断は同時ではありません。

当社からの提案は、資料に「確認済みの内容」「未確認の内容」「次の確認先」を書くことです。配管の経路は水道事業者と工事店へ、権利の争いは弁護士へ確認します。購入希望者への説明には、物件状況報告書と付帯設備表の違いも参考になります。知らない内容を推測で埋めないための整理です。

買取や買取保証という選択肢そのものは否定しません。ただし、その売り方を選んでも私道の調査事項が消えるとは扱いません。当社が媒介する場合には仲介手数料が発生するため、費用と引渡し条件を含めて比較します。磐田市の不動産売却相談でも、まず書類の確認から進められます。

出典(2026年9月20日確認):さいたま市「民法改正に伴う給水装置工事の対応」(2026年3月12日更新)/e-Gov法令検索「民法」第213条の2。制度や申請の取扱いは変わることがあります。個別の権利・紛争は弁護士、売買の説明・条件は宅地建物取引士、登記は司法書士、境界は土地家屋調査士に確認してください。

よくある質問

私道の持分があれば掘削承諾書は不要ですか?

私道の持分があることだけで、掘削承諾書や工事の調整が不要とは判断できません。共有の状況、工事の内容、配管の所有者、既存の合意を分けて確認します。土地の持分と他人の設備を使う根拠も別です。承諾が必要な範囲を一律に決めず、資料をそろえて宅地建物取引士に相談し、権利の争いは弁護士へ確認してください。

2023年の民法改正後も事前通知は必要ですか?

民法第213条の2に基づいて設備を設置・使用する場合、目的・場所・方法の事前通知が必要です。土地や設備の所有者に加え、他の土地を現に使用する人も通知先に含まれます。通知しただけで無断工事が認められるわけではありません。権利の成立と施工の進め方を分け、拒否や争いがある場合は弁護士へ確認してください。

売却前に売主が配管工事を済ませるべきですか?

売主が工事を済ませるべきかは一律には決められません。必要な工事、権利の根拠、申請方法、見積もり、引渡し期限を確認してから比較します。売主施工では先払い資金が必要になり、買主施工でも工事条件の説明が残ります。価格だけでなく、仲介手数料等を引いた手取りと負担者を整理し、契約条件は宅地建物取引士へ確認してください。

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富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役・宅地建物取引士の大石浩之

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
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