浜松市のセットバック土地売却|売る前の3確認

狭い道路に面した土地を売るとき、査定額だけでは判断がつきません。塀をどこまで下げるのか。市の測量を待つのか。撤去代を払った後にいくら残るのか。浜松市のセットバック土地売却では、この3つを別々に確かめることから始めます。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として、私は「道路の話が片付くまで全部止める」という案内には慎重です。売却の準備と、市へ土地を寄附する手続きでは、進められる作業が違うからです。ここでは2026年10月13日に確認した浜松市の案内を、売主の予定表と費用表に置き換えて考えます。
確認1:後退部分と、売却後に使える範囲を分ける
セットバックの確認では、道路側へ差し出す範囲を、土地全体の面積と分けて図面に示します。セットバックとは、狭い道路に面した敷地で道路境界線を後退させることです。見た目の道路幅だけで後退線を決めず、道路の扱いと境界を市や専門家に確認します。
浜松市の「狭い道路の拡幅整備事業」は、建築確認申請前の事前協議を入口としています。寄附の申出があれば、市が用地測量や分筆・所有権移転の登記、拡幅整備を行う仕組みです。建築のために必要な道路後退と、市への寄附は、同じ言葉で済ませないようにします。
対象は市街化区域ですが、除外条件があります。開発許可を受けた区域、都市計画道路など公共事業に係る区域、土地区画整理事業の施行区域、位置指定道路に係る区域などです。「浜松市内にある」「道が狭い」という理由だけで、市の事業を使えるとは判断できません。
当社は査定の前提として、登記上の面積、測量で確認された面積、後退部分の面積を分けて整理します。後退範囲が未確定なら、その面積は未確定と表示します。残る敷地でどの建物計画が可能かも、建築士等による確認が必要です。登記の数字を、そのまま建築に使える面積として扱わないためです。
面積をどの資料で示し、売買代金の精算をどう決めるかは、公簿売買と実測売買の違いにもつながります。前面道路が私道なら、後退範囲の確認とは別に、通行や工事の権利関係を調べます。私道の掘削承諾を確認する記事は、その別の確認に使ってください。
確認2:2027年4月は測量の「発注予定」
浜松市の「今年度発注停止のお知らせ」は、2026年7月から2027年3月の事前協議で寄附申請した方について、寄附土地の測量委託発注を2027年4月予定と案内しています。2027年4月に測量も登記も終わる、という意味ではありません。
意外なのは、資料の見出しだけ読むと手続き全体が止まるように見えても、本文が案内しているのは特定期間の寄附申請と市の測量発注だという点です。土地売却全般の停止を告知した資料ではありません。PDFに公表日は記載されていないため、更新日を推測して補ってはいません。
当社は、この予定を売買契約の引渡し日へそのまま転記しません。市の測量、その後の登記、寄附に必要な条件を確認したうえで、どの段階を契約や引渡しの条件にするか整理します。売主側で依頼する測量と市の用地測量も、目的や範囲が一致するとは限りません。
市の事業には、個人で抱えがちな測量・登記・道路整備を一連の手続きとして進められる良さがあります。撤去等の費用に助成の仕組みがあることも、売主が検討する価値のある材料です。制度の存在を知らずに全額自己負担と決めてしまう前に、適用の可否を確かめたいところです。
そのうえで、私は売却日程を組む側として、発注後の見通しも知りたいと考えます。予定月だけでは、住み替え代金が必要な日と合わせられません。市へは「私の申請はこの案内の対象か」「発注後に残る手続きは何か」「売却する場合の申請者変更や引継ぎはどうするか」を分けて聞きます。完了時期が未定なら、未定のまま買主と共有する方針です。
確認3:塀の地上部分だけで撤去費を見積もらない
寄附予定地の撤去費は、地中の基礎や根まで含めて確認します。市のお知らせは、ブロック塀の基礎や樹木の根、量水器ボックス、コンクリート舗装等について、地下部分を含む撤去を案内しています。塀の上部だけを壊す見積もりでは、必要な作業が残るおそれがあります。
当社は撤去業者へ見積もりを依頼する際、後退予定線を示す資料をそろえます。撤去する物、地中部分の扱い、処分費、残す側の補修、配管等の移設が必要かを確認します。地中の状況が分からない部分は、追加費用の条件を別欄にしてもらいます。金額だけで比較すると、この条件の差が見えません。
外構を先に整える場合も順序に注意が要ります。市のお知らせでは、新しいフェンスの基礎が寄附する土地に入ると、所有権移転ができないと説明しています。市の測量前に外構工事を行う場合は、土地家屋調査士・測量士や建築士等へ境界の確認を依頼するよう案内しています。
寄附部分に抵当権がある場合の準備も別に必要です。市の資料は、分筆登記の際に寄附する土地の抵当権を抹消し、抵当権一部抹消承諾書を提出するよう求めています。借入先への相談を残代金決済の直前まで延ばさず、対象の土地と必要書類を司法書士にも確認します。
当社は、助成額が確認できるまでは撤去費から助成金を差し引きません。市の案内は費用の「一部」への助成であり、全額を賄う説明ではないからです。対象工事、申請の時期、着工前に必要な手続き、支払時期を市へ確認してから工事を発注します。
日程と手取りは、2つの案を同じ費目で比べる
セットバックを伴う売却では、「市の手続きを踏まえて引き渡す案」と「現状と未了事項を示して進める案」を、同じ費目で比較します。後者を実行できるかは、買主の意向、建築計画、申請手続き、契約条件の確認が前提です。
| 比較する項目 | 市の手続きを踏まえる案 | 未了事項を示して進める案 |
|---|---|---|
| 引渡しの条件 | 測量・登記等のどの完了を待つか決める | 未了作業の担当と期限を協議する |
| 撤去・測量等の費用 | 売主が払う項目と助成対象を確認する | 誰が負担するかを代金とは別に示す |
| 待つ間の支出 | 保有中の税・管理等を見積もる | 引渡しまで残る支出を見積もる |
| 未確定の項目 | 発注後の期間、地中の追加工事等 | 買主との合意、手続きの引継ぎ等 |
手元に残る資金は、売買代金から仲介手数料、売主負担の工事・測量・登記費、ローン返済等を差し引いて考えます。譲渡に関する税金も別途見込む必要があります。費用を買主負担とする案では、売買代金への影響も合わせて比較します。負担を移しただけで手取りが増えるとは決められません。
私はこう考えます。仮に目の前に「市の測量を待つ案」と「先に売却を進める案」の予定表があれば、最初に見るのは高い査定額ではなく、売主が現金を必要とする日です。待つことで出費を抑えられるなら待ちたい。一方で、住み替え資金の予定が崩れるなら、それだけでは勧められない。この迷いを、費目と日付にして並べます。これは個別相談の実話ではなく、私の判断方針です。
制度を使うかどうかは、売主がいつ、いくら負担するかまで見て決める。当社は、市の測量予定だけを根拠に値下げを勧めません。そのかわりに、後退範囲・未了手続き・費用負担を整理し、販売条件の説明を整えます。当社は買取を率先して行いませんが、買取という選択自体は否定しません。期限を優先して買取を検討する場合も、提示価格と費用をそろえて手取りで比べます。当社の媒介で売る場合は、仲介手数料も比較に含めます。
今日の確認は、地番を添えて市へ聞くこと
浜松市でセットバック土地の売却を考える方は、まず地番、手元の図面、事前協議の有無をそろえ、市に対象事業と申請状況を確認してください。売ると決める前でも、この確認は判断材料になります。
続いて、寄附予定線が分かる資料を土地家屋調査士等と確認します。必要な測量の範囲と見積もりの読み方は、土地の境界確定測量と費用の考え方を参照してください。寄附部分の測量と売却対象全体の境界確認を混同しないための下準備です。
当社への売却相談では、既に分かっていることと未確認のことを分けて持ち寄れます。浜松市の不動産売却案内も入口にしてください。私は、申請状況、撤去見積もり、希望する引渡し日がそろった段階で、販売開始の条件を組み立てるよう案内します。
出典・確認日:2026年10月13日(2026年10月確認)。浜松市「今年度発注停止のお知らせ」(文書の公表日記載なし)、「狭い道路の拡幅整備事業」(2026年5月28日更新)。
制度・発注予定・助成の条件は変更されることがあります。個別の適用と工程は浜松市へ、道路・境界・建築計画は土地家屋調査士や建築士へ確認してください。税務・登記の最終判断は税理士・司法書士など専門家に確認をお願いします。
よくある質問
2027年4月まで土地を売れないということですか?
浜松市のお知らせは売却全般の停止を告知したものではありません。2026年7月~2027年3月の事前協議で寄附申請した方に対し、市の測量委託発注を2027年4月予定と案内しています。測量完了日とは区別し、未了手続きや費用負担を説明して進められるか、市や仲介会社、登記の専門家へ確認します。
浜松市内のセットバック土地は、どれも市の事業の対象ですか?
浜松市の狭い道路の拡幅整備事業は、市街化区域を対象とし、開発許可区域や土地区画整理事業の施行区域、位置指定道路に係る区域などに除外条件があります。道が狭いことだけでは適用を判断できません。地番と図面をそろえ、道路の扱い、後退範囲、事業の対象になるかを市の担当窓口へ確認してください。
寄附する土地の塀や樹木の撤去費は全額助成されますか?
浜松市の案内は撤去等に要した費用の一部への助成で、全額の負担を約束するものではありません。塀の基礎や樹木の根など地下部分も含めた見積もりを取り、対象工事、申請時期、着工前の手続きを市へ確認します。助成額と支払時期が確認できるまでは、見込額を手取りへ確定額として加えないようにします。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。