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契約理論

書ききれない条件をどう扱うか

不完備契約と、残余コントロール権の配分

富士ヶ丘サービス株式会社代表取締役 大石 浩之初出 2026.08.23

要旨

不動産の売買契約書は、数十条にわたって条件を定める。それでも、契約から引渡しまでのあいだに、書かれていない事態が起きる。地中から古い基礎が出る。境界の立会いで隣地の言い分が食い違う。台風で屋根が飛ぶ。買主の融資条件が変わる。こうした事態は、書き漏らしたから起きるのではない。あらゆる将来事象を書き尽くした契約は、そもそも作れないからである。

契約理論はこの性質を不完備性と呼び、グロスマン=ハート(1986)とハート=ムーア(1990)は、不完備であることを前提に問いを立て直した。すなわち、何を書くかではなく、書かれなかった事柄について誰が決める権利を持つかである。この決める権利を残余コントロール権と呼ぶ。本稿の主張は、不動産売買における特約と容認事項が、まさにこの残余コントロール権を配分する装置として読めるということにある。

本稿は、契約が書き尽くせない三つの理由を確認したうえで、残余コントロール権という概念を導入する。次に、不動産取引に固有の空白——契約から決済までの一、二か月——で決定権が問われる場面を列挙し、そこで生じるホールドアップの構造を示す。そのうえで特約の三つの機能と容認事項の作用条件を整理し、売主が売り出し前に踏むべき手順に落とす。なお本稿は制度の構造を経済学の枠組みで読むものであり、個別の条項の効力や紛争の見通しといった法的判断は、弁護士など法律の専門家に委ねる。

不完備契約残余コントロール権ホールドアップ特約容認事項所有権移転時期

1. はじめに——問題の所在

不動産の売買契約書を初めて通読した売主は、たいてい同じ感想を持つ。細かい、長い、そしてなぜここまで書くのか分からない。実際、標準的な契約書は数十条にわたり、代金の支払方法、公租公課の起算日、境界の明示、付帯設備の引継ぎ、抵当権の抹消、危険負担、契約不適合の通知期間、手付解除、違約金、反社会的勢力の排除まで定めている。ここまで書けば、もう想定外は起きないように見える。

ところが現場では、契約から引渡しまでのあいだに、書かれていない事態が繰り返し起きる。庭木を撤去したら古い建物の基礎が出てきた。境界の立会いで、隣地の所有者が承諾していたはずの位置を認めないと言い出した。台風で屋根の一部が飛んだ。買主の勤務先が変わり、内定していた融資の条件が組み直しになった。相続人の一人が、契約後になって金額に納得できないと言い始めた。

1.1 書き漏らしではなく、書き尽くせないということ

これらを「契約書の作り込みが甘かった」と片づけるのは、おそらく誤りである。契約理論が二十世紀後半に到達した認識は、より厳しい。あらゆる将来事象を列挙し、それぞれの場合の権利義務を書き尽くした契約——完備契約——は、原理的に作れない。将来を全部は見通せないし、見通せた分をすべて書く費用も払えないし、書いたとしても第三者が事後に確かめられない事柄は強制できないからである。

この認識を出発点に据えると、契約設計の問いが入れ替わる。従来の問いは「何を書くか」であった。新しい問いは「書かれなかった領域について、誰が決める権利を持つか」である。サンフォード・グロスマンとオリバー・ハート(1986)、およびハートとジョン・ムーア(1990)が展開した理論は、この決める権利を残余コントロール権と呼び、所有権の本質をそこに見た。

書かれた条項
書かれない領域
誰が決めるか
契約書がどれだけ厚くても、書かれない領域は残る。契約設計の本題は、その領域について誰が決める権利を持つかを事前に定めることにある。

1.2 本稿の問いと構成

本稿の問いは二つである。第一に、不動産の売買契約において、書ききれない領域はどこに集中しているのか。第二に、そこで残余コントロール権をどう配分することが、売主にとって合理的か。実務の言葉に翻訳すれば、特約と容認事項をどう設計するかという問題になる。

以下、第2節で契約が書き尽くせない三つの理由を確認する。第3節で残余コントロール権という概念を導入し、不動産における所有権移転時期の設計と結びつける。第4節では、契約から決済までの空白期間に決定権が問われる場面を列挙する。第5節でホールドアップ——事後の再交渉が手取りを削る構造——を扱い、第6節で特約の三つの機能を、第7節で容認事項の作用条件と反論への応答を検討する。第8節で売主の実務手順に落とし、第9節で限界を述べる。

方法について一言しておく。本稿は経済学の枠組みで制度を読むものであって、法解釈を行うものではない。特定の条項が有効か、ある事案でどちらの主張が通るかという判断は、弁護士など法律の専門家の領分である。本稿が示せるのは、条項が何を配分しているかという構造の見取り図までであり、迷う条項は契約前に専門家へ回すべきだという結論を、あらかじめ第8節で繰り返す。

また筆者は静岡県磐田市で不動産の媒介を業とする者である。自社で買い取る事業を持たず、買取・買取保証を率先して行わない立場から書いている。この立場は、売主が持つ残余コントロール権を誰の側に寄せるかという第5節の議論に直接関わるため、隠さずに明示しておく。

2. 契約はなぜ書き尽くせないのか

不完備性という言葉は、契約書の出来が悪いことを指すのではない。どれほど優秀な起草者が時間をかけても取り除けない、契約という道具の構造的な限界を指す。理由は大きく三つに整理できる。三つは互いに独立しており、一つを潰しても他の二つは残る。

2.1 予見の限界——起こりうることを列挙できない

第一の理由は、将来に何が起きるかを事前に列挙できないことである。中古住宅と土地という財は、履歴が長い。数十年前の造成、増改築、埋設物、隣地との取り決め、水路の付け替え、相続の経緯。これらが引渡しまでのどの時点でどう表面化するかは、当事者のいずれにも読めない。読めないものは条文にならない。

重要なのは、これが情報の非対称性とは別の問題だという点である。非対称性は、一方が知っていて他方が知らない状態を指す。ここで問題にしているのは、双方とも知らない状態である。売主が誠実に告知しても、買主が丹念に調査しても、まだ誰も知らない事象は残る。列挙されなかった事象について契約書が沈黙している以上、それが起きたときの帰結は条文からは出てこない。

2.2 記述の費用——書ける事象でも、書く費用が釣り合わない

第二の理由は費用である。仮に起こりうる事象を百通り思いついたとしても、そのすべてについて条件と帰結を書き分ければ、契約書は膨大になる。起草にかかる時間、双方が読んで理解する時間、条項ごとに条件を詰める交渉の時間。これらはすべて取引費用であり、コース(1937)以来の伝統がまさに関心を寄せてきた費用である。

しかも費用は金銭や時間にとどまらない。想定される不都合を一つずつ紙に並べる作業そのものが、当事者に不安を与える。買主が、まだ起きてもいない十七通りの事故を読まされて購入意欲を保てるかは別問題である。書けば安心が増えるとは限らないという事情が、記述の量に実務的な上限を課している。

2.3 検証の壁——書いても第三者が確かめられない

第三の理由は検証可能性である。契約理論では、当事者が知りうることを観察可能、第三者が事後に確かめて裁定できることを検証可能と呼んで区別する。両当事者が知っていても、裁判所や第三者機関がそれを確かめられなければ、その事柄を条件とする約束は強制できない。強制できない約束は、書いてあっても契約としては働かない。

不動産取引でこの壁に当たるのは、程度や質を条件とする約束である。物件を良好な状態で引き渡すこと、誠実に協力すること、通常の使用に支障のない範囲で補修すること。いずれも規範としては正当だが、良好・誠実・通常という語の内実を外部から判定する技術がない。逆に、鍵の本数、境界標の設置数、抹消登記の申請日といった外形の残る事柄は、書けば働く。

予見できない
書く費用
検証できない
契約が不完備になる三つの理由。どれか一つを解決しても残りは残るため、完備契約を目指す方向では問題が片づかない。

2.4 だから問いが入れ替わる

三つの理由が同時に働く以上、完備契約は目標にならない。ここで理論は方向転換する。書き尽くせないことを与件として受け入れ、書かれなかった領域が現実化したときに何が起きるかを設計の対象にするのである。ウィリアムソン(1975)は、そこで生じる事後の調整と対立を統治構造の問題として扱った。グロスマン=ハート=ムーアは、さらに一歩進めて、事後に決める権利が誰にあるかという一点に議論を集約した。

註:不完備契約の理論的な位置づけについては、完備契約の枠組みでも同等の結論を導けるという批判が経済学の内部に存在する。本稿はこの論争に立ち入らず、実務の設計に使える見取り図としての有用性の範囲で理論を用いる。

3. 残余コントロール権という概念

残余コントロール権とは、契約で明示的に定められていない事柄について、その資産の使い方を決める権利をいう。グロスマン=ハート(1986)とハート=ムーア(1990)は、この権利の所在こそが所有権の実質だと論じた。所有しているとは、あらかじめ約束していない使い方について自分の判断で決められるということである。

3.1 特定された権利と、残りの権利

この考え方を理解するには、権利を二層に分けてみるとよい。第一層は、契約が明示的に指定した権利である。買主は代金を支払う、売主は所有権移転登記に必要な書類を交付する、といった内容がここに入る。第二層は、第一層で指定されなかったすべてである。理論は、第二層の帰属先を持つ者が実質的な力を持つと考える。

サイモン(1951)が雇用関係を分析したときの着眼も、これに近い。労働契約は労働者が何をするかを細かく書かない。書かないかわりに、指示に従う範囲を定め、その範囲内で何をさせるかを決める権利を使用者に渡す。契約の本体は作業の列挙ではなく、決める権利の移転にある。不完備契約理論は、この発想を資産の所有一般へ拡張したものと読める。

3.2 不動産では所有権がそのまま決定権の束である

不動産は、この理論の説明が最も素直に当てはまる財である。土地と建物の所有者は、法令と近隣関係の制約の内側であれば、使う・使わない・貸す・壊す・直す・放置するを自分で決められる。これらは誰かとの契約で一つずつ許可されたものではなく、他人に渡していないから手元に残っているという性質の権利である。まさに残余として存在している。

売買とは、この残余コントロール権の束を、代金と引き換えに丸ごと移す行為である。したがって不動産売買契約の設計において決定的なのは、いつ、どの権利が、どちらの手に渡るのかという時点の設計になる。ここで日本の民法は、二重の構造を用意している。

3.3 所有権移転時期という設計変数

民法176条は、物権の設定および移転は当事者の意思表示のみによって効力を生ずると定める。文字どおり読めば、契約した瞬間に所有権が移りうる。しかし実務の売買契約書は、ほぼ例外なく、所有権は残代金の支払いを受けたときに移転すると特約で定める。この特約は、契約という道具の使い方として極めて示唆的である。

なぜこう定めるのか。決定権と代金を同時に交換するためである。もし契約時に所有権が移れば、代金を受け取る前に売主は決定権を失う。逆に代金を受け取ってから移すことにすれば、売主は代金を得るまで決定権を手元に置ける。所有権移転時期の特約とは、残余コントロール権が移動する瞬間を、当事者が自分たちで選び直している行為にほかならない。

売主が決める
移転の瞬間
買主が決める
所有権移転時期の特約は、残余コントロール権がどの瞬間に移るかを当事者が選び直す装置である。既定値ではなく設計変数として扱える。

3.4 決定権は一括ではなく段階的に移る

もっとも、現実の取引で移動するのは所有権だけではない。鍵の引渡し、電気・水道の名義変更、火災保険の切替え、固定資産税の負担の起算日、賃借人がいる場合の賃料の帰属。これらは同じ日に揃うこともあれば、ずれることもある。ずれた期間には、誰が決めるのか分からない中間状態が生まれる。

たとえば残代金決済の前に買主が室内の採寸や内装業者の下見を希望する場面がある。これを認めるかどうかは、まだ売主の決定権に属する。認めるなら、いつ、誰の立会いで、事故が起きたらどちらの負担かを書いておく。書かなければ、その場の力関係で決まる。第4節で扱うのは、まさにこの中間状態の地図である。

4. 契約から引渡しまでの空白——決定権が問われる場面

不動産売買には、他の売買にはあまり見られない特徴がある。契約と決済が同じ日に行われないことである。売買契約を締結してから、買主の住宅ローン本審査、抵当権の抹消手配、境界の明示、残置物の処分、引越しといった作業を経て、残代金決済と引渡しに至る。この間隔は、一か月から二か月程度になることが多い。

この空白期間こそが、不完備契約の問題が実際に噴き出す場所である。契約は締結済みで両当事者は拘束されている。しかし物件はまだ売主の所有であり、買主はすでに資金と生活の計画を動かしている。双方が退けない状態で、書かれていない事象が現実化する。

4.1 民法が用意している既定値

民法は、この空白のいくつかについて既定のルールを置いている。危険負担については、536条1項が、当事者双方の責めに帰することができない事由で債務を履行できなくなったとき、債権者は反対給付の履行を拒めると定める。引渡し後については、567条1項が、引渡し以後の滅失・損傷を理由に買主が代金の減額や解除を求めることはできないとする。手付については、557条が、相手方が履行に着手するまでは買主は手付を放棄して、売主は倍額を現実に提供して解除できると定める。

これらは有用な既定値だが、覆っている範囲は狭い。滅失・損傷という極端な事象と、離脱の対価という金銭面は扱うが、日々の判断——修理するのかしないのか、いつまでに、どの業者に、いくらまで——には答えない。既定値は帰結を定めるが、決定の手順を定めないのである。

4.2 空白で問われる決定の地図

空白期間に浮上する典型的な事象を、決定権の観点から並べると次のようになる。判断の主体が誰かを契約が明示していない欄に、対立が集中する。

空白期間に起きる事象問われる決定書かないと起きること
台風・地震で建物が一部損傷した修復するか、減額して現況で渡すか、解除するか修復範囲と費用の上限をめぐり決済日が動く
解体・伐採で地中の埋設物が現れた撤去するか、埋め戻すか、費用は誰が負うか撤去費の見積りが出るまで全工程が止まる
境界の立会いで隣地の主張が食い違った確定測量を続けるか、公簿売買に切り替えるか決済日が延び、いずれかが延期の責めを負う
塀や樹木の越境が判明した撤去するか、覚書を交わすか、放置するか隣地との関係が売買の条件に取り込まれる
買主の融資条件が変わった待つか、条件を変えるか、白紙に戻すか融資特約の期限の解釈が争点になる
残置物の量が想定を超えていた誰が処分するか、費用をどう精算するか引渡し当日に処分費の押し付け合いが起きる

表の三列目に共通しているのは、金額の争いに見えて実は手順の空白だという点である。誰が判断するかが決まっていれば、金額は交渉の対象で済む。決まっていなければ、まず誰が決めるのかを決める交渉から始めなければならず、その交渉が決済日という締切に押されて歪む。

契約
空白の一〜二か月
決済・引渡し
契約と決済が離れていることが、不動産取引に固有の空白を生む。この期間は売主が所有し、買主がすでに動いている、双方が退けない状態である。

4.3 空白の長さは選べる

見落とされやすいが、空白の長さ自体が設計変数である。買主の融資手続きに要する期間は圧縮しにくいが、境界の確定、残置物の処分、抵当権抹消の段取りは、売り出し前に済ませておけば空白から外れる。空白に残す作業が少ないほど、書かれていない事象が現実化する余地は小さくなる。

この意味で、売り出し前の準備は単なる段取りではなく、契約の不完備性を減らす投資である。確定測量を先に済ませておけば、境界という論点は空白から消える。逆に、売り出し後に着手すれば、その論点は契約後の交渉の材料として残り続ける。次節で見るとおり、契約後に残った論点は、事後交渉において一方に不利な形で使われやすい。

5. ホールドアップ——事後交渉が手取りを削る

不完備契約の理論が最も強く警告するのは、事後交渉における立場の非対称である。この現象はホールドアップと呼ばれ、クライン=クロフォード=アルチアン(1978)やウィリアムソン(1975)が製造業の部品取引を素材に定式化した。不動産の売主が置かれる状況は、その定式に驚くほどよく一致する。

5.1 関係特殊投資という概念

ホールドアップの前提は、関係特殊投資である。ある特定の相手との取引が成立してはじめて価値を持ち、相手が変われば価値の大半を失う投資をいう。専用金型が典型例とされる。他社向けには使えないから、その取引先を失った瞬間に価値が消える。

不動産の売主も、契約後に関係特殊投資を行う。他の内覧希望を断り、指定流通機構の登録状態を書面による申込みありへ変更する。引越し先の賃貸契約を結ぶ。高齢の親の施設入居を申し込む。買換え先の物件に申込みを入れる。残置物の処分や解体を発注する。相続税の納期限に合わせて日程を組む。いずれも、この買主との決済が予定どおり行われることを前提としてのみ意味を持つ支出であり、時間である。

5.2 契約の前と後で、代替案の価値が変わる

交渉力を決めるのは、決裂したときに手元に残るものである。契約の前、売主の代替案は「別の買主を探す」だった。売り出したばかりで反響があるうちは、この代替案には現実味がある。ところが契約後、関係特殊投資を積んだ時点では、同じ代替案の価値が下がっている。他の候補は離れ、日程は動かせず、次の住まいの契約は始まっている。

ここで買主が、書かれていない事象を持ち出して再交渉を求めたとする。地中に埋設物が見つかったので二百万円を引いてほしい、応じられないなら白紙に戻したい。この要求が誠実なものであっても、不誠実なものであっても、売主が直面する計算は同じである。応じれば手取りが減る。応じなければ、積み上げた関係特殊投資の大半を失う。多くの場合、後者の損失のほうが大きい。

この構造は、値引き交渉一般とは区別しておく必要がある。売り出し中の指値は、売主が断っても失うものが少ない。契約後の再交渉は、売主が断ると失うものが大きい。同じ二百万円の要求でも、突きつけられる時点が違えば、売主が受け取る意味はまったく異なる。

契約後の時間
事後の再交渉
手取りの目減り
契約後に積み上がる関係特殊投資が、売主の代替案を痩せさせる。同じ額の要求でも、時点が違えば売主が受ける圧力はまったく異なる。

5.3 違約金条項だけでは足りない理由

契約書には違約金の定めがある。それがあるのだからホールドアップは起きないはずだ、という反論がありうる。しかし違約金は、二つの意味で不十分である。

第一に、違約金が働くのは相手が債務不履行として離脱した場合である。買主が契約不適合や条件変更を根拠に構成すれば、それは違約ではなく正当な主張として争われる。第二に、違約金を受け取ることは売主にとって勝利ではない。取引そのものが失われ、売り出しからやり直しになるからである。違約金は離脱の抑止にはなるが、減額要求の抑止としては弱い。

5.4 事前投資が歪む——見えにくい損失

ホールドアップの真の費用は、実際に奪われた金額だけではない。理論が強調するのは、奪われることが予期されると、事前の投資そのものが控えられるという点である。売主が「どうせ後で値引きを求められる」と考えれば、売り出し前の測量や補修を渋る。渋れば物件の魅力は下がり、買主層は狭まる。誰も奪っていないのに、価値が生まれないまま終わる。

この過少投資の損失は、帳簿に載らない。売れた価格と査定額の差としても現れない。だからこそ、ホールドアップへの対処は事後の交渉術ではなく、事前の設計に置かれるべきである。第6節と第7節で扱う特約と容認事項は、この事前の設計の中心にある道具である。

6. 特約は何をしているのか——三つの機能

特約という言葉は、実務では雑多な条項の総称として使われている。付帯設備の扱い、境界明示の方法、ローン特約、抵当権の抹消、公租公課の起算日、農地法の許可を停止条件とする定め。並べただけでは共通点が見えない。しかし残余コントロール権という補助線を引くと、特約は三つの機能に整理できる。

6.1 第一の機能——不完備な領域を削る

第一の機能は、書かれていなかった事象を契約の内側へ取り込むことである。給湯器は引き継ぐのか撤去するのか、物置は残すのか、庭木の剪定はどこまでか。これらは一般条項では決まらない。特約で名指しすれば、その事象は残余ではなくなり、第4節の表でいう「問われる決定」から消える。

この機能を果たす特約の良し悪しは、特定性で決まる。付帯設備を現状有姿で引き渡すという書き方は、何を現状とみなすかという新しい残余を生む。設備の名称と数量を表にし、引渡し時に作動を保証するものとしないものを分けて記載すれば、残余は実際に減る。書けば減るのではなく、特定できたぶんだけ減る。

6.2 第二の機能——決定権を割り当てる

第二の機能が、本稿の中心である。事象を書き尽くせないなら、事象が起きたときに誰が決めるかを書く。この形の特約は、条件をすべて予見しなくても機能する点で、第一の機能より射程が広い。

たとえば、地中埋設物が発見された場合には売主の責任と負担で撤去する、ただし撤去費用の見積額が一定額を超えるときは売主は本契約を解除することができる、という定め方を考える。ここでは埋設物の種類も量も予見していない。予見しているのは、判断が必要になる局面と、判断する主体と、判断の分かれ目である。不完備契約理論が示唆する設計は、まさにこの形をとる。

決定権を割り当てる特約が働くためには、四つの要素が揃っている必要がある。どれか一つが欠けると、条項は読めても動かない。

  • 引き金——どのような事実が生じたときにこの条項が起動するか。判定できる外形で書く
  • 判定者——誰が、どの資料に基づいて判断するか。第三者の見積書や測量図など、外部の記録を判定の基礎に置くと争いが減る
  • 期限——いつまでに判断するか。期限のない決定権は、相手の予定を人質にとる道具に変わりうる
  • 帰結——費用は誰が負うか、代金は動くか、解除できるか。解除できる場合に手付や違約金がどう扱われるかまで書く

6.3 第三の機能——離脱権を設計する

第三の機能は、契約から抜ける権利を誰にどの期限で与えるかの設計である。融資特約が代表例で、一定期日までに買主が融資の承認を得られない場合に、買主は契約を白紙解除でき、受領済みの手付金は返還される。これは買主に一方的な離脱権を与える条項であり、残余コントロール権の配分としては買主寄りに設計されている。

売主から見れば不利に見えるが、そう単純ではない。この離脱権がなければ、融資が得られない可能性を抱えた買主は購入を申し込めず、買主層が狭まる。売主が受け取っているのは、買主層の広がりという対価である。問題は権利の有無ではなく、期限が切ってあるかどうかにある。期限のない融資特約は、買主に無期限の待機権を与えることに等しい。

手付解除も同じ枠組みで読める。民法557条は、相手方が履行に着手するまでという時間の区切りを置いている。この区切りがあるからこそ、離脱権は期間限定の選択肢にとどまり、契約後の全期間にわたる圧力にはならない。離脱権の設計とは、権利を与えるか奪うかではなく、いつまで与えるかを決めることである。

残余を削る
決定権を割る
離脱権を切る
特約の三つの機能。事象を特定して残余を削る、決める主体を割り当てる、抜ける権利に期限を切る。多くの条項はこのいずれかに分類できる。

6.4 協議して定めるという条項の位置

多くの売買契約書の末尾には、本契約に定めのない事項については民法その他の法令および不動産取引の慣行に従い、売主・買主が誠意をもって協議のうえ定める、という趣旨の条項が置かれている。この条項は、契約が不完備であることを当事者自身が認めた宣言として読める。

同時にこれは、残余コントロール権を事後の交渉に委ねる定めでもある。誰が決めるかを決めず、そのつど話し合うということは、第5節で見たとおり、関係特殊投資を多く積んだ側が不利になる仕組みを受け入れることを意味する。この条項を消す必要はない。しかし、この条項に委ねる領域と、特約で先に決めておく領域を意識して選び分けることが、設計の実質になる。

7. 容認事項——決定権をあらかじめ移す装置

容認事項は、実務では物件の現況や周辺環境について、買主がその内容を認識し容認したうえで購入し、以後は異議を述べず修補や損害賠償を求めない旨を記載する条項として運用されている。免責特約と混同されやすいが、二つは働き方が違う。

7.1 免責との違い——包括か、名指しか

免責特約は、契約不適合について売主が責任を負わない旨を包括的に定める。書ききれない領域をまとめて買主側へ寄せる形である。これに対し容認事項は、特定の事象を名指しして、その事象についての判断と負担を買主へ移す。前者が面で移すのに対し、後者は点で移す。

残余コントロール権の言葉に直せば、容認事項は、名指しした事象に関する決定権と結果の引受けを、あらかじめ買主に配分する装置である。隣地からの越境した枝、私道の通行に関する取り決め、幹線道路の騒音、近接する農地からの薬剤散布や臭気、電波の受信状況、雨天時の排水の滞留。いずれも、引渡し後に誰がどう扱うかを決める権利ごと買主へ渡している。

なお、免責特約が価格をどれだけ動かすか、期間制限をどう設計するかという論点は、別稿の主題であり本稿では扱わない。ここで関心があるのは金額ではなく、決定権がどちらの手に置かれるかという配分の側面である。

7.2 容認事項が機能する四つの条件

容認事項は、書けば当然に働くものではない。実務の経験からいえば、次の四つが揃っているかどうかで、後の紛争の起きやすさが大きく変わる。

  • 特定性——何を容認したのかが、条文だけを読んで第三者に分かること。周辺環境について一切の異議を述べないという書き方は、特定性を欠く
  • 認識可能性——買主が現地または資料で実際に確かめられること。確かめようのない事柄を容認させても、認識があったとは言いにくい
  • 時点——申込みの前、遅くとも契約の前に示され、示した日付が記録されていること。契約当日に初めて読ませる項目は、価格に反映される余地がない
  • 対価への反映——その事象を織り込んだ価格であることが、双方に共有されていること。容認事項は値引きの理由づけではなく、価格の前提として置かれるべきものである
事象を特定する
認識を共有する
紛争を予防する
容認事項が働く条件。特定され、確かめられ、契約前に示され、価格の前提として共有されているとき、はじめて決定権の移転として意味を持つ。

7.3 越境の覚書——第三者との決定権を紙にする

容認事項の応用として、越境に関する覚書に触れておきたい。塀、屋根の庇、樹木の枝、給排水管が隣地との境界を越えている場合、売主と隣地所有者のあいだで、現状のまま存置すること、および将来の建替えや改修の際に撤去することを確認する書面を取り交わす実務がある。

この覚書は、二当事者の契約では届かない領域に決定権の枠を作る点で興味深い。越境の是正をいつ誰が判断するかは、本来なら将来の隣地所有者との交渉に委ねられる。覚書はその判断の条件をあらかじめ書き、承継を予定する。不完備な領域を、当事者の外側へ広げて処理している例といえる。

7.4 予想される反論への応答

第一の反論は、容認事項を厚く書けば書くほど売主が守られるのではないか、というものである。しかしこれは逆に働きうる。網羅的で長大な容認事項は、個々の項目の重みを均してしまい、買主の側では読み飛ばされ、後になって、聞いていないという主張を呼び込む。さらに、何でも容認させる姿勢は、売主が誠実に開示していることのシグナル価値を薄める。開示が信頼を生むのは、開示に選別と労力が見えるときである。

第二の反論は、慣行と信義則があるのだから、そこまで書き込まなくても常識で片づくはずだ、というものである。この主張には条件がつく。慣行が働くのは、同じ相手と繰り返し取引する見込みがあるときである。売主にとって不動産の売却は生涯に一度か二度であり、繰り返しは存在しない。相手が遠方の事業者であれば、地域の評判による規律も届かない。慣行は補助線であって、決定権の代わりにはならない。

第三の反論は、不完備であること自体が悪いのか、というものである。これは正当な問いである。契約を完備に近づけすぎると、事後に見つかったより良い解決を採用できなくなる。屋根の一部が壊れたとき、修理するより価格を調整して現況で引き渡すほうが双方にとって得な場合がある。条項が修理を義務づけていれば、その道は閉じる。不完備性が残していた柔軟性には価値がある。だからこそ理論は、事象を書き尽くす方向ではなく、決める権利を配分する方向を推した。

8. 売主の実務への含意

以上の議論を、売主が売り出し前に踏める手順に落とす。順序が重要である。契約書の条項を検討するのは、この手順の後半であって、最初ではない。

8.1 起きたら困ることを、十行だけ書き出す

最初にすべきは、条項を読むことではなく、自分の物件で何が起きうるかを書き出すことである。網羅は要らない。十行で足りる。地中に何かありそうか、隣地との境界で気がかりはあるか、雨漏りや設備の不調はあるか、残していく物はどれか、近隣に説明が要る事情はあるか。売主が最もよく知っているのはここであり、専門家が代わりに思い出すことはできない。

書き出す作業には副産物がある。第4節で述べたとおり、売り出し前に潰せる項目は、契約後の空白から消える。境界、残置物、抵当権抹消の段取りは、その代表である。書き出した十行のうち、いま着手できるものと、契約の設計に回すものを分けるだけで、後の交渉の材料が減る。

8.2 各行に四つの欄を埋める

次に、書き出した各行について、第6節で挙げた四つの要素を埋める。どんな事実が起きたときか、誰がどの資料で判断するか、いつまでに判断するか、費用と代金と解除はどうなるか。この四つが埋まらない行は、そのまま残余として残る。残すこと自体は選択肢だが、残したという自覚があるかどうかで、後の対応の速さが変わる。

四つの欄のうち、実務で最も抜けやすいのは期限である。撤去するとだけ書いて、いつまでにとは書かない。判断するとだけ書いて、何日以内とは書かない。期限のない条項は、決済日という締切に押されたときに、相手の時間を人質にとる道具へ転化する。埋めにくくても、日数を入れておくほうがよい。

8.3 決定権を売主に残す事象と、買主へ移す事象を分ける

すべての決定権を手元に残そうとすると、買主は不確実性を価格から差し引く。すべてを渡すと、売主は自分の予定を守れなくなる。分ける基準は三つ置ける。第一に、その事象を安く処理できるのはどちらか。第二に、その事象について多くを知っているのはどちらか。第三に、その事象が売主の期限を壊しうるか。

第三の基準は見落とされやすい。施設入居費の支払い、相続税の納期限、買換え先の決済日といった動かせない予定があるなら、その予定を壊しうる事象については決定権を手元に残しておく価値がある。逆に、引渡し後に効いてくる事象——周辺環境や設備の経年——は、名指しして買主へ移すほうが、双方の予定が守られる。

書き出す
配分を決める
期限を切る
売主が踏む順序。事象を書き出し、決定権をどちらに置くかを決め、判断の期限を切る。条項の文言を検討するのは、この後である。

8.4 関係特殊投資は、できるだけ決済の後へ寄せる

第5節の帰結として、実務上ただちにできることが一つある。契約後に積み上げる投資の順序を組み替えることである。引越し先の本契約、施設入居の申込、買換え先への申込み、解体や大がかりな残置物処分の発注。これらのうち、決済後に回せるもの、あるいは違約なく解約できる形にできるものを選り分けておく。

すべてを後ろ倒しにはできない。住み替えには重なりが要り、高齢の親の入居には時期の制約がある。それでも、どの支出が自分の交渉上の立場を弱めているかを知っているのと知らないのとでは、再交渉を持ちかけられたときの判断が違う。断る余地がどれだけ残っているかを、金額ではなく日程で把握しておくとよい。

8.5 迷う条項は、契約前に専門家へ回す

最後に、本稿の枠を明示しておく。ここまで論じたのは、条項が何を配分しているかという構造であって、条項の効力ではない。ある容認事項が有効か、ある解除の主張が通るか、消費者としての保護がどこまで及ぶかといった判断は、法律の専門家の領分である。個別の条項について迷いが残るなら、契約の前に弁護士へ相談し、登記に関わる論点は司法書士へ、税の扱いは税理士へ回すべきである。

媒介業者の役割は、その判断を代替することではなく、判断が必要な箇所を早く特定し、判断のための材料を揃え、専門家へ回す時間を工程の中に確保することにある。契約当日に条項を読み上げる場は、迷いを解く場ではない。迷いは、そこへ着く前に片づいている必要がある。

9. 結論と今後の課題

本稿の主張は三点に要約できる。第一に、不動産の売買契約は書き尽くせない。予見の限界、記述の費用、検証の壁という三つの理由が同時に働くため、完備契約を目指す方向では問題が片づかない。第二に、したがって設計の焦点は、書かれなかった領域について誰が決めるかという残余コントロール権の配分に移る。第三に、特約と容認事項は、まさにその配分を行う装置として読める。

この読み方の実務上の利点は、条項を暗記の対象から設計の対象に変えるところにある。融資特約とは何かを覚えるかわりに、それが誰にどの期限で離脱権を与えているかを見る。容認事項の文例を集めるかわりに、その項目が特定され、確かめられ、価格の前提として共有されているかを見る。見方が変われば、契約書を前にしたときに何を尋ねればよいかが分かる。

9.1 薄い市場では、この問題が重くなる

残余コントロール権の配分が手取りに効く度合いは、市場の厚みに左右される。買主候補が複数いる市場では、事後の再交渉に応じなくても次が来る。売主の代替案が生きているぶん、ホールドアップの圧力は弱い。逆に、候補が一人しか現れない市場では、契約後の再交渉は事実上の最終通告に近づく。

当社が扱う地域はこの後者に近い。磐田市の住宅地の公示地価は2026年で1平方メートルあたり50,086円、前年比プラス0.16パーセントと落ち着いた水準にある(2026年地価公示に基づく市町村別平均)。森町の土地の相場はおよそ26,900円、前年比マイナス0.74パーセントで、磐田市のおよそ半分の目安である。価格の水準そのものより、取引の頻度が低く比較事例が乏しいことが、事後交渉の場での売主の立場を弱める。事前の設計が効くのは、こうした市場においてである。

9.2 本稿の限界

限界を三つ挙げる。第一に、グロスマン=ハート=ムーアの理論は本来、企業間の資産所有と投資インセンティブを説明するために構築された。個人が生涯に一、二度行う取引へそのまま持ち込むことには無理がある。とくに投資が繰り返され学習が働くという前提は、不動産の売主には当てはまらない。本稿はこの枠組みを厳密なモデルとしてではなく、実務を見る補助線として用いた。

第二に、本稿は数量的な裏づけを持たない。決定権の配分が成約価格や紛争発生率にどの程度の差を生むかを示す統計を、筆者は持ち合わせていない。示せたのは経路の推定までである。第三に、法的判断を含まない。条項の効力、消費者保護法制の適用、紛争になった場合の見通しは、いずれも弁護士など法律の専門家に委ねられるべき事柄であり、本稿は意識的にその手前で止めている。

9.3 別稿に投げる論点

四つの論点を別稿に譲る。第一に、買主の側から見た残余コントロール権の配分。本稿は売主の視点に立ったが、買主も同じ空白の中にいる。第二に、共有不動産における決定権の分散。相続を重ねた物件では、決定権が複数の持分権者に散らばり、事後どころか事前の合意すら成立しにくい。第三に、賃借人や占有者がいる物件で、第三者の権利が決定権をどう制約するか。

第四に、電子契約と書面主義の変化が、この配分に何をもたらすかという論点がある。宅地建物取引業法の書面交付が電磁的方法で行えるようになったことで、示した時点の記録は取りやすくなった。第7節で述べた容認事項の時点要件にとって、これは小さくない変化である。記録の技術が、契約の不完備性のどの部分を削り、どの部分を削らないのか。稿を改めて検討したい。

参考文献

  1. サンフォード・J・グロスマン/オリバー・D・ハート(1986)「所有の費用と便益——垂直統合と水平統合の理論」
  2. オリバー・D・ハート/ジョン・ムーア(1990)「所有権と企業の本質」
  3. オリバー・D・ハート/ジョン・ムーア(1988)「不完備契約と再交渉」
  4. オリバー・ハート(1995)『企業・契約・金融構造』(鳥居昭夫訳、慶應義塾大学出版会、2010)
  5. ロナルド・H・コース(1937)「企業の本質」
  6. オリヴァー・E・ウィリアムソン(1975)『市場と企業組織』(浅沼萬里・岩崎晃訳、日本評論社、1980)
  7. ベンジャミン・クライン/ロバート・G・クロフォード/アーメン・A・アルチアン(1978)「垂直統合、専有可能な準レント、および競争的な契約過程」
  8. ハーバート・A・サイモン(1951)「雇用関係の形式的理論」
  9. 民法(明治29年法律第89号)第176条・第536条・第557条・第567条
  10. 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第35条・第37条
  11. 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」
  12. 一般財団法人不動産適正取引推進機構『RETIO』(不動産取引の紛争事例・判例研究)
  13. 磐田市「磐田市の人口 令和8年度」(2026年7月末現在)
富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役 大石 浩之

大石 浩之

富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役
宅地建物取引士(静岡県知事 第027186号)

富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役。宅地建物取引士(静岡県知事 第027186号)。静岡県磐田市見付5789番地1で不動産業を営む。

自社で買い取る事業を持たず、仲介一本で売主の側に立つことを事業の前提に置いている。買主になれば「安く買いたい人」になり、同じ口で価格の妥当性を説明できなくなる、という理由による。買取・買取保証という売り方そのものは否定せず、売主が選んだ場合は買主にならずに複数社の見積もりを比較する立場に回る。

同社は不動産業のほか、磐田市内で介護事業を営む。高齢期の住み替え、施設入居、実家の処分という一連の局面に事業として接してきたことが、本シリーズの問題意識の背景にある。

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