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税金手取り売却準備

自宅売却に消費税はかかる?2026年10月改正との関係

自宅売却の手取りと買主側の税計算を分けて考えるため、家の模型と鍵、二組の白紙、電卓を机に並べたイメージ
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。
この記事の結論Q. 10月の改正で、自宅の売却代金にも消費税がかかる? A. 個人が生活用だけの自宅を売る取引は、消費税の課税対象外です。2026年10月からの70%控除は買主側の仕入税額控除の経過措置で、売主への新たな課税ではありません。店舗兼住宅の事業用部分や仲介料は別に確認し、売却代金から一律に消費税を差し引かず、税理士等に個別判断を確認してください。

売却代金からローンを返し、住み替えに使えるお金を計算している。そこへ「10月からインボイスが変わる」と聞けば、家の代金にも消費税を見込むのかと気になるはずです。まず、売主が納める税金と、買主が使う控除の欄を分けてください。

私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として、売却の手取りを考える立場から整理します。制度の確認日は2026年10月4日。生活用だけの自宅を個人が売る場合を出発点に、店舗兼住宅などの確認が必要な場合も扱います。

生活用の自宅売却は、消費税の課税対象外

個人が生活のために使っている自宅を売る取引は、事業としての売却ではなく、消費税の課税対象外です。国税庁「No.6109」のQ2・A2は、個人事業者が居住する家屋でも、生活用資産の売却には課税しないと説明しています。

意外なのは、売主が個人事業者でも答えが同じになる点です。仕事で消費税の申告をしているかという属性だけで、自宅まで課税と決めることはできません。売る建物が事業に使われていたかを確認する必要があります。

一方、土地の譲渡は国税庁「No.6201」で非課税取引とされています。生活用自宅の売却が事業の外にあることと、土地が非課税とされることは、税がかからない理由が違います。「不動産は全部同じ」と覚えると、事業用建物の売却で判断を誤ります。

当社は、生活用だけの自宅だと確認できた売却について、売却代金の10%を機械的に税金として差し引きません。ただし、消費税がかからないことと、売却に関する税金が何もないことは別です。譲渡所得に対する税金や契約書の印紙税は、それぞれ別の欄で確認します。

2026年10月の70%控除は、買主側の話

2026年10月1日から2028年9月30日までの70%控除は、インボイス発行事業者以外から行う課税仕入れについての経過措置です。国税庁「令和8年度税制改正特集」は、改正前に予定されていた50%ではなく、2年間は70%と案内しています。自宅売却代金への新たな課税ではありません。

仕入税額控除とは、事業者が消費税を計算するとき、売上げに係る税額から仕入れに係る税額を差し引く仕組みです。70%は売買代金の70%ではなく、対象となる仕入税額相当額に対する割合です。残り30%がそのまま売主の納税額になるわけでもありません。

ここは少しややこしいところです。国税庁「No.6355」では、仕入先が消費者でも、事業者側では課税仕入れに当たる場合があると説明しています。つまり、売主の生活用自宅の売却が課税対象外でも、買主側では建物の取得について控除の検討が生じ得ます。土地の購入は課税仕入れに含みません。

買主が自分の住まいとして買う個人なのか、事業のために買う事業者なのかで、検討の入口が変わります。控除の適用には買主の課税方式、取得後の用途、帳簿・書類の保存などの条件があります。売主側から、買主が実際にいくら控除できるかまで決めることはできません。

私は、控除を段階的に変える仕組みは、事業者が資金計画を立てる助けになると考えます。そのうえで、売却の説明には注文があります。「70%になった」という数字だけを手取り表に置かないでほしい。誰の計算かを省けば、売主の負担を見誤るからです。

法人などへの売却で提出書類を求められたときも、税金の種類を混ぜないことです。不動産売却でマイナンバーを求められる理由は、支払調書の話として別に整理しています。

店舗兼住宅は、建物の使い方を先に確認

店舗兼住宅など、事業と生活の両方に使っている建物は、事業用部分について消費税の課税対象となります。国税庁の兼用資産に関する質疑応答は、用途に応じた按分を示しています。建物全体を自宅扱いにする判断は避けてください。

たとえば1階が店舗、2階が住まいなら、間取り図だけでなく実際の利用状況も整理します。過去に貸していた家、仕事場を併設していた家は、「自宅」という呼び名だけでは判定できません。事業用部分の範囲や売却代金の区分を、税理士へ確認するためです。

ここでいう課税対象と、実際に消費税を納める義務があるかも別の確認です。免税事業者に当たるか、インボイス登録があるかなどを含めて判定します。事業用部分があるから売価全額の10%を納付する、と短絡させないでください。

私は、事業と生活の境目が曖昧な建物に、資料を見る前から「税金ゼロ」と書くのはためらいます。売却の話を早く進めたい気持ちはあっても、ここで見込みを甘くすると住み替え資金に響く。分からない欄は未確認と残し、確認先と回答期限を添えるほうが、売主の判断に役立つと考えます。

手取り表では、家の代金と仲介料を別の欄へ

生活用自宅の売却代金に消費税がかからなくても、売却を仲介するサービスの料金は別に扱います。国税庁の消費税法基本通達6-1-6は、土地の譲渡が非課税でも、その仲介手数料は課税の対象になると示しています。当社の仲介料も、売主が負担する税込額で確認していただきます。

以下は計算の整理だけを目的とした架空例です。個人が生活用だけの自宅を2,000万円で売り、仲介料を税抜60万円・消費税6万円の合計66万円、その他の売却費用を総額20万円、ローン返済を800万円と仮定します。仲介料の上限計算や相場の提示ではありません。

手取り表の項目この例の金額
生活用自宅の売却代金2,000万円
売却代金から差し引く消費税0円(生活用だけの個人の自宅という前提)
仲介料の支払い66万円(税込)
その他の売却費用20万円(仮定した支払総額)
ローン返済800万円
譲渡所得に対する税金を反映する前の残額1,114万円

計算式は2,000万円-66万円-20万円-800万円=1,114万円。固定資産税等の精算金や引越費用は含めていません。税抜60万円×10%=6万円は仲介サービスの税額で、家の代金の税額ではありません。実際の金額は契約条件と見積書で置き換えてください。

私はこう考えます。税金の名前だけで、売主の手取りを減らしてはいけない。この例で売却代金の10%に当たる200万円をさらに引けば、実際にはない負担を家計に載せることになります。逆に、税込66万円を引いたあとに消費税6万円をもう一度引けば、仲介料の税額を二重に数えます。

当社は「早く買い取るより、1円でも多く売主様の手元へ」という立場です。当社は買主にはならず、買取を率先して行いません。そのかわり、仲介料を含む支払額と入金時期をそろえ、売主の手取りを比較します。買取や買取保証を選ぶこと自体を否定するものではありません。

低価格帯の物件は、800万円以下の空き家の仲介手数料も確認してください。紙の契約書を作る費用は、不動産売買契約書の印紙税として別に見ます。消費税がゼロという説明だけでは、売却費用の総額は出ません。

契約前に、消費税の欄の根拠を聞く

売却前にできる確認は、手取り見積書の「消費税」が何に対する金額か、項目ごとに尋ねることです。売却代金、仲介料、買主側の控除を区別できれば、確認すべき資料と相手が決まります。

  1. 建物を生活用だけに使っていたか、店舗・事務所・賃貸に使った部分があるかを書き出す。
  2. 手取り表の費用を税込額にそろえ、未確認の税額をゼロ円で埋めない。
  3. 買主側の控除を理由に価格の話が出たら、税金の納付と価格交渉を別に説明してもらう。

当社は、70%控除という制度の数字を、そのまま値引き率に置き換えません。価格を見直すなら、当初価格、変更額、費用を引いた残額を並べて検討します。買主の事情を聞くことと、売主がその価格に同意することは別の段階です。

磐田市で売却を考える方も、まず手元の契約書案と費用明細に、建物の利用状況を添えてください。私は、税の不安だけで売る時期を決める前に、この材料をそろえるよう案内します。事業用部分の判定や申告の要否は、最後は税理士または税務署に確認してください。

出典(いずれも2026年10月4日確認):国税庁No.6109 Q2・A2(2026年4月1日現在法令等)、令和8年度税制改正特集「7・5・3割控除」(ページに公表日表示なし)、事業用及び家事用の両方に使用している資産を売却した場合の課税関係(2025年8月1日現在)、No.6355 課税売上げと課税仕入れ、No.6201 非課税となる取引、消費税法基本通達6-1-6。制度・税率・適用期間は変わる場合があります。本文は一般的な整理で、個別取引の税額を確定するものではありません。

よくある質問

個人事業者が自宅を売ると、消費税がかかりますか。

生活用だけの自宅であれば、個人事業者が売る場合も事業としての取引ではなく、消費税の課税対象外です。ただし、店舗兼住宅などは事業用部分を分けて確認します。売主の職業やインボイス登録だけで決めず、建物の利用状況と資料を整理してください。事業用部分の範囲や納税義務の有無は税理士等に確認します。

70%控除になった分、自宅の売値を下げる必要がありますか。

70%は買主側で対象となる仕入税額相当額を控除する割合で、自宅の値引き率ではありません。買主の課税方式や取得後の用途などにより適用は異なります。価格の変更を検討する場合は、控除の説明と売買価格の合意を分け、変更後の手取り額を比較してください。売主の納税額として一律に差し引くものではありません。

自宅の売却代金が課税対象外なら、仲介手数料も消費税なしですか。

売却代金と仲介サービスの料金は別に扱います。生活用自宅の売却が課税対象外でも、仲介料は消費税の課税対象です。手取り表には契約する仲介料の税込総額を記入し、税込額からさらに消費税を引かないよう確認してください。印紙税や譲渡所得に対する税金も別に判定し、実際の支払額や申告の要否を確認します。

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富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役・宅地建物取引士の大石浩之

文責:(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。