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長期優良住宅の売却|認定承継の3つの疑問

長期優良住宅の売却で認定資料と維持保全の記録を引き継ぐ準備を表した、木の家模型、鍵、書類ファイルと開いたバインダーのイメージ
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。
この記事の結論Q. 長期優良住宅の認定は、家を売ると買主へ引き継げますか? A. 買主が必要な権利を取得し、所管行政庁の承認を受けて認定計画実施者の地位を承継できます。認定書を渡すだけでは終わりません。売主は認定通知書・計画・点検記録をそろえ、申請担当、提出時期、費用負担を販売条件に整理します。

家を建てたときの書類に「長期優良住宅」の認定通知書がある。売却を考えると、買主へ渡せば済むのか、もう一度認定を取り直すのかが気になります。売値の相談を始める前に、認定の引継ぎと、家の所有権の移転を分けて考えます。

この記事は、認定済みの戸建てを売る持ち主の方に向けた売却ノートです。未認定の家で新たに認定を取る手続きや、マンションの住棟認定は扱いを分けます。一次情報は2026年9月15日に確認しました。

認定49.8%でも、売却価格の答えにはならない

2025年度の新築戸建ての長期優良住宅認定は155,838戸で、新設住宅着工戸数に対する割合は49.8%です。国土交通省が2026年7月17日に公表した認定実績の数値です。中古住宅の売買に占める割合でも、価格の上昇率でもありません。

出典:国土交通省「長期優良住宅の認定状況について(令和7年度末時点)」の「2.認定実績」。新築の一戸建ての住宅の欄を参照。

新築の認定が約半分に届くことと、目の前の中古住宅をいくらで売れるかは別の話です。意外に感じるかもしれませんが、家を買った人が、所有権の移転だけで認定計画実施者になるわけでもありません。売却では、建築当初の肩書きに加え、その後の手入れと承継手続きを説明する必要があります。

私は、認定と維持保全の記録がそろう良さを評価します。買主が、どんな計画で建て、どこを点検してきた家なのかを確かめられるからです。外観の印象だけでは見えない履歴を、資料で伝えられます。

そのうえで当社は、認定があることだけを理由に査定額へ一定額を上乗せしません。立地、間取り、現況、周辺の売出し条件を合わせて見ます。認定を使った説明に、買主の資金計画の利点まで含めたい場合は、中古住宅売却と住宅ローン控除の確認事項も参照し、利用条件を別に確かめてください。

疑問1・誰が認定を引き継ぐのか

売買で認定を引き継ぐのは、住宅の所有権など必要な権利を取得する買主です。正式には「認定計画実施者の地位の承継」と呼びます。認定を受けた計画に沿って、住宅を維持保全する人の立場を引き継ぐ手続きです。

国土交通省の「長期優良住宅のページ」は、相続や売買等で住宅を引き継ぐ方が、所管行政庁へ承継の承認を申請できると案内しています。所管行政庁とは、計画を認定した都道府県や市区町村などです。認定通知書に記載された窓口が、確認の出発点になります。

ここは役割を分けると整理できます。売主は、保管してきた認定関係の書類と点検・修繕の記録を用意する。買主は、引き継ぐ計画と今後の維持保全を確認する。当社は仲介の立場で、どの資料があり、何が未確認かを売主・買主の間で整理します。申請事務を誰かに依頼しても、計画を引き継ぐ本人と事務の担当者は同じ意味ではありません。

たとえば購入名義が夫婦共有となる予定なら、申請者の記載方法を窓口に確かめます。仲介担当が「代表者一人でよいだろう」と推測して決める部分ではありません。売主が把握している認定上の氏名と、売買契約に載る氏名を照合してから質問すれば、話が具体的になります。

疑問2・承認は必要か、いつ動けばよいか

売買による認定計画実施者の地位の承継には、所管行政庁の承認が必要です。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」第10条に基づく手続きで、認定通知書を渡しただけでは完了しません。

裾野市の公式案内も、売買等による地位の承継では承認を受けるよう示しています。同市は、承認申請書に加えて、登記事項証明書や売買契約書の写しなど、承継の事実を証明する書類を挙げています。これは同市の案内であり、全国の提出方法や添付書類を一律に決めるものではありません。

出典:裾野市「長期優良住宅の地位の承継申請(法第10条)」(2023年4月1日更新、2026年9月15日確認)。

当社は、販売準備の段階で窓口へ事前相談する案を勧めます。正式な申請時期は、権利取得の時期や提出書類との関係を確認して決めます。契約前に相談することと、契約前に承継を完了できることは別です。引渡し日を先に決めてから、申請に使う書類がそろわないと気づく進め方は避けたいと考えます。

窓口には「売買を予定している認定住宅です。申請者、添付書類、申請できる時期、処理期間の目安を教えてください」と聞きます。回答日と担当窓口を記録し、申請予定日と承認確認の担当を売買の予定表へ入れます。審査に何日かかるかは、今回確認した資料だけでは分かりません。全国共通の日数を広告や契約予定に置かないことです。

疑問3・証明資料は何をそろえるのか

承継の準備資料は、認定の内容、維持保全の履歴、権利の移転を示すものに分けます。認定通知書一枚で、過去の点検状況や今回の売買まで証明できるわけではありません。

資料のまとまり手元で探す書類販売前に整理すること
認定の内容認定通知書、認定を受けた計画、設計図書、変更があれば変更関係の書類認定番号、窓口、計画の版、現在の建物との対応
維持保全の履歴維持保全計画、点検報告書、修繕の記録実施済みの項目、記録のない期間、次回の予定
今回の権利移転売買契約書の写しや登記事項証明書など窓口が指定する添付書類、用意する人、提出時期

表は売主の準備用です。行政へ提出する書類の確定リストではありません。国土交通省の認定を受けた方への案内は、承継する方へ計画や維持保全の記録等を引き渡すよう示しています。

当社は書類を「ある・ない」の二択で終わらせず、原本、写し、保管先が分かるもの、所在不明のものに分けます。施工会社に保管の有無を尋ねる、認定窓口に確認方法を尋ねるなど、次の担当を決めるためです。紛失した書類の再交付が可能かどうかは、窓口へ確認します。空欄の点検記録を、記憶だけで実施済みと埋めません。

維持保全計画と実際の修繕に違いがある場合も、まず建築士や認定窓口へ相談します。国土交通省は、認定後の計画変更に手続きが必要となる場合を案内しています。書類の不足、点検の未実施、計画の変更を、まとめて「認定が使えない」と決めつけず、それぞれ確認する進め方です。

省エネの評価書や販売用の表示を持っていても、承継申請の書類とは目的が異なります。中古住宅売却と省エネラベルの3資料で表示の根拠を、安心R住宅と通常の売却の比較で販売時の表示条件を分けて確認できます。

当社は承継の段取りを販売条件に落とす

当社は、長期優良住宅の売却では「申請担当・資料の引渡し・費用負担・承認を確認する時期」を販売条件として整理します。認定の有無だけで売出し価格を決めず、買主へ説明できる範囲を先に固めます。

私はこう考えます。認定を売り文句にする前に、誰がいつ何を引き継ぐかを決める。制度の良さを説明しても、書類を集める人と窓口へ聞く人が決まっていなければ、売主の用事は減りません。査定の席で欲しいのは、認定への賛辞より、次にすることが書かれた予定表です。

私が迷うのは、資料の確認が終わるまで販売開始を待つか、未確認の範囲を明示して準備を進めるかです。住み替えの期限、欠けた書類、窓口の回答によって判断は変わります。承継できると約束してから調べる順序にはしません。説明が必要な項目を洗い出し、解決を待つ項目と並行できる準備を分けます。

費用は、申請の行政手数料、書類取得、専門家への依頼、点検や修繕に分けて見積もります。売主負担と買主負担も分けます。当社が受け取る仲介手数料を含め、売却代金から売主負担の費用を差し引いて手取りを確認します。資料を整える費用が、同額の値上がりとして戻るとは限りません。

当社は買主にならず、買取や買取保証を率先して行いません。そのかわりに仲介の立場で、認定の資料と販売計画をそろえ、売主様の手元に残る額を検討します。買取や買取保証を選ぶ事情も否定せず、期限と条件を比較します。磐田市の不動産売却でも、建物の説明と手取りの確認を一緒に進めます。

今日できる確認は、認定通知書を出し、認定番号と窓口名を控えることです。次に維持保全計画と点検記録を同じ場所へ集めます。売るかどうかの結論は、その資料と承継の段取りを見てからで構いません。

出典補足:国土交通省「長期優良住宅のページ」の認定後の維持保全、記録の作成・保存、計画変更、地位の承継の案内を参照。出典はすべて2026年9月15日確認。制度や申請方法は変わることがあります。承継手続きは認定を行った所管行政庁へ、建物や計画の判断は建築士へ、税務・登記や契約の個別判断は税理士・司法書士など各分野の専門家へ確認してください。

よくある質問

登記を買主名義に変えれば認定も自動で引き継がれますか?

所有権の移転登記だけで、認定計画実施者の地位の承継が完了するわけではありません。売買による承継には、認定を行った所管行政庁の承認が必要です。買主が引き継ぐ計画を確認し、申請担当と必要資料を整理してください。登記と承継申請の時期の関係は、認定窓口と司法書士などの専門家へ事前に確認します。

認定通知書や点検記録が見つからないと売れませんか?

書類の紛失だけで売却できないと決めず、認定内容と維持保全の状況を確認することから始めます。施工会社へ保管資料の有無を尋ね、認定窓口へ確認方法や再交付の可否を聞いてください。承継の条件が確認できるまでは、買主へ承継を約束しません。所在不明の記録と実施していない点検を分け、建築士などにも相談します。

承継申請の手数料と所要日数は全国共通ですか?

今回参照した裾野市の案内では申請手数料は「なし」ですが、全国へ一般化はできません。所要日数も今回の資料からは確定できません。物件の所管行政庁に手数料と処理期間を確認してください。行政手数料とは別に書類取得や専門家への依頼、点検などの費用が生じる場合もあるため、負担者と見積額を分けて整理します。

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富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役・宅地建物取引士の大石浩之

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
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