土地売却は一括か分筆か|手取りで比べる3項目

広い土地をそのまま売るか、住宅向けに分けて売るか。区画ごとの予定価格を足すと、分けたほうが魅力的に見えることがあります。ただ、その合計額は売主の預金残高ではありません。先に払う費用と、最後まで売れない区画を同じ紙に載せて比べます。
大石浩之(磐田市/不動産業)として、私は売価の上乗せを、持ち主の負担に直して考えます。この記事では、土地を一括で売る案と分筆して売る案を、費用・売れ残り・入金時期の3項目で比較します。磐田市での売却相談でも、物件ごとの道路や境界の確認から販売計画を組みます。
一括か分筆かは、県平均では決められない
土地売却の一括案と分筆案は、その土地を買う人が求める広さと総予算を確認して比較します。県全体の地価が横ばいに近くても、分けた区画が同じ単価で売れるとは限りません。分筆とは、登記上の一つの土地を複数の土地に分けることです。
静岡県の「令和8年静岡県地価調査結果」(2026年9月16日更新)では、住宅地の平均変動率は前年比マイナス0.1%です。住環境や利便性の良い地域等では上昇し、過疎地域や自然災害の懸念がある地域等では下落が続くとされています。県の平均は、個々の売却価格を約束する数字ではありません。
分ける案の良さは、一区画の購入総額を抑え、住宅を建てたい人の予算に合わせられる可能性があることです。一括案の良さは、土地全体の引渡し条件と入金を一つの契約で整理しやすいことです。一括売却の買主が、買取会社とは限りません。
そのうえで当社は、分けた後の各区画について、道路との接し方、形、給排水、建築に関する条件を確認します。登記を分けることと、各区画で希望する建物を建てられることは別です。面積を単純に等分した図だけで、販売価格を決めることはしません。
比較1 分筆費用は、増える売価から引く
分筆案は、売価の増加額が追加費用を上回るかで評価します。測量・分筆登記だけでなく、必要になる工事や仲介手数料、売却までの維持費を入れます。一括案にも測量費が生じる場合があるため、分筆案だけに全額を載せない比較が必要です。
見積書は「測量一式」で止めず、境界の確認、図面作成、分筆登記、追加作業の条件を分けてもらいます。給排水の引込みや整地などは、分筆登記そのものの費用と分けて記入します。依頼先と成果品の確認は、土地の境界確定測量の費用も参考になります。
次は計算方法を見るための架空例です。一括3,000万円、3区画に分けた売価合計3,450万円と仮定します。費用は実際の見積もりではなく、比較用に置いた税込想定額です。税額と借入残高は物件ごとの差が大きいため、この表には含めません。
| 比較用の仮定(万円) | 一括案 | 3区画案 |
|---|---|---|
| 売価合計 | 3,000 | 3,450 |
| 測量・登記等 | 60 | 120 |
| 整地・給排水等の工事 | 0 | 180 |
| 仲介手数料の予算枠 | 106 | 134 |
| その他の契約費・維持費等 | 14 | 36 |
| 費用合計 | 180 | 470 |
| 税・借入返済前の残額 | 2,820 | 2,980 |
架空の比較であり、地域相場・成約予測・当社の料金表ではありません。仲介手数料は丸めた予算枠で、適用額は各契約について書面で確認します。売主の最終手取りは、この残額から譲渡に伴う税金や借入返済等を反映して求めます。
この例では、売価が450万円増えても、追加費用は290万円です。税・借入返済前の差は160万円まで縮みます。私は、この160万円を得るために先払いと待ち時間を引き受けられるか、と聞きたい。売価の450万円差だけでは、持ち主の判断に足りません。
当社の仲介手数料も売主の支出です。契約が複数になったときの合計額と支払時期を示し、工事費だけを費用として見せる比較にはしません。面積が変わった場合の代金精算は、分筆の損得とは別の論点です。公簿売買と実測売買の違いで、売価を計算する前提もそろえてください。
比較2 最後の1区画を残した計算をする
分筆案では、全区画が予定どおり売れる計算と、最後の1区画が残る計算を並べます。先に売れた区画の成績だけで販売計画を評価すると、残った土地の値下げや維持費を見落とします。
前の架空例で、最後の区画を150万円値下げし、待つ間の追加支出が20万円発生すると仮定します。計算を単純にするため、ほかの費用は据え置きます。3区画案の残額は2,980万円から170万円減って2,810万円。一括案の2,820万円を10万円下回ります。値下げ額も追加支出も予測ではなく、差が逆転する条件を探すための仮定です。
この逆転を見て、分筆は損だと決めるのも早計です。各区画の購入需要に根拠があり、追加工事が小さく済むなら、分ける案を検討する余地はあります。当社は、各区画の比較対象となる取引や競合物件を確認し、同じ坪単価を機械的に掛けません。
私は、最後の区画が残る姿を描けない計画には、まだ賛成できません。売価が増えても、最後の区画が現金にならなければ支払いには使えないからです。残った区画の見込み額は資産の評価であって、使える現金と同じ欄には置きません。これは体験談ではなく、私の判断方針です。
比較3 手取り額には入金日を添える
一括案と分筆案の入金時期は、最後の残代金を受け取る日まで比較します。分筆案で最初の区画だけ先に売れても、全体の売却が終わったことにはなりません。手付金と残代金も分けて予定表に置きます。
当社は、測量・工事・登記の支払日と、区画ごとの契約予定・決済予定を別々に書きます。例えば分筆案の測量・登記等120万円と工事180万円を最初の決済前に全額支払う仮定なら、先に300万円の資金が要ります。実際の着手金や完了払いの条件に置き換えて、途中で資金が足りなくなる月を確認します。
比較表の下には「資金が必要な日」「その日までに受け取れる想定額」「売れ残った場合の不足額」の3欄を作ります。売買契約が成立した日と預金に残代金が入る日は別です。不動産の売却期間と3つの期限も使い、契約までと決済までを分けてください。
正直に言えば、私は160万円の上積みを取りにいくか、一括で資金の見通しを立てるかで迷います。先払いを用意できるか、入金を待てるかで答えが変わるからです。期限がある売主に、手取りの最大値だけを見せて待つよう勧めることはできません。
分筆発注前に、販売の可否と比較表を確認する
分筆して複数の買主へ売る計画は、費用を発注する前に宅地建物取引業への該当性を確認します。登記上分けられることと、予定した方法で販売できることは別の確認です。
国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の2026年4月1日施行版、本文1頁「第2条第2号関係」は、業として行うかを取引目的や取得経緯などから総合判断するとしています。一度の販売でも、区画割りして複数の者へ売る場合は反復継続的な取引に当たるという整理です。
仲介を依頼することは判断要素の一つですが、それだけで免許の要否が決まるわけではありません。売主の取得経緯、区画数、販売先、販売方法、過去と今後の取引予定をまとめ、都道府県の宅建業免許担当窓口へ事前に相談します。接道や開発許可等の要否は、計画図を持って担当窓口に別途確認します。
当社は買取・買取保証を率先して行いません。当社が買主になることもありません。そのかわり、一括案と分筆案の費用・残額・日付をそろえて比較します。買取や買取保証そのものを否定する話ではなく、期限がある場合はその条件も比較対象にします。当社が媒介する場合の仲介手数料も含めます。
今日できる確認は、手元の図面に分け方の希望を書き、担当者へ「一括案と分筆案の費用明細、最後の区画が残る場合、全額入金の時期」を同じ書面で求めることです。私は、未確認の欄をゼロ円で埋めず、確認先と回答予定日を入れるよう案内します。分筆を発注する判断は、その回答を受けてからで構いません。
出典:静岡県「令和8年静岡県地価調査結果」(2026年9月16日更新)、国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(2026年4月1日施行版、本文1頁)。2026年10月4日確認。制度・数値・費用は変わることがあります。個別の販売可否は免許担当窓口等へ、測量・分筆登記は土地家屋調査士へ、税務や権利の登記は税理士・司法書士など専門家へ確認してください。
よくある質問
土地を分筆すれば、一括売却より手取りが増えますか。
増えるとは限りません。分けた売価の合計から、測量・登記・工事・仲介手数料・維持費を引き、一括案との差を出します。最後の区画を値下げする場合や売却が延びる場合も別に計算してください。記事の金額は架空例で、地域相場ではありません。最終手取りは税金と借入返済も反映して確認します。
仲介会社へ頼めば、分筆販売の宅建業免許の確認は不要ですか。
仲介の依頼だけで確認が不要になるわけではありません。国土交通省の考え方では、区画割りして複数の者へ売る場合は反復継続的な取引に当たり、業に該当するかは取得経緯や目的などを総合判断します。発注前に区画図、販売方法、過去と今後の取引予定をまとめ、都道府県の宅建業免許担当窓口へ相談してください。
一括か分筆か迷う段階で、何を用意すればよいですか。
登記事項証明書、手元の測量図や公図、分け方の希望、資金が必要な日を整理します。そのうえで一括案と分筆案の費用明細、売れ残り時の計算、決済予定を同じ書面で求めます。費用が未確認の欄はゼロ円にせず、確認先を記入してください。測量・分筆登記は土地家屋調査士に相談し、資料をそろえてから発注を判断します。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。