秋分の帰省で話す実家売却|査定前の3確認

秋分の帰省で実家に家族が集まり、「この家を将来どうするか」「そろそろ売却の査定を頼んでみるか」という話が出ることがあります。しかし、家族の間で売却の前提が共有されていないまま不動産会社を呼んでしまうと、査定額のバラつきに戸惑ったり、親族間で意見が対立して話が止まってしまうことが少なくありません。査定を依頼する前に、家族で確認しておきたい3つの前提を整理します。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として、当社は磐田市や袋井市を中心に数多くの実家売却や相続不動産の相談を受けてきました。本記事では、2026年9月23日に法務省や関係機関の公開情報を確認した上で、秋分の帰省時に家族で確認しておきたい「名義」「境界と建物」「家財と役割分担」の3項目を具体的に解説します。
確認1 名義人と手元の登記資料をそろえる
実家売却の査定を申し込む際、最初につまずきやすいのが「名義人が誰になっているか分からない」という点です。亡くなった祖父母の名義のまま数十年が経過していたり、親と兄弟の共有名義になっていたりすると、売却手続きを進める前に相続登記や権利関係の整理が必要になります。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。法務省の案内では、不動産を取得したことを知った日から3年以内の登記申請が求められ、正当な理由のない懈怠には過料の規定も設けられています。実家の売却を考えるなら、まず現在の登記簿上の所有者が誰であるかを正確に把握することが大前提となります。
帰省時にまず探してほしいのは、毎年春に市役所から親御さん宛てに送られてくる「固定資産税・都市計画税の納税通知書(課税明細書)」です。この書類には、所有している土地・建物の所在、地番、地目、家屋番号、評価額が一覧で記載されています。これがあれば、法務局へ行かなくても不動産の全体像を素早く確認できます。
前回の記事袋井市の空き家売却相談と費用の3確認でも解説したように、相談の窓口へ行く前に物件を特定できる資料が手元にあると、担当者とのやり取りがスムーズになります。権利証(登記済証や登記識別情報通知)が見当たらない場合でも、納税通知書のコピーがあれば査定の相談は十分に可能です。
確認2 敷地境界と建物の現状を目視で確かめる
査定額の正確性を左右する第二の要素が、敷地境界の状況と建物の傷み具合です。机上査定(図面や公図だけで計算する簡易査定)と異なり、不動産会社の担当者が現地を訪れる訪問査定では、敷地と道路、隣接地との関係が詳しく見られます。
秋分の日に実家に滞在しているなら、ぜひ運動靴を履いて敷地の外周を歩いてみてください。隣家との間にコンクリート杭や金属プレートなどの「境界標」が設置されているか、ブロック塀の中心や外側のどちらが境目とされているかを確認します。雑草や土砂で埋もれている場合は、少し土を払って頭を出しておくだけでも現地の確認作業が格段に進みやすくなります。
| 点検する場所 | 家族で目視確認するポイント | 査定時の留意事項 |
|---|---|---|
| 敷地境界・境界標 | 四隅の杭・金属プレートの有無、土砂の堆積 | 境界標が見当たらない場合、売却時に確定測量が必要になることがある。 |
| 庭木・越境物 | 道路や隣家上空へ伸びた枝、隣地からの越境 | 越境枝がある場合、売却前に剪定費用が発生する可能性がある。 |
| 建物の外観・屋根 | 雨樋の垂れ下がり、外壁のひび割れ、雨漏り跡 | 目立つ不具合を隠さず査定担当者に伝えることで適正な売出価格が出せる。 |
| 室内・床下の状況 | 床のきしみ、建具の建て付け、カビ臭 | 家具が残ったままでも査定は可能だが、通気と換気を行っておく。 |
私が売主様にお願いしたいのは、不具合や傷みを見つけても「こんなに傷んでいるから査定額が下がるのでは」と隠そうとしないことです。傷みのある箇所を事前に把握できれば、それを踏まえた現実的な販売計画や修繕の要否を検討できます。後から買主との間でトラブルになることを防ぐためにも、現況をありのままに共有することが重要です。
確認3 家財処分と査定立会いの役割分担を決める
実家売却で最も家族のエネルギーを消費するのが、家の中に長年蓄積された「家財(残置物)」の片付けです。タンスや家電製品、仏壇、趣味の道具など、大量の家財を誰が、いつまでに、どのような費用で整理するのかを決めておかないと、査定が終わっても売却活動をスタートできません。
査定を受ける段階では、家財が部屋の中に残ったままで全く問題ありません。不動産会社の担当者は、室内に荷物があっても建物の構造や間取り、敷地の条件をプロの目で見極めます。むしろ無理に荷物を運び出そうとして親御さんが腰を痛めたり、家族同士で「どれを捨てるか」と揉めて疲弊してしまう方が避けるべき事態です。
帰省時には、以下の役割分担について家族で話し合っておくことをお勧めします。
- 査定の立ち会い担当:不動産会社からの説明を聞き、質問に答える家族(1〜2名)。
- 残す物の選別担当:親御さんと一緒に、アルバムや貴重品、引き継ぎたい形見を仕分ける人。
- 片付け費用の管理担当:不用品回収業者への見積もり依頼や処分費用の支払いを管理する人。
当社では、家財の片付けを売主様だけで抱え込まず、提携する専門業者による一括処分や、買主側で残置物撤去を引き受ける売買条件の提案など、ご家族の負担を最小限に抑える選択肢をご案内しています。費用総額と手元に残る金額のシミュレーションについては、800万円以下の空き家の仲介手数料と手取り比較も参考になります。
査定額の高さだけで会社を選ばない視点
複数の不動産会社に査定を依頼すると、提示される査定価格に数百万円もの開きが出ることがあります。その際、最も高い金額を出してくれた会社に頼みたくなるのは自然な心情ですが、査定価格の高さだけで媒介契約を結ぶことには注意が必要です。
不動産の査定価格は、「この価格で必ず買い取ります」という買取保証額ではなく、「市場に出せば3ヶ月程度で成約する可能性が高い見込み価格」に過ぎません。仲介の契約を取りたいがために相場からかけ離れた高い査定額を提示し、数ヶ月放置された後に「反響がないので値下げしましょう」と大幅な減額を迫る営業手法も存在します。
当社は買取・買取保証を率先して行いません。当社自身が買主になって安く買い叩くこともありません。そのかわり、過去の成約事例や周辺の競合状況、接道条件や建物の経年劣化を綿密に分析した上で、根拠のある査定価格と具体的な販売戦略をご提示します。早く買い取るより、1円でも多く売主様の手元へ残すことを最優先に考えます。
査定書を受け取ったら、金額の数字だけを比べるのではなく、「なぜその価格になるのか」「どんな買主層に向けて、どのような媒体で広告を出すのか」「成約までにどの程度の期間を見込んでいるのか」という販売の道筋を質問してください。丁寧で納得のいく説明ができる担当者こそが、大切な実家を安心して託せるパートナーとなります。
今日の準備は、家族で確認する3行のメモ
秋分の帰省で実家売却の話を進めるご家族は、今日この場で以下の3行のメモを家族で共有することから始めてみてください。
- 実家の土地・建物の名義人と納税通知書の保管場所を確認した。
- 敷地境界と雨樋・外壁の様子を目視で確かめ、気になる箇所を写真に残した。
- 査定の立ち会い担当を決め、査定額の数字だけで焦って契約しないことを合意した。
磐田市や袋井市での不動産売却の地域特性については、磐田市の不動産売却ページおよび袋井市の不動産売却ページでも詳しく解説しています。今日すぐに売却を決断する必要はありません。まずは事実を整理し、家族全員が納得できる形で一歩を踏み出してください。
出典・確認日:2026年9月23日(2026年9月確認)。法務省「所有者不明土地の解消に向けた民法等改正・相続登記の義務化」、国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」。制度・法令・費用等の条件は変更されることがあります。個別の売却相談や税務・登記判断は、不動産会社や税理士・司法書士などの専門家にご確認ください。
よくある質問
査定を受ける前に、部屋の荷物を全部片付ける必要がありますか?
荷物を片付ける必要はありません。不動産会社は家具や荷物があっても建物の状態や間取り、敷地条件を正確に見極めることができます。無理に片付けを急いで家族間で揉めるよりも、まずはそのままの状態で査定を受け、残置物処分の方法も含めて相談することをお勧めします。
名義が亡くなった親のままでも査定は可能ですか?
査定自体は可能です。ただし、実際の売買契約や所有権移転登記を行う前までに、相続登記(名義変更)を完了させる必要があります。2024年4月から相続登記が義務化されているため、査定と並行して司法書士などの専門家に相談し、戸籍謄本の収集を進めておくのが確実です。
複数の会社から査定を取る場合、何社くらいが目安ですか?
2〜3社程度に依頼するのが適切です。あまり多くの会社に依頼すると連絡対応だけで疲弊してしまい、逆に1社だけだと査定価格の妥当性が判断できません。地域の売買実績が豊富で、価格の根拠や販売計画を丁寧に説明してくれる会社を比較して選ぶのがポイントです。
SELL WITH CONFIDENCE
早く売る方法ではなく、
多く残す方法から考えます。
無料で相談する →査定・初回相談は無料です。売却をお約束いただく必要もありません。当社が買主になることはありません(買取をお選びの場合は、複数社の見積もりを比較してご提示します)。

文責:大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
記事の内容は公開時点の一般的な情報です。税務・登記・相続の個別のご判断は、税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。