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売却契約手取り

不動産売却の契約不適合責任|売主の3つの疑問

家の模型、無記入の書類、鍵、ひびのある素材見本と虫眼鏡を机に並べ、売却前に家の状態と契約内容を照合する考え方を表した生成イメージ
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。
この記事の結論売却後の不具合は、契約で合意した内容と引渡し時の状態を照合して判断します。修理費の全額負担が自動で決まるわけではありません。通知期限は一律の保証期間ではなく、免責にも限界があります。契約前に責任の範囲・期限・把握している不具合を整理し、個別判断は弁護士へ確認してください。

Q.家を売った後に雨漏りが見つかったら、修理費は全部こちらが払うのでしょうか。

売却価格の話がまとまりそうでも、引渡し後の負担が見えないと決断しにくいものです。「古い家だから仕方がない」「免責と書けば終わり」と思い込まず、契約で何を約束するのかを先に確かめます。この記事は、個人が自宅を売る場合の契約不適合責任を扱います。

大石浩之(磐田市/不動産業)として、私は責任の範囲が未確認なら、手取りはまだ確定していないと考えます。磐田市の不動産売却でも、査定価格と同じくらい、後から残る負担を見える形にしたい。売却を決める前に読む契約書の欄を整理します。

住宅リフォーム・紛争処理支援センターが2026年9月に発行した『住宅相談統計年報2026』では、2025年度の既存相談は1,760件。前年度から5.8%増えています。これは中古住宅の売買に関する相談の件数です。契約不適合責任だけの集計でも、売った家に不具合が起きる確率でもありません。

出典:同年報の本文10頁「相談区分」「項目別の概要」。2026年10月20日確認。相談窓口の数字を、個々の家の危険度に読み替えないことが前提です。

疑問1|修理費は売主がすべて負担するのか

売主の負担は、故障が見つかったという理由だけでは決まりません。契約で合意した品質などと、引き渡した家の状態に食い違いがあるかが出発点です。民法第562条は、種類・品質・数量が契約内容に合わない場合の買主の権利を定めています。

たとえば雨漏りがあると説明した家でも、その箇所を直して引き渡す約束なら、未修理のままでよいとはなりません。反対に、特定箇所の雨漏りの状態を示し、補修しない条件を双方で合意した場合は、その合意が判断の材料になります。「説明したから責任なし」と一足飛びには決められません。

契約書だけでなく、物件状況報告書、設備表、写真、修繕記録が食い違っていないかを見ます。たとえば報告書には「補修済み」、メールには「今も雨の強い日に漏れる」とあれば、買主が受け取る情報は揃いません。書類の役割は物件状況報告書と付帯設備表の違いで確認できます。

買主が求め得ることは、修理だけではありません。民法第562〜564条は、修補などの追完、代金減額、損害賠償、契約解除を定めています。「追完」は、約束した状態に足りない部分を補うことです。ただし、それぞれに条件があり、請求された金額がそのまま売主の支払額になるわけではありません。

  • 修補などの追完:契約との不一致を補う対応。買主側の原因による不適合には制限があります。
  • 代金減額:原則として相当の期間を定めて追完を求め、その期間に履行がない場合。追完不能などの例外もあります。
  • 損害賠償:民法第415条の要件によるため、売主の責めに帰せない事情の有無も問題になります。
  • 契約解除:民法第541・542条の要件によります。軽微な不履行など、解除できない場合もあります。

私は、請求の種類を分けて考えられる仕組みは、問題の整理に役立つと思います。一方で「知らなかったから何も負担しない」という説明には慎重です。損害賠償と、修補などの請求では要件が違います。知っていたかだけで全体を判断せず、契約内容と原因を照合します。

疑問2|売った後はいつまで責任が残るのか

民法第566条の「1年」は、原則として買主が種類・品質の不適合を知ってから、売主へ通知するまでの期間です。引渡しから1年間だけ保証する、という意味ではありません。ここを取り違えると、売主と買主で予定する期限がずれてしまいます。

同条では、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと、原則としてその不適合を理由とする権利を行使できなくなります。ただし、引渡し時に売主が不適合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合には例外があります。

さらに、通知の期限と消滅時効は別の話です。民法第166条では、債権について、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年という基準を置いています。起算点や時効の完成を妨げる事情は個別に検討します。「通知さえすれば期限なく請求できる」とも考えないでください。

個人間の売買では、責任の範囲や期間を特約で調整することがあります。契約書に引渡し後の月数が書かれていても、通知の期限なのか、どの不具合に適用するのかを読まなければ意味が確定しません。他の契約で見た数字を、そのまま自分の家へ当てはめないことです。

私なら、契約前に次の3欄を同じ紙へ書き出します。「いつから数えるか」「何を、いつまでに伝えるか」「どの箇所の責任を扱うか」。設備の不具合と建物の不具合で条項が分かれている場合も、混ぜずに確認します。期限の解釈に迷う文面は、署名前に弁護士へ相談します。

疑問3|免責や現状有姿と書けば責任はなくなるのか

免責特約があっても、知りながら告げなかった事実についてまで責任を免れることはできません。民法第572条が定める限界です。また「現状有姿で引き渡す」という文言だけから、契約不適合責任の全てを免除したと決めつけるのも避けます。契約全体の内容を確認する必要があります。

現状有姿は、今の状態で渡すという引渡し方法の説明に使われます。免責は、契約に合わない状態だった場合の責任をどう扱うかの問題です。「修理せず渡す」と「何が起きても責任を負わない」は同じ約束ではありません。どの状態を買主が了承したのかが、書面で追える形にします。

当社は、把握している不具合を隠して免責だけを勧めることはしません。そのかわりに、売主が把握している事実、資料で確認できたこと、まだ分からないことを分けて整理します。知らないことを「異常なし」に置き換えず、過去に直した箇所は、工事時期や残っている資料を添える考え方です。

たとえば修理後に雨漏りを見ていなくても、長く無人で確認していないなら、その事情も説明の材料です。「直した」という事実と「その後も漏れていないと継続確認した」という事実は異なります。ここは体験談ではなく、私が書類を整える際に大切にしたい判断です。

状態の確認が足りない場合は、インスペクションを頼む時期も検討できます。ただ、調査を受けたことと、売主の責任が消えることは別です。調査の対象範囲と見られなかった箇所を確認し、契約書へどう反映するかまで考えます。

当社は買取を率先して行いませんが、買取という選択そのものを否定しません。買主が事業者でも、個人売主の責任がどうなるかは契約条件の確認が必要です。「買取だから免責」と想定せず、価格と責任条項を一緒に見て、売主の判断材料にします。

売却を決める前に、残る負担を一枚へ書く

契約前の準備は、家の状態と負担の約束を一枚に並べるところから始められます。修繕済みの箇所、未確認の箇所、契約で約束する補修を分けると、売り出し前に使うお金と、契約後に残る負担を混同しにくくなります。

売主が契約内容、引渡し時の状態、責任条項の三つを照合し、分からない箇所を契約前に確認する順番を示した図
契約・状態・責任条項をそろえて確認します。図は確認の順番を示し、責任の有無を判定するものではありません。

書き出す欄は「気になる箇所」「分かっている事実と資料」「追加確認の担当」「補修する人と費用」「契約に反映する内容」です。費用が不明なら未定と書きます。売却代金から仲介手数料などを引いた数字に、未確認の補修費をゼロとして混ぜないためです。

私は、先に補修した方が説明しやすいのか、現状を示して価格や条件を調整する方がよいのか、調査前には迷います。工事範囲も買主の使い方も分からないうちに、売主の支出を決めたくありません。責任の範囲を曖昧にしたまま、売却の決断を急がせない。これが私の立場です。

保険を使う案が出ても、責任条項の確認は残ります。保険の対象外になる箇所や支払限度額と、売買契約上の責任は同じではありません。加入費用まで含めた検討は、家売却の瑕疵保険を付ける前の比較に整理しています。

今日できることは、契約書案の責任条項を受け取り、手元の修繕記録と並べることです。通知を受けた後なら、発見日、症状、写真、修理前の状態を記録してもらい、担当者へ連絡します。緊急の安全確保が必要な場合を除き、原因や範囲を確認しないまま全面補修や支払額を約束しないようにします。

売るかどうかの結論は、その確認の後でも構いません。契約条件が読めるようになれば、受け入れられる負担と、もう少し調べたい負担を分けられます。手元へ残すお金を考えるとき、私は成約日の数字だけで終えないようにしたいと思います。

出典(2026年10月20日確認):住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2026」本文10〜11頁、e-Gov法令検索「民法」第166・415・541・542・562〜564・566・572条。不動産流通推進センター「瑕疵担保責任から契約不適合責任への転換」も参照しています。

制度・数値は変更される場合があります。この記事は個人による自宅売却の一般的な確認事項です。売主の属性や契約内容により適用関係は異なります。責任の有無、特約の有効性、期限、請求への回答は、契約書と関係資料をそろえ、弁護士など専門家へ確認してください。

よくある質問

知らなかった不具合でも売主の負担になりますか。

知らなかったという事情だけでは、売主の負担がないとは決まりません。契約で約束した状態との不一致があるかを確認します。修補などの請求と損害賠償では要件が違うためです。責任を限定する特約の内容、引渡し時の状態、不具合の原因を資料で整理し、担当者と弁護士へ確認してください。

現状有姿と書けば契約不適合責任は免除されますか。

現状有姿という文言だけで、責任の全てが免除されたとは判断できません。今の状態で渡すことと、契約に合わなかった場合の責任を免除することは別です。免責特約があっても、知りながら告げなかった事実には民法第572条の制限があります。契約書と報告書を一緒に読み、個別の有効性は弁護士へ確認します。

引渡し後に不具合の通知が来たら何を確認しますか。

発見日、症状、写真、修理前の状態を確認し、契約書や報告書と照合します。通知日時も記録して担当者に連絡してください。安全確保が必要な場合を除き、原因を確かめる前に全面補修や支払額を約束しないようにします。期限や特約の解釈、請求への回答に迷う場合は、関係資料をそろえて弁護士へ相談してください。

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富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役・宅地建物取引士の大石浩之

文責:(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 静岡県知事 第027186号)
静岡県磐田市で不動産業を営んでいます。売却のご相談はかんたん入力のフォームから。
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